骨がスカスカ?骨粗鬆症の症状・原因・検査・治療を解説

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「骨がスカスカ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これは、骨粗鬆症という病気の状態を表す言葉で、骨の密度が低下し、もろく脆くなってしまうことを意味します。
まるで軽石のようにスカスカになった骨は、わずかな衝撃でも簡単に骨折してしまう危険性があります。
特に高齢の方に多く見られ、転倒などがきっかけで大腿骨頸部骨折などの重篤な骨折につながり、寝たきりの原因となることもあります。
日本では、1000万人以上の方が骨粗鬆症であると推定されています。

この記事では、「骨がスカスカ」とはどういうことなのか、骨粗鬆症とはどのような病気なのか、その症状、原因、検査方法、治療法、そして予防法について、最新の情報に基づき、解説します。

骨粗鬆症とは:骨密度が低下し、骨が脆くなる状態

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨からカルシウムなどのミネラルが過剰に溶け出し、骨密度(骨量)が低下することで、骨がもろく、脆くなる病気です。

正常な骨はスポンジのような構造をしていますが、骨粗鬆症になるとその穴が大きくなり、骨全体がスカスカの状態になります。

骨の内部構造が劣化し、骨の強度が低下することで、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。

骨粗鬆症の症状:背中や腰の痛み、身長の低下、骨折など

骨粗鬆症自体には、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。
「静かなる病気」とも呼ばれています。
しかし、骨密度の低下が進むにつれて、以下のような症状が現れることがあります。

  • 背中や腰の慢性的な痛み: 背骨がもろくなることで、慢性的な痛みを感じることがあります。
  • 背中が丸くなる(円背): 背骨が圧迫骨折を起こすことで、背中が丸くなることがあります。
  • 身長の低下: 背骨の圧迫骨折が進行すると、数センチ身長が低くなることもあります。
  • 骨折(脆弱性骨折): わずかな転倒や、重いものを持った際などに、骨折しやすくなります。特に、以下の部位の骨折は骨粗鬆症が原因で起こりやすいとされています。
    • 脊椎圧迫骨折: 背骨(脊椎)の骨折。
    • 大腿骨頸部骨折: 太ももの付け根(大腿骨の首部分)の骨折。寝たきりの原因となることもあります。年間数万人の方が大腿骨頸部骨折によって寝たきりになると報告されています。
    • 橈骨遠位端骨折: 手首の骨折。
  • その他の骨折: 上記以外にも、肋骨、上腕骨、骨盤など、さまざまな部位で骨折が起こりやすくなります。

骨粗鬆症の原因:女性ホルモンの減少、加齢、生活習慣などが影響

骨粗鬆症の主な原因は、以下のとおりです。

  • 女性ホルモンの減少: 女性は閉経を迎える頃から、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下します。エストロゲンは骨の健康維持に重要な役割を果たしているため、その減少が骨粗鬆症の大きな原因となります。そのため、特に閉経後の女性に多く見られます。
  • 加齢: 加齢に伴い、骨を作る骨形成の働きが低下し、骨を壊す骨吸収の働きが活発になるため、骨密度が低下しやすくなります。
  • 生活習慣:
    • カルシウム不足: カルシウムは骨の主成分であるため、不足すると骨密度が低下しやすくなります。
    • ビタミンD不足: ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、不足すると骨の健康が損なわれます。
    • 運動不足: 適度な運動は骨に刺激を与え、骨密度を維持する効果があります。運動不足は骨粗鬆症のリスクを高めます。
    • 日光浴不足: ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されます。日光浴不足はビタミンD不足につながり、骨粗鬆症のリスクを高めます。
    • 喫煙、過度の飲酒: 喫煙や過度の飲酒は骨密度を低下させる要因となります。
  • 病気や薬の影響:
    • 副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの病気: これらの病気は骨粗鬆症を引き起こすことがあります。
    • ステロイド薬の長期服用: 腎皮質ステロイド薬を長期間服用していると、骨粗鬆症のリスクが高まります。
    • その他の病気: 慢性腎臓病、慢性肝臓病、糖尿病、関節リウマチなどの病気も骨粗鬆症のリスクを高めます。

骨粗鬆症の検査:骨密度測定などで診断

骨粗鬆症の診断には、主に以下の検査が行われます。

  • 骨密度測定: 骨の密度を測定する検査です。DXA法(二重エネルギーX線吸収法)が最も精度が高いとされています。
  • X線検査: 骨折の有無や骨の変形などを確認するために行われます。
  • 血液検査、尿検査: カルシウム、ビタミンD、骨代謝マーカーなどを測定し、骨粗鬆症の原因や状態を評価します。

骨粗鬆症の治療:食事療法、運動療法、薬物療法

骨粗鬆症の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせて行います。

  • 食事療法: カルシウムやビタミンDを豊富に含む食品を積極的に摂取します。カルシウムを多く含む食品(乳製品、小魚、海藻類など)を積極的に摂取するだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品(魚介類、きのこ類など)も一緒に摂取するように心がけましょう。
  • 運動療法: 適度な運動は骨に刺激を与え、骨密度を維持する効果があります。ウォーキング、軽いジョギング、筋力トレーニングなどが推奨されます。ただし、骨折のリスクがある場合は、医師や理学療法士の指導のもとで行うようにしましょう。例えば、スクワットや片足立ちなどの筋力トレーニングは、自宅でも簡単に行うことができます。
  • 薬物療法: 骨の形成を促進する薬(カルシウム製剤、活性型ビタミンD製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチドなど)、骨の吸収を抑制する薬(ビスホスホネート製剤、SERM、抗RANKL抗体薬など)などが使用されます。薬の種類は、骨粗鬆症の状態や患者さんの状況によって医師が判断します。その他、骨折リスクが高い場合には、骨折を防ぐための装具療法や、骨折が起きた場合の治療として手術療法などが選択されることもあります。

骨粗鬆症の予防:バランスの取れた食事、適度な運動、日光浴

骨粗鬆症は、生活習慣を見直すことで予防することが可能です。

  • バランスの取れた食事: カルシウムやビタミンDを十分に摂取するように心がけましょう。
  • 適度な運動: 骨に適切な刺激を与える運動を習慣にしましょう。
  • 日光浴: 1日15分程度の日光浴を目安にしましょう。ただし、日焼け止めを使用する場合は、ビタミンDの生成が阻害される可能性があるため、長時間の外出時以外は日焼け止めをせずに日光浴をするか、食事からの摂取を心がけましょう。
  • 禁煙、節酒: 喫煙や過度の飲酒は避けましょう。
  • 定期的な骨密度検査: 特に閉経後の女性や高齢の方は、定期的に骨密度検査を受けることをお勧めします。

骨粗鬆症は、自覚症状がないまま進行し、骨折を引き起こす可能性のある病気です。
特に高齢の方は、日頃から予防を心がけ、定期的な検診を受けるようにしましょう。

出典リスト

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