「昨日まで聞こえていた音が、今朝起きたら聞こえない」
「突然、片方の耳が聞こえなくなった」
「耳鳴りが止まらない」
もしかして、それは突発性難聴かもしれません。
突発性難聴は、原因不明のまま突然に聴力が低下する病気です。
発症後、早期の治療が大切なので、この記事では、突発性難聴の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
突発性難聴とは:突然に聴力が低下する原因不明の病気
突発性難聴とは、これまで正常に聞こえていた耳が、突然に、原因不明のまま聴力が低下する病気です。
多くの場合、片方の耳に起こり、高度の難聴(音を感じる部分の難聴)が生じます。
突発性難聴の患者数:年間約3万人
日本国内の突発性難聴患者数は、年間約3万人と推定されています。
突発性難聴の好発年齢:50~60歳代に多い
突発性難聴は、50~60歳代に多く発症しますが、若い人にも起こることがあります。
男女差はありません。
突発性難聴の症状:聴力低下、耳鳴り、耳閉感、めまいなど
突発性難聴の主な症状は、以下の通りです。
- 聴力低下:
- 突然、音が聞こえなくなる
- 音が小さく聞こえる
- 音が歪んで聞こえる
- 例:
- 今まで聞こえていた音が、突然聞こえなくなった
- 電話の音が聞こえなくなった
- テレビの音が聞こえなくなった
- 会話が聞き取りにくくなった
- 耳鳴り:
- キーンという音や、ブーンという音が聞こえる
- 例:
- 高音の耳鳴りが聞こえる
- 低音の耳鳴りが聞こえる
- 脈拍に合わせて耳鳴りが聞こえる
- 耳閉感:
- 耳が詰まったような感じがする
- めまい:
- 回転性のめまい(ぐるぐる回るようなめまい)
- 吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
これらの症状は、発症時に最も強く、その後徐々に軽減していくこともあります。
突発性難聴の原因:内耳の障害、ストレス、ウイルス感染など
突発性難聴の原因は、まだ特定されていません。
しかし、以下の要因が関与していると考えられています。
- 内耳の感覚神経細胞の障害:
- 内耳の血液循環障害
- ウイルス感染
- 自己免疫疾患
- ストレス:
- 精神的なストレス
- 過労
- その他:
- 遺伝的要因
これらの要因が複合的に絡み合い、突発性難聴を発症すると考えられています。
突発性難聴の検査:聴力検査、平衡機能検査、画像検査など
突発性難聴の診断には、以下の検査が行われます。
- 聴力検査:
- 音の聞こえ方を調べ、難聴の程度や種類を判定します。
- 平衡機能検査:
- めまいの原因を調べる検査です。
- 画像検査:
- MRI検査などで、脳や内耳の状態を調べ、他の病気がないかを確認します。
これらの検査結果を総合的に判断し、突発性難聴の診断を行います。
突発性難聴の治療:薬物療法、高気圧酸素療法、安静など
突発性難聴の治療は、発症後1週間以内に開始することが望ましいとされています。
主な治療法は、以下の通りです。
- 薬物療法:
- ステロイド薬:炎症を抑え、聴力回復を促します。
- 血管拡張薬:内耳の血流を改善します。
- ビタミン剤:神経細胞の機能を改善します。
- 高気圧酸素療法:
- 高濃度の酸素を吸入することで、内耳の血流を改善し、聴力回復を促します。
- 安静:
- ストレスや過労を避け、心身を休ませることが大切です。
これらの治療法を組み合わせることで、より効果的に突発性難聴を改善することができます。
突発性難聴の予後:早期治療が大切
突発性難聴の予後は、早期治療ができたかどうかによって大きく左右されます。
発症後1週間以内に治療を開始できた場合は、聴力回復の可能性が高いとされています。
しかし、治療が遅れると、聴力回復が難しくなることがあります。
突発性難聴の予防:ストレスマネジメント、生活習慣の改善
突発性難聴を予防するためには、以下のことが大切です。
- ストレスマネジメント:
- ストレスを溜め込まず、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
- 生活習慣の改善:
- 十分な睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- 禁煙し、過度な飲酒は控えましょう。
突発性難聴に関するQ&A
Q:突発性難聴は、誰でもなる可能性がありますか?
A: はい、誰でもなる可能性があります。
ストレス社会と呼ばれる現代において、多くの人が突発性難聴に悩んでいます。
Q:突発性難聴は、自然に治ることはありますか?
A: 軽度の突発性難聴であれば、自然に治ることもあります。
しかし、重症の場合は、早期治療が必要です。
Q:突発性難聴の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、症状の程度や、治療法によって異なります。
数週間から数ヶ月かかることもあります。
看護師として伝えたいこと:聞こえ方に違和感を感じたら、ご相談ください
突発性難聴は、早期発見・早期治療が大切な病気です。
聞こえ方に違和感を感じたら、自己判断せずに、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
「もしかして、突発性難聴かも…?」
と、少しでも不安に感じたら、まずは医療機関を受診し、ご相談ください。
出典
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 突発性難聴とは?:https://owned.jibika.or.jp/suddendeafness
- 厚生労働省 突発性難聴について:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/sensory-organ/s-001.html