「みぞおちから右脇腹にかけて激しく痛む」
「吐き気が止まらない」
「背中や肩にも痛みがある」
もしかしたら、それは胆石症かもしれません。
胆石症は、胆嚢や胆道に石(胆石)ができる病気です。
この記事では、胆石症の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
胆石症とは:胆嚢や胆道に石ができる病気
胆石症とは、胆嚢や胆道に、胆石ができる病気です。
胆汁は、肝臓で作られ、胆嚢に一時的に蓄えられた後、胆道を通って十二指腸に分泌され、脂肪の消化を助ける役割を担っています。
胆石は、胆汁の成分が結晶化してでき、その成分によって、コレステロール結石、色素結石、混合結石などに分類されます。
胆石症の種類:胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内結石症
胆石ができる場所によって、胆石症は以下のように分類されます。
- 胆嚢結石症:
- 胆嚢の中に胆石ができる病気です。
- 最も一般的な胆石症です。
- 総胆管結石症:
- 総胆管(胆汁が十二指腸に流れ出る)に胆石が詰まる病気です。
- 黄疸や胆管炎を引き起こすことがあります。
- 肝内結石症:
- 肝臓内の胆管に胆石ができる病気です。
- 比較的まれな胆石症です。
胆石症の患者数:成人の約10人に1人が胆石を持つ
日本国内の胆石症患者数は、成人の約10人に1人と言われています。
加齢とともに増加し、女性に多い傾向があります。
胆石症の原因:コレステロールの結晶化、生活習慣、遺伝的要因など
胆石症の原因は、一つではなく、様々な要因が複合的に関与していると考えられています。
- コレステロールの結晶化:
- 胆汁中のコレステロールが過剰になると、結晶化しやすくなります。
- 生活習慣:
- 肥満、高カロリー食、食物繊維不足、運動不足などは、胆石ができやすい原因となります。
- 遺伝的要因:
- 家族に胆石症の人がいる場合、胆石ができやすい傾向があります。
- その他:
- 加齢、女性ホルモン、糖尿病、肝硬変なども、胆石症のリスクを高める要因となります。
胆石症の症状:無症状のことが多いが、激しい腹痛や吐き気、黄疸が現れることも
胆石症は、初期にはほとんど症状がないことが多いです。
しかし、胆石が胆嚢管や総胆管に詰まると、激しい腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
- 腹痛:
- 右上腹部(みぞおちから右脇腹にかけて)に、激しい痛みが起こります。
- 例:
- みぞおちから右脇腹にかけて、ナイフで刺されたような激痛が периодически 繰り返す
- 痛みで冷や汗が出る
- 痛みで動けなくなる
- 例:
- 痛みは、背中や右肩に放散することがあります。
- 食後や夜間に起こりやすいのが特徴です。
- 右上腹部(みぞおちから右脇腹にかけて)に、激しい痛みが起こります。
- 吐き気、嘔吐:
- 激しい腹痛に伴い、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
- 黄疸:
- 胆汁が十二指腸に流れなくなると、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が現れることがあります。
- その他:
- 発熱、食欲不振、下痢などの症状を伴うこともあります。
胆石症の検査:腹部超音波検査、血液検査、CT検査など
胆石症の診断には、以下の検査が行われます。
- 腹部超音波検査(エコー検査):
- 胆嚢や胆道の状態を観察し、胆石の有無や大きさを確認します。
- 最も一般的な検査です。
- 血液検査:
- 肝機能や炎症反応などを調べます。
- CT検査:
- 胆石の位置や、胆嚢や胆道の状態を詳しく調べます。
- MRI検査:
- CT検査と同様に、胆石や胆道の状態を詳しく調べます。
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP):
- 胆道に造影剤を注入し、X線撮影を行う検査です。
- 総胆管結石の診断や治療に用いられます。
これらの検査結果を総合的に判断し、胆石症の診断を行います。
胆石症の治療:経過観察、薬物療法、手術療法
胆石症の治療は、経過観察、薬物療法、手術療法があります。
- 経過観察:
- 無症状の胆石症の場合、特に治療の必要はなく、経過を観察します。
- 薬物療法:
- 胆石を溶かす薬(胆石溶解薬)を服用することがあります。
- ただし、効果が得られるまでに時間がかかることや、再発しやすいという欠点があります。
- 手術療法:
- 最も一般的な治療法は、腹腔鏡下胆嚢摘出術です。
- お腹に小さな穴をいくつか開け、そこから内視鏡や手術器具を挿入して、胆嚢を摘出します。
- 開腹手術に比べて、患者さんの負担が少ないというメリットがあります。
- 開腹手術は、腹腔鏡下手術が難しい場合に行われます。
- 最も一般的な治療法は、腹腔鏡下胆嚢摘出術です。
胆石症の予防:生活習慣の改善が大切
胆石症を予防するためには、生活習慣の改善が大切です。
- バランスの取れた食事:
- 高カロリー食、高脂肪食を避け、野菜や果物を積極的に食べましょう。
- 適度な運動:
- 肥満を解消し、適度な運動を心がけましょう。
- 規則正しい生活:
- 睡眠不足やストレスを避け、規則正しい生活を送りましょう。
胆石症に関するQ&A
Q:胆石症は、自然に治ることはありますか?
A: 胆石症は、自然に治ることはほとんどありません。
症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
Q:胆石症の手術は、痛いですか?
A: 手術は、麻酔下で行われるため、痛みを感じることはほとんどありません。
術後は、多少の痛みがあることがありますが、痛み止めなどでコントロールできます。
Q:胆石症を予防するために、食事で気を付けることはありますか?
A: 胆石症を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
- 高カロリー食、高脂肪食を控える
- 食物繊維を積極的に摂取する
- 規則正しい食生活を送る
看護師として伝えたいこと:気になる症状があれば、ご相談ください
胆石症は、激しい痛みを伴うことがある病気です。
「もしかして、胆石症かも…?」
と、少しでも体調に異変を感じたら、我慢せずに医療機関を受診してください。
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