「最近、生理の量が多くて困っている」
「下腹部が痛むことがある」
もしかしたら、それは子宮筋腫かもしれません。
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。
この記事では、子宮筋腫の原因、症状、検査、治療法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
子宮筋腫とは:子宮の筋肉にできる良性の腫瘍
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、成人女性の約4人に1人が持っているといわれています。
子宮筋腫の種類:発生する場所で分類
子宮筋腫は、発生する場所によって、以下のように分類されます。
- 漿膜下筋腫:子宮の外側に向かって発育する筋腫
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉の中にできる筋腫
- 粘膜下筋腫:子宮の内側に向かって発育する筋腫
子宮筋腫の患者数:30~40代に多い
子宮筋腫は、30~40代の女性に多くみられます。
閉経後は、女性ホルモンの分泌が減少するため、筋腫が小さくなることが多いです。
子宮筋腫の原因:女性ホルモンの影響
子宮筋腫の主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの影響といわれています。
- エストロゲンは、子宮の筋肉を増殖させる作用があります。
- 初経年齢の低下や出産回数の減少により、エストロゲンにさらされる期間が長くなると、子宮筋腫のリスクが高まると考えられています。
子宮筋腫の症状:月経量の増加、下腹部痛、頻尿など
子宮筋腫の主な症状は、以下の通りです。
- 月経量の増加(過多月経):
- 以前よりも生理の量が増え、夜用ナプキンでも2時間ももたない。レバー状の血の塊が頻繁に出る。
- ナプキンを頻繁に交換する必要がある
- レバー状の血の塊が出る
- 不正出血:月経期間以外に出血がある
- 貧血:めまい、立ちくらみ、倦怠感
- 頻尿:子宮筋腫が膀胱を圧迫することで尿意を感じやすくなる
- 便秘:子宮筋腫が直腸を圧迫することで便が出にくくなる
- 下腹部痛、腰痛:子宮筋腫が神経を圧迫することで起こる
- 不妊、流産:子宮筋腫が子宮内腔や卵管を圧迫することで起こる
子宮筋腫の検査:内診、超音波検査、MRI検査など
子宮筋腫の検査は、以下の方法で行われます。
- 内診:医師が膣から指を入れて子宮の大きさや状態を確認します。
- 超音波検査:超音波を使って子宮や卵巣の状態を確認します。
- 腹部超音波検査と経膣超音波検査があります。
- 検査時間は15分~30分程度です。
- 検査費用は、保険適用で3割負担の場合、3,000円~5,000円程度です。
- MRI検査:磁気を使って子宮や卵巣の状態を詳しく確認します。
- 検査時間は30分~1時間程度です。
- 検査費用は、保険適用で3割負担の場合、5,000円~10,000円程度です。
- 血液検査:貧血の有無や腫瘍マーカー(CA125)などを調べます。
子宮筋腫の治療:経過観察、薬物療法、手術療法
子宮筋腫の治療法は、症状や筋腫の大きさ、年齢、妊娠の希望などによって選択されます。
- 経過観察:
- 筋腫が小さく、症状がない場合は、定期的な検査で経過を観察します。
- 薬物療法:
- GnRHアナログ製剤:女性ホルモンの分泌を抑え、筋腫を小さくします。
- 注射薬または点鼻薬があります。
- 副作用として、ホットフラッシュ、骨密度の低下などが起こることがあります。
- 黄体ホルモン放出子宮内システム(IUS):子宮内膜を薄くし、月経量を減らします。
- 子宮内に小さな器具を挿入します。
- 副作用として、不正出血、腹痛などが起こることがあります。
- 対症療法:鎮痛剤や止血剤で症状を緩和します。
- GnRHアナログ製剤:女性ホルモンの分泌を抑え、筋腫を小さくします。
- 手術療法:
- 子宮全摘術:子宮を全て摘出します。
- 開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術などがあります。
- 入院期間は、手術方法によって異なりますが、5日~1週間程度です。
- 筋腫核出術:筋腫のみを摘出し、子宮を残します。
- 開腹手術、腹腔鏡手術、子宮鏡手術などがあります。
- 入院期間は、手術方法によって異なりますが、3日~5日程度です。
- 子宮動脈塞栓術:子宮に栄養を送る血管を塞ぎ、筋腫を小さくします。
- カテーテルを使って血管を塞ぎます。
- 入院期間は、2日~3日程度です。
- 子宮全摘術:子宮を全て摘出します。
子宮筋腫に関するQ&A
Q:子宮筋腫は、放置しても大丈夫ですか?
A: 症状がない場合や、閉経が近い場合は、経過観察となることが多いです。しかし、筋腫が大きくなると、症状が悪化したり、他の病気を引き起こしたりする可能性があるため、定期的な検査を受けることが大切です。
Q:子宮筋腫の手術は、必ずする必要がありますか?
A: いいえ、手術は必ずしも必要ではありません。症状や筋腫の大きさ、年齢、妊娠の希望などを考慮して、医師と相談しながら治療法を決定します。
Q:子宮筋腫の手術後、妊娠できますか?
A: 筋腫核出術の場合は、子宮が残るため妊娠できる可能性があります。ただし、手術の方法や筋腫の大きさ、数によっては、妊娠が難しくなる場合もあります。子宮全摘術の場合は、子宮を摘出するため妊娠できません。
看護師として伝えたいこと:一人で悩まず、まずは相談を
子宮筋腫は、女性にとって身近な病気ですが、症状や治療法は人それぞれ異なります。
「もしかして、私も子宮筋腫かも…?」
そう思ったら、一人で悩まず、まずは医療機関を受診しましょう。
子宮筋腫と向き合い、快適な生活を送りましょう。
出典
- 日本産科婦人科学会 子宮筋腫:https://www.jsog.or.jp/citizen/5711/
- 厚生労働省 子宮筋腫 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修:https://w-health.jp/caring/hysteromyoma/