「最近、疲れやすい」
「むくみが気になる」
「健康診断で腎臓の数値が良くないと言われた」
もしかして、それは慢性腎臓病のサインかもしれません。
慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気で、放置すると透析や腎移植が必要になることもあります。
しかし、早期発見・早期治療を行うことで、進行を遅らせることができます。
この記事では、慢性腎臓病の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
慢性腎臓病とは:腎臓の機能が徐々に低下していく病気
慢性腎臓病とは、腎臓の機能が慢性的に低下していく病気の総称です。
様々な原因によって腎臓の機能が徐々に失われていき、最終的には透析や腎移植が必要になることもあります。
日本国内の患者数は、約1300万人と推計されており、成人の約8人に1人が慢性腎臓病であると考えられています。
慢性腎臓病の症状:初期は無症状。進行すると…
慢性腎臓病は、初期には自覚症状がほとんどありません。
進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 疲れやすい: ちょっとした運動や作業で疲れやすくなる
- むくみ: 朝起きた時に顔がむくむ、夕方になると足がむくんで靴がきつくなる
- 尿量の変化: 尿量が増えたり、減ったりする
- 夜間頻尿: 夜中に何度もトイレに行く
- 吐き気・嘔吐: 吐き気や嘔吐が起こる
- 食欲不振: 食欲がなくなる
- 貧血: 顔色が悪い、息切れがする
- 高血圧: 血圧が高くなる
これらの症状は、慢性腎臓病以外の原因でも起こることがあります。
気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
慢性腎臓病の原因:生活習慣病、腎炎、その他
慢性腎臓病の原因は、様々ですが、主なものとしては以下のものが挙げられます。
- 生活習慣病: 糖尿病、高血圧、脂質異常症など
- 腎炎: 糸球体腎炎、間質性腎炎など
- 多発性のう胞腎: 遺伝性の病気
- その他: 腎臓結石、薬剤、膠原病など
特に、糖尿病は、慢性腎臓病の最も大きな原因の一つであり、糖尿病患者の約3割が慢性腎臓病を合併していると言われています。
慢性腎臓病の検査:尿検査、血液検査、画像検査
慢性腎臓病の診断には、以下の検査が行われます。
- 尿検査: 尿蛋白、尿潜血などを調べます。
- 血液検査: 腎機能(クレアチニン、eGFRなど)を調べます。
- 画像検査: 超音波検査、CT検査、MRI検査などで、腎臓の状態を調べます。
- 腎生検: 必要に応じて、腎臓の組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
慢性腎臓病の治療:食事療法、薬物療法、透析療法、腎移植
慢性腎臓病の治療法は、病気の進行度合いによって異なりますが、主に以下のものがあります。
- 食事療法: 減塩(1日6g未満)、タンパク質制限(腎機能に応じて0.6~0.8g/kg/日)、カリウム制限、リン制限、水分制限など
- 薬物療法: 降圧薬(ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬など)、利尿薬、貧血改善薬(エリスロポエチン製剤など)、リン吸着薬など
- 透析療法: 血液透析、腹膜透析
- 腎移植: 腎臓移植
慢性腎臓病の予防:生活習慣病の予防、早期発見・早期治療
慢性腎臓病を予防するためには、以下の点が重要です。
- 生活習慣病の予防: 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を予防する
- バランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を続ける
- 肥満を解消する
- 禁煙する
- 過度の飲酒を控える
- 定期的な健康診断: 定期的に健康診断を受け、腎臓の状態をチェックする
- 早期発見・早期治療: 慢性腎臓病が疑われた場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受ける
慢性腎臓病に関するQ&A
Q:慢性腎臓病は、治りますか?
A: 慢性腎臓病は、完全に治すことは難しいですが、早期発見・早期治療を行うことで、進行を遅らせることができます。
Q:慢性腎臓病の食事療法は、具体的にどのようなことをすれば良いですか?
A: 減塩、タンパク質制限、カリウム制限などが基本となります。
ただし、患者さんの病状によって、制限内容が異なりますので、医師や管理栄養士の指示に従うようにしましょう。
Q:慢性腎臓病の治療薬には、副作用はありますか?
A: 薬の種類によっては、副作用が起こることがあります。
気になる症状が現れた場合は、医師に相談するようにしましょう。
看護師として伝えたいこと:慢性腎臓病は、早期発見・早期治療が大切です
慢性腎臓病は、自覚症状がないまま進行することが多いため、気づいたときには病状が進行していることもあります。
「最近、体調が優れないな」
と、感じたら、まずは医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
いつまでも、元気で、自分らしく過ごせるように、腎臓を大切にしましょう。
出典
- 日本腎臓学会 CKD診療ガイドライン:https://jsn.or.jp/medic/guideline/
- 厚生労働省 腎疾患対策: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/jinshikkan/index.html