歩くのがツライ…もしかして国民病?脊柱管狭窄症の初期症状と自分でできる改善策【看護師監修】

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「ちょっと買い物に行っただけでも、すぐに足が重くなって休憩しないと歩けない…」
「最近、腰から足にかけて、ピリピリとしたしびれを感じるようになってきた…」

もしあなたがそう感じているなら、それは決して「年のせい」だけではないかもしれません。

もしかしたら、近年増加している「国民病」とも言える脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)の初期症状かもしれません。

加齢とともに多くなるこの病気ですが、早期に気づき、適切な対処をすることで、症状の進行を遅らせ、快適な生活を送ることは十分に可能です。

この記事では、脊柱管狭窄症の初期症状、その原因、そして自分でできる改善策について、看護師の視点から分かりやすく解説します。

歩行困難のサイン?脊柱管狭窄症とは

脊柱管(せきちゅうかん)とは、背骨の中にある神経の通り道のこと。

脊柱管狭窄症は、この大切なトンネルが狭くなり、中の神経が圧迫されることで、腰や足に様々な症状が現れる病気です。

特に、腰の部分に起こりやすいのが特徴です。

典型的な症状:休むと楽になる「間欠跛行」と神経の痛み

脊柱管狭窄症の代表的な症状は、間欠跛行(かんけつはこう)と神経痛です。

  • 歩行と休憩を繰り返す:間欠跛行
    • まっすぐ立って歩くと、数分から十数分程度で足が重くなったり、しびれたり、痛くなったりして、それ以上歩くのがつらくなります。
    • しかし、前かがみになったり、座って休んだりすると、症状がスーッと楽になり、再び歩けるようになります。この「歩ける→休む」を繰り返すのが、間欠跛行の大きな特徴です。
  • 腰から足への神経の痛み:神経痛
    • 腰やお尻から始まり、太ももの裏側、すね、足先にかけて、ピリピリ、ジンジン、または電気が走るような痛みやしびれを感じます。
    • 安静にしている時や、夜間に症状が強く感じられることもあります。

これらの症状に加えて、慢性的な腰痛や、まれに排尿・排便の異常が現れることもあります。

なぜ神経が圧迫される?脊柱管が狭くなるメカニズム

脊柱管が狭くなる主な原因は、加齢に伴う背骨の変化です。

  • クッションの劣化:椎間板の変性・突出
    • 背骨と背骨の間でクッションの役割を果たす椎間板が、加齢とともに水分を失い、変形したり、飛び出したりすることで、神経の通り道を狭めます。
  • 靭帯の肥厚: 脊柱管の周りの靭帯が、加齢とともに厚みを増し、神経を圧迫します。
  • 骨の変形:骨棘(こつきょく)の形成
    • 加齢や長年の負担により、背骨や関節の一部が変形し、骨の棘のようなものができ、神経に触れてしまいます。

これらの変化が単独で、あるいは複合的に起こり、脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫され、様々な症状を引き起こします。

初期症状を見逃さないで!自分でできる改善策

もし、歩行時の足の重さやしびれを感じ始めたら、以下のセルフケアを試してみましょう。

  • 楽な姿勢を見つける:前かがみを意識する
    • 立っている時や歩く時に、少し前かがみの姿勢をとることで、脊柱管が広がり、神経の圧迫が軽減されることがあります。
  • 温めて血行促進:入浴や温湿布
    • 腰や足を温めることで、筋肉の緊張が和らぎ、血行が促進され、痛みが軽減することがあります。
  • 無理のないストレッチ:こまめに行う
    • 痛みのない範囲で、腰や足の筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチを行いましょう。例えば、膝を胸に引き寄せるストレッチなどが有効な場合があります。
  • 杖を活用する:歩行時の負担軽減
    • 歩行時に杖を使うことで、腰への負担を減らし、楽に歩けることがあります。
  • コルセットを試す:腰の安定をサポート
    • コルセットを装着することで、腰を安定させ、痛みを軽減する効果が期待できます。ただし、長期間の使用は筋力低下につながる可能性があるため、医師や理学療法士に相談しましょう。

これらのセルフケアは、あくまで症状を和らげるためのステップです。
症状が改善しない場合は、必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

