「最近、足が痒くて仕方ない」
「指の間がジュクジュクしている」
「爪が白く濁って変形してきた」
もしかして、それは水虫かもしれません。
水虫は、多くの人が経験する一般的な皮膚の病気です。
この記事では、水虫(足白癬・手白癬・爪白癬)の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
水虫とは:白癬菌による皮膚の感染症
水虫とは、白癬菌というカビ(真菌)が皮膚に感染して起こる病気です。
足にできるものが最も一般的ですが、手や爪にも感染することがあります。
水虫の種類:足白癬・手白癬・爪白癬
水虫は、感染部位によって、足白癬、手白癬、爪白癬に分けられます。
- 足白癬(足水虫): 足の指の間や足の裏に症状が現れます。
- 手白癬(手水虫): 手のひらや指の間に症状が現れます。
- 爪白癬(爪水虫): 爪に症状が現れます。
足白癬の症状:趾間型、小水疱型、角質増殖型
足白癬は、症状の現れ方によって、趾間型、小水疱型、角質増殖型に分類されます。
- 趾間型:
- 足の指の間に症状が現れます。
- 皮膚がふやけたり、ただれたりします。
- 激しい痒みを伴います。
- 夏に悪化し、冬に軽快することが多いです。
- 小水疱型:
- 足の裏や足の縁などに小さな水疱ができます。
- 水疱が破れると、ジュクジュクとした状態になります。
- 激しい痒みを伴います。
- 夏に悪化することが多いです。
- 角質増殖型:
- 足の裏などの角質が厚くなり、ガサガサになります。
- 痒みが少ないため、水虫と気づかないこともあります。
- 冬に乾燥してひび割れを起こすことがあります。
手白癬の症状:水疱型、角質増殖型
手白癬は、水疱型と角質増殖型があります。
- 水疱型:
- 手のひらや指の間に小さな水疱ができます。
- 痒みを伴います。
- 角質増殖型:
- 手のひらの角質が厚くなり、ガサガサになります。
- ひび割れや炎症を起こすことがあります。
爪白癬の症状:爪の変色、肥厚、変形
爪白癬は、爪の色が白く濁ったり、厚みが増したり、変形したりします。
痛みやかゆみを伴わないことが多いですが、進行すると爪が割れたり、剥がれたりすることがあります。
水虫の原因:白癬菌の感染
水虫の原因は、白癬菌というカビ(真菌)の感染です。
白癬菌は、皮膚の角質や爪のケラチンというタンパク質を栄養源として増殖します。
水虫の感染経路:接触感染
水虫は、接触感染によって広がります。
- 家庭内感染: 家族間でスリッパや足拭きマットを共有することで感染することがあります。
- 公共施設での感染: 温泉やプール、銭湯などの足拭きマットやスリッパを介して感染することがあります。
水虫になりやすい人:高温多湿な環境を好む
水虫は、高温多湿な環境を好みます。
- 汗をかきやすい人
- 靴を長時間履く人
- 高齢者
- 糖尿病などで免疫力が低下している人
- 副腎皮質ステロイド薬を長期使用している人
水虫の検査:顕微鏡検査
水虫の診断には、顕微鏡検査が行われます。
皮膚や爪の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。
水虫の治療:抗真菌薬
水虫の治療には、抗真菌薬が用いられます。
- 外用薬:
- 抗真菌薬の軟膏やクリーム、液剤を患部に塗布します。
- 症状が出ている部分だけでなく、広範囲に塗布することが大切です。
- 代表的な外用薬としては、ラミシール、アトラント、ブテナフィンなどがあります。
- 内服薬:
- 爪白癬や、外用薬で効果が得られない場合に用いられます。
- 肝機能障害などの副作用が出ることがあるため、定期的な検査が必要です。
- 代表的な内服薬としては、イトラコナゾール、テルビナフィンなどがあります。
水虫の予防:清潔と乾燥
水虫を予防するためには、清潔と乾燥を保つことが大切です。
- 足を清潔に保ち、よく乾燥させる。
- 毎日入浴し、足の指の間まで丁寧に洗いましょう。
- 入浴後は、タオルで足をよく拭き、特に指の間はしっかりと乾燥させましょう。
- ドライヤーを使って乾かすのも効果的です。
- 通気性の良い靴下や靴を履く。
- 綿や麻など、吸湿性の高い素材の靴下を選びましょう。
- 通気性の悪い靴は避け、こまめに履き替えましょう。
- 同じ靴を毎日履くのは避け、数足を交互に履くようにしましょう。
- 汗をかいたら、こまめに着替える。
- 汗をかいたまま放置すると、白癬菌が増殖しやすくなります。
- こまめに着替え、足を清潔に保ちましょう。
- 足拭きマットやスリッパを共有しない。
- 家族間でも、足拭きマットやスリッパの共有は避けましょう。
- 特に、水虫の症状がある人は、専用のものを使いましょう。
- 公共施設の足拭きマットやスリッパの使用を控える。
- 温泉やプール、銭湯などでは、足拭きマットやスリッパの使用を控えましょう。
水虫に関するQ&A
Q:水虫は、一度治ったらもうかからないのですか?
A: いいえ、水虫は再発しやすい病気です。
白癬菌は、環境中に存在するため、再び感染する可能性があります。
特に、夏場は高温多湿な環境になりやすく、白癬菌が繁殖しやすいため、再発のリスクが高まります。
Q:水虫の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、症状の程度や使用する薬によって異なります。
外用薬の場合、数週間から数ヶ月かかることがあります。
内服薬の場合、数ヶ月かかることがあります。
爪白癬の場合は、半年以上かかることもあります。
いずれの場合も、医師の指示に従って、根気強く治療を続けることが大切です。
Q:水虫の薬は、症状がなくなったらすぐにやめても良いですか?
A: いいえ、見た目には治ったように見えても、皮膚の奥深くに潜んでいることがあります。
そのため、自己判断で薬をやめてしまうと、再発する可能性が高くなります。
Q:水虫を放置するとどうなりますか?
A: 水虫を放置すると、症状が悪化したり、他の部位に感染が広がったりすることがあります。
- 症状の悪化: 痒みが激しくなったり、炎症が広がったりすることがあります。
- 他の部位への感染: 足だけでなく、手や爪、陰部などに感染が広がることもあります。
- 合併症: 細菌感染を合併し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などを引き起こすこともあります。
特に、糖尿病や免疫力が低下している人は、水虫を放置すると重症化するリスクが高まります。
看護師として伝えたいこと:辛い痒み、諦めずにご相談ください
水虫は、痒みや不快感を伴う、辛い病気です。
しかし、適切な治療と予防を行うことで、症状を和らげ、快適な生活を送ることができます。
「もしかして、水虫かも…?」
と、少しでも不安に感じたら、まずは医療機関を受診し、ご相談ください。
出典
- 日本皮膚科学会 白癬:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/index.html
- 関東労災病院 水虫の話:https://kantoh.johas.go.jp/column/20210419_8.html