「最近、体がだるい」
「食欲がない」
「黄疸が出た」
もしかしたら、それはウイルス肝炎かもしれません。
ウイルス肝炎は、肝臓に炎症が起こる病気で、様々な原因によって引き起こされます。
その中でも、肝炎ウイルスによる感染が原因となるものが、ウイルス肝炎です。
この記事では、A型、B型、C型、D型、E型肝炎ウイルスの種類、症状、原因、検査、治療法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
ウイルス肝炎とは:肝臓の炎症
ウイルス肝炎とは、肝炎ウイルスに感染することによって、肝臓に炎症が起こる病気です。
ウイルス肝炎の種類:A型、B型、C型、D型、E型
肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。
それぞれのウイルスによって、感染経路や症状、治療法などが異なります。
ウイルス肝炎の患者数:B型、C型が多い
日本では、B型肝炎とC型肝炎の患者数が多いです。
詳しい統計データはありませんが、日本では約200万人がB型肝炎ウイルスに、約150万人がC型肝炎ウイルスに感染していると推計されています。
A型肝炎:経口感染、予後は良好
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスに感染することによって起こります。
- 感染経路:
- 経口感染であり、汚染された水や食物を摂取することによって感染します。
- 例:
- 生水や加熱不十分な食品(特に貝類)
- 衛生状態の悪い地域での旅行や生活
- 例:
- 経口感染であり、汚染された水や食物を摂取することによって感染します。
- 症状:
- 発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの風邪のような症状が現れます。
- 例:
- 体がだるくて、何もする気が起きない。
- 食欲がなく、吐き気がする。
- 熱が出て、下痢や腹痛がある。
- 例:
- 黄疸を伴うこともあります。
- 発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの風邪のような症状が現れます。
- 治療:
- 安静と栄養管理が中心となります。
- 多くの場合、1~2ヶ月で自然治癒します。
- 予防:
- 衛生環境の改善、ワクチン接種などが有効です。
B型肝炎:血液・体液感染、慢性化のリスク
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することによって起こります。
- 感染経路:
- 血液や体液を介して感染します。
- 輸血、注射針の使い回し、性交渉、母子感染などが主な感染経路です。
- 例:
- 過去の輸血や医療行為
- 性交渉
- 出産時の母子感染
- 例:
- 症状:
- 急性肝炎の場合は、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、黄疸などの症状が現れます。
- 慢性肝炎の場合は、症状がないこともありますが、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。
- 治療:
- 急性肝炎の場合は、安静と栄養管理が中心となります。
- 慢性肝炎の場合は、抗ウイルス薬やインターフェロン療法などが行われます。
- 予防:
- ワクチン接種、性交渉の際のコンドーム使用、血液や体液の取り扱いに注意することなどが有効です。
C型肝炎:血液感染、慢性化しやすい
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染することによって起こります。
- 感染経路:
- 血液を介して感染します。
- 輸血や医療器具の使い回しなどが主な感染経路です。
- 例:
- 過去の輸血や医療行為
- 注射針の使い回し
- 例:
- 症状:
- 急性肝炎の場合は、症状が軽いことが多いですが、慢性肝炎に移行しやすい特徴があります。
- 慢性肝炎の場合は、症状がないこともありますが、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。
- 治療:
- 抗ウイルス薬による治療が中心となります。
- 予防:
- 輸血や医療器具の安全性を確認すること、血液の取り扱いに注意することなどが有効です。
D型肝炎:B型肝炎ウイルスに重複感染
D型肝炎は、D型肝炎ウイルスがB型肝炎ウイルスに重複感染することによって起こります。
- 感染経路:
- B型肝炎ウイルスと同様に、血液や体液を介して感染します。
- 症状:
- B型肝炎の症状に加えて、劇症肝炎を引き起こすリスクが高くなります。
- 治療:
- B型肝炎の治療と同様に、抗ウイルス薬やインターフェロン療法などが行われます。
- 予防:
- B型肝炎の予防と同様に、ワクチン接種、性交渉の際のコンドーム使用などが有効です。
E型肝炎:経口感染、妊婦は重症化のリスク
E型肝炎は、E型肝炎ウイルスに感染することによって起こります。
- 感染経路:
- 経口感染であり、汚染された水や食物を摂取することによって感染します。
- 例:
- 生水や加熱不十分な食品(特に豚肉やイノシシ肉)
- 衛生状態の悪い地域での旅行や生活
- 例:
- 経口感染であり、汚染された水や食物を摂取することによって感染します。
- 症状:
- A型肝炎と同様に、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの風邪のような症状が現れます。
- 黄疸を伴うこともあります。
- 妊婦が感染すると、劇症肝炎を引き起こす****リスクが高くなります。
- 治療:
- 安静と栄養管理が中心となります。
- 多くの場合、1~2ヶ月で自然治癒します。
- 予防:
- 衛生環境の改善、加熱された食品を摂取することなどが有効です。
ウイルス肝炎に関するQ&A
Q:ウイルス肝炎は、どのようにして感染するのですか?
A: ウイルス肝炎の感染経路は、ウイルスの種類によって異なります。
A型とE型は経口感染、B型、C型、D型は血液や体液を介して感染します。
Q:ウイルス肝炎は、治りますか?
A: ウイルス肝炎の予後は、ウイルスの種類や症状の程度によって異なります。
A型とE型は自然治癒することが多いですが、B型とC型は慢性化しやすく、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。
D型はB型肝炎に重複感染することによって発症するため、B型肝炎の治療が重要となります。
Q:ウイルス肝炎を予防するためには、どうすれば良いですか?
A: ウイルス肝炎を予防するためには、ウイルスの種類に応じた対策を行うことが大切です。
A型とE型は、衛生環境の改善や食品の加熱などが有効です。
B型はワクチン接種や性交渉の際のコンドーム使用などが有効です。
C型は輸血や医療器具の安全性を確認することが重要です。
D型はB型肝炎の予防と同様の対策が有効です。
看護師として伝えたいこと:不安な気持ちに寄り添います
ウイルス肝炎と診断された方は、不安や心配を抱えているかもしれません。
「これからどうなるのだろう…」「日常生活に支障が出るのではないか…」
そんな気持ちを抱えている方もいると思います。
何か不安なことや心配なことがあれば、医療機関にお気軽にご相談ください。
一緒に、ウイルス肝炎と向き合い、より良い未来を目指しましょう。
出典
- 日本肝臓学会 ガイドラインhttps://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/
- 厚生労働省 ウイルス肝炎について(一般向け):https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/04.html