「最近、トイレが近くて何度も目が覚める」
「急に尿意が来て我慢できない」
「外出先でトイレの場所ばかり気にしてしまう」
もしかしたら、それは過活動膀胱の症状かもしれません。
過活動膀胱は、急な尿意や頻尿、切迫性尿失禁などの症状を引き起こし、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、過活動膀胱の原因、症状、検査、治療法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
過活動膀胱とは:急な尿意が特徴
過活動膀胱とは、膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていない状態でも急に尿意を感じてしまう状態をいいます。
過活動膀胱の症状:頻尿、尿意切迫、切迫性尿失禁
過活動膀胱の主な症状は、以下の通りです。
- 頻尿:
- 排尿回数が増加します。
- 日中は8回以上、夜間は2回以上の排尿が目安となります。
- 例:
- 日中、8回以上トイレに行く。
- 夜も2回以上トイレに起きる。
- 例:
- 尿意切迫:
- 急に尿意を感じ、我慢することが難しい状態です。
- 例:
- 急に尿意が来て、トイレまで間に合わないことがある。
- 外出先でトイレが見つからず、焦ってしまう。
- 例:
- 急に尿意を感じ、我慢することが難しい状態です。
- 切迫性尿失禁:
- 尿意切迫とともに、尿が漏れてしまうことです。
過活動膀胱の患者数:中高年に多い
過活動膀胱は、中高年に多くみられます。
日本では、40歳以上の男女の約12%が過活動膀胱を患っていると言われています。
過活動膀胱の原因:特定は困難、神経や筋肉の異常関与も
過活動膀胱の原因は、特定することが困難な場合が多いです。
しかし、神経や筋肉の異常が関与している可能性も指摘されています。
主な原因としては、以下のものが挙げられます。
- 神経因性:
- 脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷などによって、膀胱のコントロールが障害されること。
- 非神経因性:
- 前立腺肥大症、膀胱炎、糖尿病などによって、膀胱が刺激されやすくなること。
- その他:
- 加齢、肥満、生活習慣なども関与していると考えられています。
過活動膀胱の検査:問診、尿検査、超音波検査、膀胱内視鏡検査
過活動膀胱の診断には、以下の検査が行われます。
- 問診:
- 症状や、排尿習慣、既往歴などを詳しくお伺いします。
- 尿検査:
- 尿の状態を確認し、感染症や血尿などの有無を調べます。
- 超音波検査:
- 膀胱や腎臓の状態を確認します。
- 膀胱内視鏡検査:
- 膀胱の中を直接観察し、異常の有無を調べます。
これらの検査結果を総合的に判断し、過活動膀胱の診断を行います。
過活動膀胱の治療:薬物療法、行動療法、手術療法
過活動膀胱の治療は、薬物療法、行動療法、手術療法を組み合わせて行われます。
- 薬物療法:
- 抗コリン薬やβ3受容体刺激薬など、膀胱の収縮を抑える薬を使用します。
- 例:
- 抗コリン薬:
- コハク酸ソリフェナシン
- 塩化オキシブチニン
- β3受容体刺激薬:
- ミラベグロン
- 抗コリン薬:
- 例:
- 抗コリン薬やβ3受容体刺激薬など、膀胱の収縮を抑える薬を使用します。
- 行動療法:
- 膀胱訓練:
- 徐々に排尿間隔を長くしていくことで、膀胱の容量を増やします。
- 例:
- 最初は、1時間ごとにトイレに行く。
- 徐々に時間を延ばし、2時間、3時間と間隔を空けていく。
- 例:
- 徐々に排尿間隔を長くしていくことで、膀胱の容量を増やします。
- 骨盤底筋訓練:
- 骨盤底筋を鍛えることで、尿道を締め、尿漏れを予防します。
- 例:
- 肛門を締めるようなイメージで、数秒間力を入れ、ゆっくりと力を抜くことを繰り返す。
- 例:
- 排尿日誌:
- 排尿の回数や量、尿意の程度などを記録することで、排尿習慣を把握し、治療に役立てます。
- 骨盤底筋を鍛えることで、尿道を締め、尿漏れを予防します。
- 膀胱訓練:
- 手術療法:
- 薬物療法や行動療法で改善がみられない場合、手術を検討することがあります。
過活動膀胱の予防:生活習慣の改善、適切な水分摂取
過活動膀胱を予防するためには、生活習慣の改善が大切です。
- 肥満を解消する。
- 規則正しい排尿習慣を身につける。
- 適切な水分摂取を心がける。
- カフェインやアルコールの摂取を控える。
過活動膀胱に関するQ&A
Q:過活動膀胱の治療期間はどのくらいですか?
A: 過活動膀胱の治療期間は、症状の程度や、原因となっている病気によって異なります。
薬物療法や行動療法を継続することで、徐々に症状が改善されることが多いです。
Q:過活動膀胱を改善するためには、どんな運動をすれば良いですか?
A: 骨盤底筋訓練は、尿道を締め、尿漏れを予防する効果があります。
肛門を締めるようなイメージで、数秒間力を入れ、ゆっくりと力を抜くことを繰り返しましょう。
Q:過活動膀胱の症状が悪化する原因はありますか?
A: カフェインやアルコールの摂取、冷え、ストレスなどは、膀胱を刺激し、症状を悪化させる原因となります。
看護師として伝えたいこと:つらい症状、我慢しないで
過活動膀胱の症状は、本当につらいものです。
「またトイレに行きたくなったらどうしよう…」「外出先でトイレが見つからなかったらどうしよう…」
そんな不安や心配を抱えている方もいるかもしれません。
つらい症状は、我慢せずに、医療機関に相談してください。
出典
- 日本泌尿器科学会 尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~: https://www.urol.or.jp/public/symptom/02.html
- 近畿大学病院 過活動膀胱:https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/overactive_bladder.html