なぜ赤ちゃんができない?不妊症の原因・検査・治療法を分かりやすく解説【看護師監修】

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「私たち夫婦のところには、いつになったら赤ちゃんが来てくれるんだろう…」
「周りの妊娠報告を聞くたびに、どうして私たちだけ…と落ち込んでしまう」

もしあなたがそう感じているなら、どうか一人で悩まないでください。

不妊症は、決して特別なことではありません。
多くの方が経験する可能性があり、決してあなただけの問題ではないのです。

この記事では、不妊症のリアルな現状、その原因、検査、治療法、そして今すぐできることまで、看護師の視点から、あなたの不安な気持ちに寄り添いながら、丁寧に解説します。

妊娠を願うすべての方へ:知っておきたい不妊症の定義

不妊症とは、「妊娠を希望し、避妊をせずに性交渉を1年間以上行っているにもかかわらず、妊娠に至らない状態」と定義されています。
以前は2年間とされていましたが、より早期の相談や検査・治療開始が推奨されています。

初めて妊娠を経験しない場合を原発性不妊、過去に妊娠したことはあるものの、その後1年以上妊娠しない場合を続発性不妊と呼びます。

誰のせい?不妊症の原因:男女双方にある可能性

不妊症の原因は、決して女性だけにあるわけではありません。

約半数は男性因子、女性因子それぞれに原因があり、約2割は男女双方に原因があるか、原因不明とされています。

ご夫婦で協力して原因を探ることが大切です。

男性側に考えられる原因:

  • 精子の数や運動率、形態の異常
  • 精子の通り道の閉塞
  • 勃起や射精の障害
  • 精巣静脈瘤、感染症、ホルモン異常など

女性側に考えられる原因:

  • 排卵障害(無排卵、排卵不順など)
  • 卵管の閉塞や狭窄、癒着
  • 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮ポリープ
  • 頸管粘液の異常
  • 免疫異常
  • ホルモン異常、甲状腺機能異常など

加齢による卵子や精子の質の低下も、妊娠しにくくなる大きな要因です。

特に女性の場合、35歳を過ぎると妊娠する力は徐々に低下すると言われています。

最初の一歩:不妊症の検査は何をするの?

不妊治療は、まず原因を特定することから始まります。
ご夫婦で協力して検査を受けることが大切です。

男性側の主な検査:

  • 精液検査(精子の数、運動率、形態などを詳しく調べます)
  • 血液検査(ホルモンなどを調べることがあります)
  • 超音波検査(精巣や精管の状態を確認します)

女性側の主な検査:

  • 基礎体温測定(排卵の有無や周期を把握します)
  • 経腟超音波検査(卵巣や子宮の状態、卵胞の発育などを確認します)
  • 血液検査(ホルモン値、卵巣機能などを調べます)
  • 子宮卵管造影検査(卵管の通り具合や子宮の形状を確認します)
  • フーナーテスト(性交渉後の頸管粘液と精子の状態を確認します)
  • 子宮鏡検査(子宮内腔の状態を直接観察します)
  • 腹腔鏡検査(子宮内膜症などが疑われる場合に行われることがあります)

これらの検査結果をもとに、医師がご夫婦に合った治療法を提案します。

どんな治療法がある?不妊治療のステップと費用感

不妊治療は、段階的に進められることが一般的です。

  1. タイミング法: 排卵日を予測して性交渉のタイミングを指導(比較的体への負担が少ない)
  2. 排卵誘発法: 薬や注射で排卵を促す(タイミング法と併用も)
  3. 人工授精(AIH): 良好な精子を子宮内に注入(タイミング法などで妊娠しない場合に検討)
  4. 体外受精(IVF): 体外で受精させて受精卵を子宮に戻す(卵管に問題がある場合などに検討、1回数十万円以上)
  5. 顕微授精(ICSI): 卵子に直接精子を注入する体外受精(精子の状態が悪い場合に検討、体外受精と同程度の費用)

費用は治療法や医療機関によって大きく異なります。
近年、保険適用となる治療もありますが、年齢や回数に制限があります。
事前に医療機関に確認しましょう。

治療と心のケア:誰かに相談することも大切

不妊治療は、時間も費用もかかり、精神的な負担も大きいものです。

  • 治療の成否に一喜一憂してしまう
  • 周りの妊娠報告に心が痛む
  • 検査や治療による体の負担を感じる

そんな時は、一人で悩まずに、パートナーと気持ちを共有しましょう。

医療機関のカウンセリングや、不妊治療経験者の交流会なども、心の支えになることがあります。
SNS上のコミュニティで悩みを共有するのも良いかもしれません。

悩まず相談を:不妊治療の専門機関へ

もし、なかなか赤ちゃんを授からず、一人で悩んでいるなら、勇気を出して不妊専門の医療機関に相談してみてください。

専門の医師やスタッフが、あなたの気持ちに寄り添い、適切な検査と治療法を提案してくれます。

不妊症Q&A

Q:不妊症の検査は、いつ頃から始めるのが良いですか?

A:一般的には、1年間避妊せずに性交渉をしても妊娠しない場合に、検査を検討し始めるのが目安です。ただし、女性が35歳以上の場合や、何か気になる症状がある場合は、より早めに相談することをおすすめします。

Q:不妊治療の助成金制度はありますか?

A:はい、国や自治体によっては、不妊治療費の一部を助成する制度があります。所得制限や年齢制限など、条件がありますので、お住まいの自治体のホームページや、医療機関の相談窓口で確認してみましょう。

Q:男性不妊の場合、どのような治療が多いですか?

A:男性不妊の治療は、原因によって異なります。
精子の数が少ない場合は、生活習慣の改善や薬物療法、人工授精や体外受精などが検討されます。
精子の通り道に問題がある場合は、手術が必要になることもあります。
まずは泌尿器科や男性不妊専門の医療機関を受診し、詳しい検査を受けることが大切です。

Q:高齢でも不妊治療で妊娠できますか?

A:高齢になるほど、妊娠する確率は一般的に低くなります。
特に女性の場合、卵子の質が低下するため、35歳を過ぎると妊娠率は徐々に低下し、40歳を過ぎるとさらに厳しくなります。
しかし、適切な治療を行うことで妊娠する可能性はあります。
早めに専門医に相談し、ご自身の状況に合った治療法を選択することが重要です。

Q:不妊治療をやめるタイミングは、どのように判断すれば良いでしょうか?

A:不妊治療をやめるタイミングは、ご夫婦の年齢、経済的な状況、精神的な負担などを考慮して、ご夫婦でよく話し合って決めることが大切です。
医師やカウンセラーとも相談しながら、後悔のない決断ができるようにしましょう。

看護師として伝えたいこと:不妊治療は、決してゴールが見えないわけではありません。

赤ちゃんを望む道のりは、決して平坦ではありません。
不安や焦りを感じることもあるでしょう。しかし、決して一人で悩まずに、医療者を頼ってください。一緒に、未来への希望を見つけていきましょう。

出典

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