「排尿時に下腹部や陰部に痛みがある」
「頻尿や残尿感が続く」
「性欲が減退した」
もしかして、それは慢性前立腺炎かもしれません。
慢性前立腺炎は、前立腺の炎症が慢性的に続く病気で、様々な症状を引き起こします。
この記事では、慢性前立腺炎の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
慢性前立腺炎とは:前立腺の炎症が慢性的に続く状態
慢性前立腺炎とは、前立腺の炎症が慢性的に続く状態を指します。
細菌感染によるものと、細菌感染以外の原因によるものがあります。
慢性前立腺炎の種類:細菌性、非細菌性
慢性前立腺炎は、原因によって大きく2つに分けられます。
- 慢性細菌性前立腺炎:
- 細菌感染が原因で起こります。
- マイコプラズマ、クラミジア、トリコモナスなどが原因菌として挙げられます。
- 非細菌性前立腺炎:
- 細菌感染以外の原因で起こります。
- 原因は、特定できないことが多いです。
慢性前立腺炎の患者数:成人男性の多くが経験
慢性前立腺炎は、成人男性の多くが一生のうちに一度は経験すると言われています。
正確な患者数データはありませんが、約10人に1人が慢性前立腺炎を患っているという報告もあります。
慢性前立腺炎の原因:細菌感染、ストレス、物理的刺激など
慢性前立腺炎の原因は、様々ですが、主なものとしては以下のものが挙げられます。
- 細菌感染:
- マイコプラズマ、クラミジア、トリコモナスなどの細菌が前立腺に感染し、炎症を引き起こします。
- ストレス:
- 精神的なストレスや疲労などが、免疫力を低下させ、炎症を誘発することがあります。
- 物理的刺激:
- 長時間の座位や自転車など、前立腺を圧迫するような刺激が、炎症を誘発することがあります。
- その他:
- 自己免疫疾患、アレルギーなどが原因となることもあります。
慢性前立腺炎の症状:排尿時の痛み、頻尿、残尿感など
慢性前立腺炎の主な症状は、以下の通りです。
- 排尿時の痛み:
- 尿道、下腹部、陰嚢部などに鈍痛や不快感が生じます。
- 例:
- 排尿の度に、下腹部や陰部にズキズキとした痛みが走る
- 排尿後も、尿が残っているような感じが続く
- 例:
- 尿道、下腹部、陰嚢部などに鈍痛や不快感が生じます。
- 頻尿:
- 排尿回数が増加します。
- 例:
- 日中の排尿回数が8回以上になる
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 例:
- 排尿回数が増加します。
- 残尿感:
- 排尿後も尿が残っているような感じがします。
- 性機能障害:
- 性欲の減退や射精時の痛みなどが起こることがあります。
慢性前立腺炎の検査:問診、身体診察、尿検査、前立腺液検査
慢性前立腺炎の診断には、以下の検査が行われます。
- 問診:
- 症状や、排尿の状態、性生活などについて詳しくお伺いします。
- 身体診察:
- 直腸診を行い、前立腺の状態を確認します。
- 例:
- 肛門から指を入れて、前立腺の大きさや硬さ、圧痛などを確認します。
- 例:
- 直腸診を行い、前立腺の状態を確認します。
- 尿検査:
- 尿中の細菌や炎症の有無を調べます。
- 前立腺液検査:
- 前立腺液中の細菌や炎症の有無を調べます。
これらの検査結果を総合的に判断し、慢性前立腺炎の診断を行います。
慢性前立腺炎の治療:薬物療法、生活習慣の改善
慢性前立腺炎の治療は、薬物療法と生活習慣の改善が中心となります。
- 薬物療法:
- 抗菌薬:
- 細菌感染が原因の場合、抗菌薬を1~3ヶ月間程度内服します。
- 例:
- クラミジア感染症には、アジスロマイシン、クラリスロマイシンなどが使用されます。
- マイコプラズマ感染症には、ミノサイクリン、テトラサイクリンなどが使用されます。
- 例:
- 細菌感染が原因の場合、抗菌薬を1~3ヶ月間程度内服します。
- α遮断薬:
- 尿道を拡張し、排尿をスムーズにする効果があります。
- 例:
- タムスロシン、シロドシンなどが使用されます。
- 例:
- 尿道を拡張し、排尿をスムーズにする効果があります。
- 鎮痛薬:
- 痛みを和らげます。
- 例:
- ロキソニン、カロナールなどが使用されます。
- 例:
- 痛みを和らげます。
- 抗菌薬:
- 生活習慣の改善:
- 規則正しい生活:
- 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけましょう。
- ストレス解消:
- ストレスを溜め込まないように、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
- 物理的刺激の回避:
- 長時間の座位や自転車などを避け、前立腺への負担を軽減しましょう。
- 規則正しい生活:
慢性前立腺炎の予防:規則正しい生活、ストレス解消
慢性前立腺炎を予防するためには、以下のことが大切です。
- 規則正しい生活:
- 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけましょう。
- ストレス解消:
- ストレスを溜め込まないように、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
慢性前立腺炎に関するQ&A
Q:慢性前立腺炎は、自然に治ることはありますか?
A: 慢性前立腺炎は、自然に治ることもありますが、放置すると症状が悪化したり、慢性化したりする可能性もあるため、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
Q:慢性前立腺炎の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、原因や症状の程度によって異なります。
数週間~数ヶ月かかることもあります。
Q:慢性前立腺炎を予防するために、おすすめの生活習慣はありますか?
A: 慢性前立腺炎を予防するためには、規則正しい生活、ストレス解消、物理的刺激の回避などが大切です。
看護師として伝えたいこと:つらい症状、我慢しないで
慢性前立腺炎の症状は、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
「排尿時の痛みがつらい」「頻尿で夜も眠れない」
そんな悩みを抱えている方もいるかもしれません。
何か不安なことや心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
一緒に、慢性前立腺炎と向き合い、より快適な生活を取り戻しましょう。
出典
- 日本泌尿器科学会 排尿痛がある、排尿時に痛い:https://www.urol.or.jp/public/symptom/21.html
- 医療法人社団祐優会 治療法のない男性の陰部の痛みの最大の原因である「慢性前立腺炎」への新しい治療法に関する研究成果を発表:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000052582.html