「最近、お腹が張る感じがする」
「便秘が続いている」
「体重が増えた気がする」
もしかして、それは卵巣がんのサインかもしれません。
卵巣がんは、早期発見が難しいがんですが、早期発見・早期治療によって治癒率が向上します。
この記事では、卵巣がんの原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
卵巣がんとは:女性特有のがん
卵巣がんとは、卵巣にできるがんの総称です。
卵巣は、子宮の左右にある親指大の臓器で、卵子を生成し、女性ホルモンを分泌する役割を担っています。
卵巣がんの種類:上皮性腫瘍、間質性腫瘍、胚細胞腫瘍
卵巣がんには、様々な種類がありますが、主なものとしては以下のものが挙げられます。
- 上皮性腫瘍:
- 卵巣の表面を覆う上皮細胞から発生するがんです。
- 最も多いタイプで、約9割を占めます。
- 間質性腫瘍:
- 卵巣の間質細胞から発生するがんです。
- 女性ホルモンを分泌することがあります。
- 胚細胞腫瘍:
- 卵巣の胚細胞から発生するがんです。
- 若い女性に多くみられます。
卵巣がんの罹患率:40歳代から増加
卵巣がんの年齢別の罹患率は、40歳代から増加し、50歳代前半でピークを迎えます。
その後、ほぼ横ばいとなり、80歳以上で再び増加します。
卵巣がんの原因:不明、遺伝的背景も考えられる
卵巣がんの直接的な原因は、まだ解明されていません。
しかし、遺伝的な背景や、排卵回数、生活習慣などが関係していると考えられています。
卵巣がんの誘因:不妊症、高年齢出産、肥満など
卵巣がんの誘因としては、以下のものが挙げられます。
- 不妊症
- 高年齢出産
- 晩婚
- 肥満
- 子宮内膜症
卵巣がんの症状:初期は無症状、進行すると様々な症状
卵巣がんは、初期にはほとんど症状がないことが多いです。
進行すると、腹部膨満感、腹痛、食欲不振、頻尿などの症状が現れます。
- 腹部膨満感:
- お腹が張る感じがします。
- 例:
- 最近、お腹周りが太ったように感じる。ベルトがきつくなった。
- 例:
- 太ったと勘違いする人も多いですが、腹水が溜まっている可能性もあります。
- お腹が張る感じがします。
- 腹痛:
- 下腹部や腰に痛みが生じます。
- 例:
- 生理痛のような痛みが続く
- 排便時に下腹部が痛む
- 例:
- 下腹部や腰に痛みが生じます。
- 食欲不振:
- 食欲が落ち、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
- 頻尿:
- 排尿回数が増加します。
卵巣がんの検査:内診、超音波検査、腫瘍マーカー検査
卵巣がんの診断には、以下の検査が行われます。
- 内診:
- 内診で、卵巣の状態や大きさなどを確認します。
- 超音波検査:
- 超音波で、卵巣の状態や腫瘍の有無などを確認します。
- 腫瘍マーカー検査:
- 血液検査で、腫瘍マーカーの値を調べます。
- CA125、CA19-9などが代表的な腫瘍マーカーです。
- 血液検査で、腫瘍マーカーの値を調べます。
これらの検査結果を総合的に判断し、卵巣がんの診断を行います。
卵巣がんの病期(ステージ):Ⅰ期~Ⅳ期
卵巣がんの病期(ステージ)は、がんの進行度合いによってⅠ期~Ⅳ期に分類されます。
- Ⅰ期:
- がんが片側または両側の卵巣にのみとどまっている状態
- Ⅱ期:
- がんが卵巣の周囲(卵管、子宮、直腸、膀胱などの腹膜)に転移している状態
- Ⅲ期:
- がんが卵巣の周囲(骨盤内)の腹膜だけでなく、上腹部にも転移しているか、あるいは後腹膜リンパ節に転移している状態
- Ⅳ期:
- がんが腹腔外に転移しているか、あるいは肝臓に転移している状態
卵巣がんの治療:外科療法、化学療法、放射線療法
卵巣がんの治療法には、外科療法(手術)、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法があります。
- 外科療法(手術):
- 卵巣、子宮、卵管、大網などを摘出します。
- 進行したがんでは、リンパ節や腹膜なども切除することがあります。
- 化学療法(抗がん剤治療):
- 抗がん剤を投与し、がん細胞を死滅させます。
- 手術後に再発を予防するために行われることが多いです。
- 例:
- パクリタキセル、カルボプラチンなどが使用されます。
- 副作用として、吐き気、脱毛、手足のしびれなどが挙げられます。
- 例:
- 放射線療法:
- 放射線を照射し、がん細胞を死滅させます。
- 進行したがんや、再発したがんに対して行われることがあります。
卵巣がんの予後:早期発見・早期治療が重要
卵巣がんの予後は、早期発見・早期治療によって大きく左右されます。
早期に発見されれば、手術で完全に切除できる可能性が高く、治癒が期待できます。
しかし、進行した状態で発見されると、治療が困難になることもあります。
卵巣がんの予防:定期的な検診、生活習慣の改善
卵巣がんを予防するためには、以下のことが大切です。
- 定期的な検診:
- 婦人科検診を定期的に受け、卵巣の状態を確認しましょう。
- 生活習慣の改善:
- バランスの取れた食事、適度な運動、適切な体重管理などを心がけましょう。
卵巣がんに関するQ&A
Q:卵巣がんは、遺伝しますか?
A: 卵巣がんの一部には、遺伝が関係していると考えられています。
家族に卵巣がんや乳がんの既往歴がある場合は、遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。
Q:卵巣がんの早期発見には、どのようなことに注意すればよいですか?
A: 卵巣がんは、初期にはほとんど症状がないため、定期的な検診を受けることが大切です。
また、腹部膨満感、腹痛、食欲不振、頻尿などの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
Q:卵巣がんの治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、がんの進行度や種類、治療法によって異なります。
数ヶ月~数年かかることもあります。
看護師として伝えたいこと:不安な気持ちに寄り添います
卵巣がんと診断された時は、不安や戸惑いでいっぱいだと思います。
「これからどうなるんだろう…」「治療はつらいのかな…」
そんな気持ちを抱えている方もいるかもしれません。
何か不安なことや心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
一緒に、病気と向き合い、より良い未来を目指しましょう。
出典
- 日本婦人科学会 卵巣の腫瘍とがん:https://www.jsog.or.jp/citizen/5715/
- 国立がん研究センター 卵巣がんの治療について:https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/gynecologic_surgery/003/index.html
- 厚生労働省 がんの早期発見とがん治療との両立:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/cancer.html