原因不明の骨の痛み、もしかして多発性骨髄腫?放置すると骨折や腎不全のリスクも!?早期発見と適切な治療で、自分らしい生活を取り戻しましょう

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「夜中にズキズキと痛み出し、寝返りを打つ度に目が覚める。痛み止めを飲んでも、なかなか痛みが引かない。」
「ちょっと転んだだけで骨折してしまった。最近、体がだるく、めまいもする。」

もしかしたら、それは多発性骨髄腫のサインかもしれません。

多発性骨髄腫は、血液のがんの一種で、早期発見と適切な治療が重要です。

この記事では、多発性骨髄腫の原因、症状、検査、対策、そして治療法について、看護師の視点から詳しく解説します。

多発性骨髄腫とは:形質細胞ががん化する病気

多発性骨髄腫とは、血液中の抗体を作る形質細胞ががん化し、骨髄内で異常に増殖する病気です。

がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)は、正常な血液細胞の生成を妨げ、骨を破壊したり、様々な臓器に障害を引き起こしたりします。

多発性骨髄腫の原因:遺伝的要因や放射線被ばくなどが考えられるが、多くは不明

多発性骨髄腫の主な原因は、以下の通りです。

  • 遺伝的要因:
    • 家族歴がある場合、発症リスクがわずかに高まる可能性があります。
    • しかし、ほとんどの場合は遺伝とは関係なく発症します。
  • 放射線被ばく:
    • 放射線に大量に被ばくした場合、発症リスクが高まる可能性があります。
    • 例えば、原爆被爆者や放射線治療を受けた経験がある方は、発症リスクが高いと言われています。
  • 化学物質:
    • ベンゼン、アスベスト、農薬などの化学物質に長期間さらされた場合、発症リスクが高まる可能性があります。
    • これらの物質は、骨髄に悪影響を及ぼすと考えられています。
  • 加齢:
    • 高齢になるほど発症リスクが高まります。
    • 60歳以上の方に多く見られます。
  • 性別:
    • 男性の方が女性よりもわずかに多い傾向があります。

しかし、これらの要因以外にも、多くの場合は原因不明です。

多発性骨髄腫の患者数:高齢になるほど増加

多発性骨髄腫の患者数は、高齢になるほど増加します。

特に、60歳以上の方に多く見られ、男性の方が女性よりもわずかに多い傾向があります。

多発性骨髄腫の症状:骨の痛み、貧血、腎機能障害など

多発性骨髄腫の主な症状は、以下の通りです。

  • 骨の痛み:
    • 夜中にズキズキと痛み出し、寝返りを打つ度に目が覚める。痛み止めを飲んでも、なかなか痛みが引かない。
    • 腰、背中、肋骨などに痛みが生じることが多く、骨折しやすくなります。
    • 骨髄腫細胞が骨を破壊することで、痛みが生じます。
  • 貧血:
    • 倦怠感、めまい、動悸などの貧血症状が現れます。
    • 骨髄腫細胞が正常な血液細胞の生成を妨げることで、貧血が起こります。
    • ヘモグロビン値が低下することで、酸素が全身に運ばれにくくなります。
  • 腎機能障害:
    • 尿量の減少、むくみ、吐き気などの腎機能障害が現れます。
    • 骨髄腫細胞が産生する異常なタンパク質が腎臓に蓄積することで、腎機能が低下します。
    • 腎臓は、血液中の老廃物をろ過する役割を担っています。
  • 感染症:
    • 発熱、咳、痰などの感染症にかかりやすくなります。
    • 骨髄腫細胞が正常な免疫機能を低下させることで、感染症にかかりやすくなります。
    • 免疫機能が低下すると、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まります。
  • 高カルシウム血症:
    • のどの渇き、吐き気、便秘などの高カルシウム血症の症状が現れます。
    • 骨が破壊されることで、血液中のカルシウム濃度が上昇します。
    • 高カルシウム血症は、意識障害や不整脈を引き起こすことがあります。
  • その他:
    • 出血しやすい、神経症状(手足のしびれ、麻痺など)が現れることがあります。
    • 骨髄腫細胞が神経を圧迫したり、異常なタンパク質が神経に影響を与えたりすることで、神経症状が現れます。

