「鼻詰まりがなかなか治らない」
「鼻をかむとドロドロした鼻水が出る」
「もしかして、蓄膿症?」
もしかして、それは慢性副鼻腔炎かもしれません。
慢性副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に炎症が起こる病気です。
この記事では、慢性副鼻腔炎の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは:副鼻腔の炎症が慢性化した状態
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは、鼻の奥にある副鼻腔という空洞に、炎症が慢性的に続く病気です。
副鼻腔は、鼻腔とつながっており、粘液を分泌して鼻腔内を潤す役割があります。
しかし、炎症が起こると、粘液の排出が滞り、膿が溜まってしまいます。
慢性副鼻腔炎の患者数:推定患者数1000万人以上
日本国内の慢性副鼻腔炎患者数は、推定1000万人以上と言われています。
慢性副鼻腔炎の原因:細菌感染、アレルギー、鼻の構造など
慢性副鼻腔炎の原因は、一つではなく、様々な要因が複合的に関与していると考えられています。
- 細菌感染:
- 風邪などがきっかけで、細菌感染が起こり、炎症が慢性化することがあります。
- アレルギー:
- アレルギー性鼻炎などが原因で、鼻の粘膜が腫れ、炎症が起こりやすくなることがあります。
- 鼻の構造:
- 鼻中隔弯曲や、副鼻腔の出口が狭いなど、鼻の構造的な問題が、炎症を長引かせる原因となることがあります。
- その他:
- 喘息、副鼻腔真菌症、薬剤性鼻炎なども、慢性副鼻腔炎の原因となることがあります。
慢性副鼻腔炎の症状:鼻詰まり、鼻水、後鼻漏、嗅覚障害など
慢性副鼻腔炎の主な症状は、以下の通りです。
- 鼻詰まり:
- 鼻の粘膜が腫れることで、鼻の通りが悪くなります。
- 例:
- 常に鼻が詰まっていて息苦しい
- 夜になると鼻詰まりがひどくなる
- 口呼吸になる
- 例:
- 鼻の粘膜が腫れることで、鼻の通りが悪くなります。
- 鼻水:
- 粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出ます。
- 例:
- 鼻をかむとドロドロした鼻水が出る
- 鼻水が喉に流れる
- 鼻をかみすぎて鼻の奥が痛い
- 例:
- 粘り気のある黄色や緑色の鼻水が出ます。
- 後鼻漏:
- 鼻水が喉に流れることがあります。
- 例:
- 喉に鼻水が張り付く感じがする
- 咳や痰が出る
- 喉の奥が気持ち悪い
- 例:
- 鼻水が喉に流れることがあります。
- 嗅覚障害:
- 鼻の炎症がひどくなると、匂いが分からなくなることがあります。
- 頭痛・顔面痛:
- 副鼻腔の炎症が周囲に広がると、頭痛や顔面痛が起こることがあります。
これらの症状は、慢性的に続き、日常生活に支障をきたすことがあります。
慢性副鼻腔炎の検査:鼻腔内視鏡検査、画像検査など
慢性副鼻腔炎の診断には、以下の検査が行われます。
- 鼻腔内視鏡検査:
- 鼻腔内を直接観察し、炎症の状態や、鼻茸(鼻ポリープ)の有無を確認します。
- 画像検査:
- CT検査などで、副鼻腔の状態を詳しく調べ、炎症の広がりや、他の病気がないかを確認します。
- アレルギー検査:
- アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、アレルギー検査を行います。
これらの検査結果を総合的に判断し、慢性副鼻腔炎の診断を行います。
慢性副鼻腔炎の治療:薬物療法、鼻洗浄、手術療法
慢性副鼻腔炎の治療は、以下の3つを柱として行われます。
- 薬物療法:
- 抗菌薬:
- 細菌感染が疑われる場合に、抗菌薬を使用します。
- マクロライド系抗菌薬の少量長期療法が、近年よく行われています。
- ステロイド薬:
- 炎症が強い場合に、ステロイド薬の点鼻薬や内服薬を使用します。
- 抗アレルギー薬:
- アレルギー性鼻炎が関与している場合は、抗アレルギー薬を使用します。
- 粘液溶解薬:
- 鼻水の粘度を下げ、排出しやすくする薬を使用します。
- 抗菌薬:
- 鼻洗浄:
- 鼻腔内の膿や粘液を洗い流し、炎症を抑えます。
- 手術療法:
- 薬物療法や鼻洗浄で改善が見られない場合は、手術を行うことがあります。
- 内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)が、現在主流の手術法です。
慢性副鼻腔炎の予防:生活習慣の改善、アレルギー対策
慢性副鼻腔炎を予防するためには、以下のことが大切です。
- 生活習慣の改善:
- 十分な睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 禁煙し、過度な飲酒は控えましょう。
- アレルギー対策:
- アレルギー性鼻炎がある場合は、アレルゲンを避け、適切な治療を行いましょう。
- 鼻うがい:
- 鼻うがいをすることで、鼻腔内の異物や刺激物を洗い流し、炎症を予防することができます。
慢性副鼻腔炎に関するQ&A
Q:慢性副鼻腔炎は、自然に治ることはありますか?
A: 軽度の慢性副鼻腔炎であれば、自然に治ることもあります。
しかし、多くの場合、適切な治療が必要です。
Q:慢性副鼻腔炎の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、症状の程度や、原因によって異なります。
数週間から数ヶ月かかることもあります。
Q:慢性副鼻腔炎の手術は、痛いですか?
A: 手術は、麻酔下で行われるため、痛みを感じることはほとんどありません。
術後は、多少の痛みや出血があることがありますが、徐々に改善していきます。
看護師として伝えたいこと:鼻の違和感が続く場合は、ご相談ください
慢性副鼻腔炎は、放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
鼻詰まりや鼻水などの症状が続く場合は、自己判断せずに、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「もしかして、慢性副鼻腔炎かも…?」
と、少しでも不安に感じたら、まずは医療機関を受診し、ご相談ください。
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