専門医による治療:進行抑制と生活の質向上

医療機関では、あなたの症状や状態に合わせて、様々な治療法が検討されます。

  • 痛みを和らげる薬:内服薬や注射
    • 痛み止めや、神経の痛みに効果のある薬、血行を改善する薬などが用いられます。神経ブロック注射で、直接痛みを和らげることもあります。
  • 運動療法:リハビリテーション
    • 理学療法士の指導のもと、筋力トレーニングやストレッチ、正しい姿勢や動作の指導などが行われ、症状の改善や進行予防を目指します。
  • 手術:神経の圧迫を取り除く
    • 保存療法で症状が改善しない場合や、日常生活に大きな支障がある場合、排尿・排便障害がある場合などに、狭くなった脊柱管を広げ、神経の圧迫を取り除く手術が検討されます。

治療法は、あなたの状態に合わせて選択されます。医師や理学療法士とよく相談し、納得のいく治療法を見つけましょう。

「もしかして?」と思ったら:まずは整形外科へ

もし、この記事を読んで「もしかして自分も?」と感じたら、自己判断せずに、まずは整形外科を受診してください。

専門医による正確な診断と、あなたに合った治療を受けることが、快適な生活を取り戻すための最も重要な一歩です。

脊柱管狭窄症Q&A

Q:脊柱管狭窄症は、運動で治りますか?どんな運動が良いですか?

A:運動は、症状の緩和や進行予防には有効ですが、完全に治癒させることは難しい場合があります。比較的簡単に行える運動としては、ウォーキングや水中ウォーキング、サイクリングなど、腰への負担が少ない有酸素運動が良いでしょう。
ストレッチでは、膝を抱えるストレッチや、仰向けで両膝を立てて左右にゆっくり倒すストレッチなどがおすすめです。
ただし、痛みが強い時や、症状が悪化するような場合は無理に行わず、必ず医師や理学療法士に相談してから行いましょう。

Q:脊柱管狭窄症と診断されましたが、日常生活で気をつけることはありますか?

A:日常生活では、以下の点に注意しましょう。
* 重いものを持ち上げるのを避ける: やむを得ない場合は、腰を曲げずに膝を曲げて持ち上げるようにしましょう。
* 長時間同じ姿勢を続けない: デスクワークなど、長時間同じ姿勢が続く場合は、こまめに休憩を挟み、ストレッチを行いましょう。
* 適切な靴を選ぶ: ヒールの高い靴や底の薄い靴は避け、クッション性があり、安定した靴を選びましょう。
* 冷えに注意する: 腰や足を冷やさないように、温かい服装を心がけましょう。

Q:脊柱管狭窄症の手術は怖いのですが、どんな場合にするのでしょうか?

A:手術は、保存療法を一定期間行っても症状が改善しない場合や、日常生活に著しい支障がある場合、排尿・排便障害が現れた場合などに検討されます。
手術の方法も様々で、近年では負担が少ない低侵襲手術も行われています。手術を受けるかどうかは、医師と十分に相談し、メリットとデメリットを理解した上で判断しましょう。

Q:脊柱管狭窄症を予防するために、若い頃からできることはありますか?

A:若い頃からの予防策としては、
* 正しい姿勢を習慣にする
* 適度な運動で筋力を維持する(特に体幹の筋肉)
* 肥満を防ぐ
* 重いものを持ち上げる際は楽なフォームを意識する
* 長時間同じ姿勢を避ける などが挙げられます。

Q:脊柱管狭窄症に良い食べ物はありますか?

A:特定の食べ物が脊柱管狭窄症に直接的な効果を発揮するという科学的な根拠はありません。
しかし、バランスの取れた食事を心がけ、骨や筋肉の健康維持に必要なカルシウムやビタミンD、タンパク質などを摂取することは大切です。
また、肥満予防のために、カロリーコントロールも重要です。

看護師として伝えたいこと:歩くことは、健康寿命を延ばすための大事なステップです。痛みやしびれを我慢せずに、医療機関にご相談ください

脊柱管狭窄症による足の痛みやしびれは、活動範囲を狭め、生活の質を大きく低下させてしまいます

しかし、早期に適切なケアを行うことで、症状を和らげ、再び快適な生活を送ることは可能です。

「年のせいだから仕方ない」と諦めずに、まずは整形外科を受診してくださいね。

出典

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