「赤い発疹が全身に出て、熱っぽい…」
「首のリンパ節が腫れて痛い…」
「妊娠中に風疹にかかったら、赤ちゃんに何か影響があるの…?」
もしかしたら、それは風疹(三日ばしか)かもしれません。
風疹は、風疹ウイルスの感染によって起こる感染症で、発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。
特に、妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(CRS)という重い障害が起こる可能性があるため、注意が必要です。
この記事では、風疹の症状、原因、予防接種、最新情報について、看護師の視点から詳しく解説します。
風疹(三日ばしか)とは:風疹ウイルスの感染によって起こる感染症
風疹(三日ばしか)は、風疹ウイルスの感染によって起こる感染症で、発熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。
一般的に、子どもは軽い症状で済みますが、大人は高熱や関節炎などを伴い、重症化することがあります。
感染力が強く、飛沫感染によって人から人へ感染が広がります。
風疹の症状:発熱、発疹、リンパ節の腫れなど
風疹の主な症状は、以下の通りです。
- 発熱:
- 38度前後の発熱
- 発熱がない場合もある
- 発熱は3日ほどで治まることが多い
- 発疹:
- 全身に赤い小さな発疹
- 発疹は顔から首、全身へと広がる
- 発疹は3日ほどで消える
- かゆみを伴うことがある
- リンパ節の腫れ:
- 耳の後ろや首のリンパ節が腫れる
- リンパ節の腫れは数週間続くことがある
- 痛みを感じることがある
- その他:
- 関節炎(特に成人女性):手首や指などの関節が腫れて痛む
- 結膜炎:目が充血し、かゆみや痛みを感じる
- 咽頭痛:喉が痛くなり、咳や痰が出ることがある
- 頭痛
- 倦怠感
これらの症状は、感染してから14~21日間の潜伏期間を経て現れます。
また、感染しても症状が現れない不顕性感染の場合もあります。
風疹の原因:風疹ウイルスの感染
風疹は、風疹ウイルスの感染によって起こります。
感染経路は、主に以下の2つです。
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことによって感染します。
- 接触感染:感染者の唾液や鼻水などに直接触れることによって感染します。
感染力が強く、特に妊娠初期の女性への感染は、赤ちゃんに先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
風疹の合併症:血小板減少性紫斑病、脳炎、先天性風疹症候群(CRS)など
風疹は、まれに以下の合併症を引き起こすことがあります。
- 血小板減少性紫斑病:
- 血小板が減少し、出血しやすくなる病気
- 皮膚や粘膜に出血斑が現れる
- 重症化すると、脳出血などを引き起こすことがある
- 脳炎:
- 脳に炎症が起こる病気
- 発熱、頭痛、嘔吐、意識障害などの症状が現れる
- 重症化すると、後遺症が残ることがある
- 先天性風疹症候群(CRS):
- 妊娠初期の女性が風疹に感染すると、赤ちゃんに心臓病、白内障、聴力障害などの障害が起こる病気
- 妊娠初期の感染ほど、赤ちゃんに重い障害が起こるリスクが高い
- 妊娠1ヶ月以内の感染:約50%
- 妊娠2ヶ月の感染:約35%
- 妊娠3ヶ月の感染:約18%
これらの合併症は、重症化すると命に関わることもあります。
風疹の予防接種:妊娠を希望する女性や周囲の人は予防接種を
風疹は、予防接種によって予防することができます。
特に、以下の人は予防接種を受けることが推奨されます。
- 妊娠を希望する女性:
- 妊娠前に予防接種を受け、十分な抗体価を得ておくことが大切です。
- 予防接種後2ヶ月は避妊が必要です。
- 妊娠中の女性の夫や子ども:
- 妊娠中の女性への感染を防ぐため、周囲の人が予防接種を受けることが大切です。
- 医療従事者:
- 感染リスクが高いため、定期的な抗体検査と予防接種が必要です。
- 教育関係者:
- 子どもへの感染を防ぐため、予防接種を受けることが望ましいです。
- 海外渡航者:
- 風疹が流行している地域へ渡航する場合は、予防接種が必要です。
- 昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性:
- 風疹の抗体保有率が低い世代であるため、積極的に予防接種を受けることが推奨されています。
予防接種は、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種するのが一般的です。
予防接種後、軽い発熱や発疹、リンパ節の腫れなどが現れることがありますが、通常は数日で自然に治ります。
風疹の治療法:対症療法が中心
風疹には、特別な治療法はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。
- 解熱鎮痛薬:発熱や関節炎などの症状を和らげます。
- 安静:体を休めることが大切です。
- 水分補給:脱水症状を防ぐために、こまめに水分を補給しましょう。
- 症状が重い場合や、合併症が疑われる場合は、入院治療が必要になることもあります。
風疹のQ&A
Q:風疹にかかったかも?と思ったらどうすればいいですか?
A:風疹は、感染力が強い病気です。
発熱や発疹などの症状が現れた場合は、周囲の人への感染を防ぐため、早めに医療機関を受診しましょう。
特に、妊娠中の女性や妊娠を希望する女性は、必ず医師に相談してください。
Q:風疹の潜伏期間はどれくらいですか?
A:風疹の潜伏期間は、14~21日間です。
感染してから症状が現れるまで、2週間以上かかることがあります。
Q:風疹は一度かかれば、二度とかからないのでしょうか?
A:通常、風疹は一度かかると免疫ができ、二度とかかることはありません。
しかし、まれに再感染することがあります。
再感染した場合でも、症状は軽いことが多いです。
Q:大人が風疹にかかると、子どもより重症化しやすいのでしょうか?
A:はい、大人が風疹にかかると、子どもより高熱や関節炎などの症状が現れやすく、重症化しやすい傾向があります。
特に、成人女性は関節炎を合併することが多いです。
Q:妊娠中に風疹にかかったら、赤ちゃんに必ず障害が起こるのでしょうか?
A:妊娠中に風疹にかかると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(CRS)が起こる可能性があります。
しかし、必ず障害が起こるわけではありません。
妊娠初期の感染ほど、赤ちゃんに重い障害が起こるリスクが高くなります。
Q:風疹の予防接種は、妊娠中でも受けられますか?
A:風疹の予防接種は、生ワクチンであるため、妊娠中は受けることができません。
妊娠を希望する女性は、妊娠する前に予防接種を受けましょう。
また、予防接種後2ヶ月は避妊が必要です。
Q:風疹の予防接種の費用は、どれくらいかかりますか?
A:風疹の予防接種の費用は、医療機関によって異なります。
自治体によっては、助成制度がある場合もありますので、お住まいの自治体にご確認ください。
看護師として伝えたいこと:風疹から赤ちゃんを守るために
風疹は、妊娠中の女性にとって、赤ちゃんに重い障害を引き起こす可能性がある非常に危険な病気です。
妊娠を希望する女性や、妊娠中の女性の周囲にいる人は、風疹の予防接種を受け、感染予防に努めましょう。風疹から赤ちゃんを守るために、予防接種を推奨します。
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