多発性骨髄腫の検査:血液検査、尿検査、骨髄検査、画像検査など

多発性骨髄腫の検査は、以下の方法で行われます。

  • 血液検査:
    • 貧血の有無、腎機能、カルシウム濃度、異常なタンパク質の有無などを調べます。
    • 血液検査費用は、保険適用で3割負担の場合、3,000円~5,000円程度です。
  • 尿検査:
    • 異常なタンパク質の有無、腎機能などを調べます。
    • 尿検査費用は、保険適用で3割負担の場合、1,000円~2,000円程度です。
  • 骨髄検査:
    • 骨髄液を採取し、骨髄腫細胞の有無や割合を調べます。
    • 確定診断のために必須の検査です。
    • 骨髄検査費用は、保険適用で3割負担の場合、10,000円~20,000円程度です。
  • 画像検査:
    • レントゲン検査、CT検査、MRI検査などで骨の状態や骨髄腫細胞の広がりを調べます。
    • レントゲン検査費用は、保険適用で3割負担の場合、1,000円~3,000円程度です。
    • CT検査費用は、保険適用で3割負担の場合、5,000円~10,000円程度です。
    • MRI検査費用は、保険適用で3割負担の場合、8,000円~15,000円程度です。
  • その他:
    • PET検査:がん細胞の活動を調べます。
    • 骨密度測定:骨の強度を調べます。

多発性骨髄腫の治療:化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植など

多発性骨髄腫の治療は、以下の方法があります。

  • 化学療法:
    • 抗がん剤を使用し、骨髄腫細胞の増殖を抑えます。
    • 治療の中心となる方法です。
    • 使用される薬剤は、ボルテゾミブ、レナリドミド、サリドマイドなどです。
    • 投与方法は、内服薬、点滴、注射などがあります。
    • 副作用は、吐き気、嘔吐、脱毛、白血球減少などです。
    • 副作用対策として、吐き気止めや白血球を増やす薬などが使用されます。
    • 化学療法費用は、使用する薬剤や投与方法によって異なりますが、保険適用で3割負担の場合、1ヶ月あたり5万円~20万円程度です。
  • 放射線療法:
    • 放射線を照射し、骨の痛みを和らげたり、骨折を予防したりします。
    • 骨病変に対する局所的な治療です。
    • 放射線治療費用は、照射範囲や回数によって異なりますが、保険適用で3割負担の場合、1回あたり3,000円~10,000円程度です。
  • 造血幹細胞移植:
    • 大量の抗がん剤や放射線治療を行った後に、患者自身の造血幹細胞や他者の造血幹細胞を移植し、骨髄機能を回復させます。
    • 若年者で全身状態が良い場合に検討されます。
    • 造血幹細胞移植費用は、移植方法や入院期間によって異なりますが、保険適用で3割負担の場合、50万円~100万円程度です。
  • サポーティブケア:
    • 貧血、腎機能障害、感染症などの合併症に対する治療や、痛みの緩和などを行います。
    • 貧血に対しては、赤血球輸血やエリスロポエチン製剤などが使用されます。
    • 腎機能障害に対しては、透析や腎機能改善薬などが使用されます。
    • 感染症に対しては、抗菌薬や抗ウイルス薬などが使用されます。
    • 痛みの緩和に対しては、鎮痛薬や放射線療法などが使用されます。
    • サポーティブケア費用は、使用する薬剤や治療内容によって異なりますが、保険適用で3割負担の場合、1回あたり1,000円~5,000円程度です。

多発性骨髄腫に関するQ&A

Q:多発性骨髄腫は、遺伝しますか?

A:多発性骨髄腫の遺伝性は低いと考えられていますが、家族歴がある場合、発症リスクがわずかに高まる可能性があります。
しかし、ほとんどの場合は遺伝とは関係なく発症します。

Q:多発性骨髄腫の生存率はどのくらいですか?

A:多発性骨髄腫の生存率は、病気の進行度患者さんの状態によって異なります。
近年、治療法の進歩により、生存率は向上していますが、残念ながら完治は難しい病気です。
しかし、適切な治療により、症状をコントロールし、自分らしい生活を送ることができます。

Q:多発性骨髄腫の人は、日常生活でどのようなことに注意すれば良いですか?

A:多発性骨髄腫の人は、以下のことに注意しましょう。

  • 感染症予防のため、手洗いやうがいを徹底しましょう。
  • 骨折予防のため、転倒に注意し、適度な運動を心がけましょう。
  • バランスの取れた食事を心がけ、貧血予防に努めましょう。
  • 医師の指示に従い、適切な薬物療法を受けましょう。
  • 定期的に医療機関を受診し、経過観察を受けましょう。

看護師として伝えたいこと:一人で悩まず、私たちを頼ってください

多発性骨髄腫は、長く付き合っていく病気です。

治療による副作用や病気の進行に対する不安など、様々な悩みを抱えることがあるかもしれません。

一人で悩まず、医療機関を頼ってください。

多発性骨髄腫と向き合い、自分らしい生活を取り戻しましょう。

出典

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