「最近、排尿の勢いが弱くなった」
「夜中に何度もトイレに行くようになった」
もしかして、それは前立腺がんのサインかもしれません。
前立腺がんは、男性特有の病気で、早期発見と適切な治療が大切です。
この記事では、前立腺がんの原因、症状、検査、治療法、予防策、そしてよくある疑問について、看護師の視点から詳しく解説します。
前立腺がんとは：男性特有のがん
前立腺がんとは、前立腺という臓器にできるがんです。
前立腺は、男性の膀胱の下にあるクルミほどの大きさの臓器で、精液の一部を作る働きがあります。
前立腺がんは、早期発見できれば治癒する可能性が高いがんです。
前立腺がんの症状：排尿異常、血尿、骨への転移
前立腺がんの初期症状は、排尿異常が中心です。
- 排尿困難： 尿が出にくく、排尿に時間がかかる。尿の勢いが弱く、途中で途切れることもある。
- 頻尿： 排尿回数が増える。特に、夜間に何度もトイレに行くようになる。
- 残尿感： 排尿後も尿が残っている感じがする。
- 血尿： 尿に血が混じる。
- 排尿時痛： 排尿時に痛みがある。
進行すると、骨への転移による痛みが生じることがあります。
- 腰痛： 腰の痛み
- 背骨の痛み： 背骨の痛み
- 骨折： 骨がもろくなり、骨折しやすくなる
前立腺がんの原因：加齢、食生活、遺伝
前立腺がんの明確な原因はまだ解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
- 加齢： 年齢とともにリスクが高まる。50歳以上になると、罹患率が上昇し、70歳代がピークとなります。
- 食生活： 飽和脂肪酸の摂取過剰、野菜・果物の摂取不足は、前立腺がんのリスクを高める可能性があります。特に、赤身肉や乳製品の過剰摂取は、前立腺がんのリスクを高めると言われています。
- 遺伝： 家族に前立腺がん患者がいる場合、リスクが高まる。特に、父親や兄弟に前立腺がん患者がいる場合は、注意が必要です。
- 人種： 黒人男性は、白人男性に比べて前立腺がんの罹患率が高いことが知られています。
- 環境： 環境要因も、前立腺がんのリスクに関与している可能性があります。
前立腺がんの検査：PSA検査、直腸診、生検
前立腺がんの検査には、以下のものがあります。
- PSA検査： 血液中のPSA（前立腺特異抗原）値を測定する検査。PSA値が高い場合は、前立腺がんの疑いがあります。
- 直腸診： 医師が肛門から指を入れて、前立腺の状態を触診する検査。
- 生検： 前立腺の組織を採取して、がん細胞の有無を調べる検査。
PSA検査は、スクリーニング検査として有用ですが、PSA値が高いからといって、必ずしも前立腺がんであるとは限りません。前立腺肥大症や前立腺炎など、他の疾患でもPSA値が上昇することがあります。
直腸診は、前立腺の大きさや硬さ、表面の状態などを確認する検査です。
生検は、前立腺がんの確定診断に必要な検査です。
画像検査は、がんの広がりや転移の有無を調べるために行われます。
前立腺がんの治療：手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法
前立腺がんの治療法は、がんの進行度や患者さんの状態、年齢、合併症などを考慮して、医師が判断します。
- 手術： 前立腺を摘出する手術。
- 前立腺全摘除術： 前立腺と精嚢を摘出する手術。
- ロボット支援手術： ロボットアームを用いて、より精密な手術を行う。
- 放射線療法： 放射線を照射して、がん細胞を破壊する治療法。
- 外部照射療法： 体外から放射線を照射する治療法。
- 組織内照射療法（小線源療法）： 前立腺の中に放射線源を挿入する治療法。
- ホルモン療法： 男性ホルモンの分泌を抑えて、がん細胞の増殖を抑える治療法。
- 化学療法： 抗がん剤を使用して、がん細胞を破壊する治療法。
- その他：
- 凍結療法： 凍結させてがん細胞を破壊する治療法。
- 集束超音波療法（HIFU）： 超音波を照射してがん細胞を破壊する治療法。
前立腺がんの予防：食生活改善、適度な運動、定期的な検査
前立腺がんを予防するためには、以下の点に注意することが大切です。
- 食生活： 飽和脂肪酸の摂取を控え、野菜・果物を積極的に摂る。
- リコピン： トマトに多く含まれるリコピンは、前立腺がんの予防に効果的と言われています。
- イソフラボン： 大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、前立腺がんのリスクを下げると考えられています。
- 緑茶： 緑茶に含まれるカテキンも、前立腺がんの予防に役立つ可能性があります。
- 適度な運動： 肥満を解消し、適度な運動を続ける。
- 定期的な検査： 50歳以上の方は、定期的にPSA検査を受けましょう。
前立腺がんに関するQ&A
Q：PSA検査は、何歳から受けるべきですか？
A： 50歳以上の方には、PSA検査を受けることをお勧めします。
40歳以上で、家族に前立腺がん患者がいる場合は、早めの受診を検討しましょう。
Q：PSA検査で異常が見つかったら、どうすれば良いですか？
A： 泌尿器科を受診し、医師の指示に従って精密検査を受けましょう。
Q：前立腺がんは、遺伝しますか？
A： 遺伝する可能性はありますが、遺伝的な要因だけで発症するわけではありません。
Q：前立腺がんの治療には、副作用がありますか？
A： はい、治療法によっては、副作用が起こることがあります。
医師から十分な説明を受け、治療法を選択しましょう。
Q：前立腺がんの疑いがある場合、何科を受診すれば良いですか？
A： 泌尿器科を受診しましょう。
Q：前立腺がんの予防に効果的な食事はありますか？
A： 飽和脂肪酸を控え、野菜・果物を積極的に摂ることが大切です。
特に、リコピンを含むトマトや、イソフラボンを含む大豆製品は、前立腺がんの予防に効果的と言われています。
Q：前立腺がんの予防に効果的な運動はありますか？
A： ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的です。
適度な運動は、肥満解消にもつながり、前立腺がんのリスクを下げると考えられています。
看護師として伝えたいこと：定期的な検査と早期発見が大切
前立腺がんは、早期発見できれば治癒する可能性が高いがんです。
定期的に検査を受け、気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
出典
- 日本泌尿器科学会：https://www.urol.or.jp/
- 国立がん研究センター 前立腺がん：https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/index.html
