「最近、生理が全然来なくて不安…」
「顔や体に、男性みたいな濃い毛が生えてきた…」
「ニキビが全然治らないし、体重も増えてきた…もしかして、妊娠できないの…?」
もしかしたら、あなたは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について悩んでいますか?
PCOSは、月経異常や多毛、肥満などを引き起こす可能性のある疾患です。
放置すると、不妊や生活習慣病のリスクを高める可能性もあるため、正しい知識と適切な対処が大切です。
この記事では、PCOSの症状、原因、治療法について、看護師の視点から詳しく解説します。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは:ホルモンバランスの乱れによる疾患
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵巣内で多数の卵胞が発育するものの、排卵が起こりにくくなる疾患です。
ホルモンバランスの乱れが主な原因と考えられており、月経不順や無月経などの月経異常、ニキビや多毛、肥満などの症状が現れることがあります。
PCOSは、不妊の原因となることもあります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状:月経異常、多毛、肥満など
PCOSの主な症状は、以下の通りです。
- 月経異常:
- 稀発月経:35日以上の間隔で月経が起こる
- 頻発月経:24日以内の短い間隔で月経が起こる
- 無月経:3ヶ月以上月経がない
- 過多月経:月経量が多い
- 多毛:
- 顔、胸、背中、下腹部などに男性のような濃い毛が生える
- ひげのように濃い毛が鼻の下に生えてきた
- 胸毛や腹毛が濃くなった
- ニキビ:
- 治りにくいニキビができる
- 思春期以降もニキビが続く
- ニキビ跡が残りやすい
- 肥満:
- 特に、上半身に脂肪がつきやすい
- お腹周りに脂肪がつきやすい
- 体重が増加しやすい
- その他:
- 排卵障害:排卵が起こりにくい
- 不妊:妊娠しにくい
- 睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に呼吸が止まる
- 精神的な症状:不安、抑うつなど
これらの症状は、個人差が大きく、すべてが現れるわけではありません。
また、症状の程度も、軽いものから日常生活に支障をきたすほどの重いものまで様々です。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因:ホルモンバランスの乱れなど
PCOSの原因は、まだはっきりと解明されていませんが、以下の要因が複雑に関与して発症すると考えられています。
- ホルモンバランスの乱れ:
- アンドロゲン過剰:卵巣で男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌が過剰になる
- インスリン抵抗性:インスリンの働きが悪くなり、血糖値が上昇しやすくなる
- LH分泌異常:黄体形成ホルモン(LH)の分泌が過剰になる
- これらのホルモンバランスの乱れが、卵胞の発育を妨げ、排卵を抑制する
- 遺伝的要因:
- 家族にPCOSの人がいると、発症しやすい
- 特定の遺伝子がPCOSの発症に関与している可能性
- 生活習慣:
- 肥満:肥満はインスリン抵抗性を悪化させ、PCOSのリスクを高める
- 運動不足:運動不足はインスリン抵抗性を悪化させる
- ストレス:ストレスはホルモンバランスを乱し、PCOSのリスクを高める
これらの要因が単独で、または複合的に作用して、PCOSを発症すると考えられています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療法:薬物療法、生活習慣の改善など
PCOSの治療法は、年齢や症状の程度、妊娠を希望するか否かなどによって異なります。
- 薬物療法:
- 低用量ピル:月経周期を整え、アンドロゲンの分泌を抑える
- エストロゲンとプロゲスチンが含まれる
- 卵巣の働きを抑制し、排卵を止める
- 月経周期を規則的にする
- 排卵誘発剤:排卵を促し、妊娠を希望する場合に使用する
- クロミフェン、ゴナドトロピンなど
- 卵胞の発育を促し、排卵を起こす
- 多胎妊娠のリスクがある
- インスリン抵抗性改善薬:インスリンの働きを改善し、排卵を促す
- メトホルミンなど
- 血糖値を下げ、インスリン抵抗性を改善する
- 排卵を促し、月経周期を規則的にする
- 抗アンドロゲン薬:多毛やニキビなどの症状を改善する
- スピロノラクトン、酢酸シプロテロンなど
- アンドロゲンの働きを抑える
- 多毛やニキビを改善する
- 低用量ピル:月経周期を整え、アンドロゲンの分泌を抑える
- 生活習慣の改善:
- 食事療法:バランスの取れた食事を心がけ、体重を減らす
- 低GI食品、高タンパク質食品、食物繊維を積極的に摂取する
- 揚げ物、菓子類、炭水化物の摂り過ぎを控える
- 1日3食、規則正しく食事をする
- 運動療法:適度な運動を行い、インスリン抵抗性を改善する
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を1日30分以上行う
- 筋力トレーニングも取り入れる
- 継続して運動することが大切
- ストレス管理:ストレスを溜め込まないようにする
- 十分な睡眠をとる
- 趣味やリラックスできる時間を持つ
- ストレスを溜め込まないように、誰かに相談する
- 食事療法:バランスの取れた食事を心がけ、体重を減らす
- 手術:
- 腹腔鏡下卵巣多孔術:卵巣に小さな穴を開け、排卵を促す
- 薬物療法で効果がない場合や、妊娠を強く希望する場合に検討する
- 卵巣の表面にレーザーで小さな穴を開ける
- 排卵を促し、月経周期を規則的にする
- 腹腔鏡下卵巣多孔術:卵巣に小さな穴を開け、排卵を促す
これらの治療法は、専門医と相談しながら、最適な方法を選択することが大切です。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のQ&A
Q:PCOSは、放置するとどうなりますか?
A:PCOSを放置すると、以下のようなリスクがあります。
- 不妊:排卵障害により、妊娠しにくくなることがあります。
- 子宮内膜増殖症、子宮体がん:エストロゲンの影響で子宮内膜が厚くなり、がん化することがあります。
- 生活習慣病:インスリン抵抗性により、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患などのリスクが高まります。
- 精神的な症状:月経不順や多毛などにより、精神的なストレスを感じることがあります。
これらのリスクを避けるためにも、適切な治療を受けることが大切です。
Q:PCOSの治療期間は、どのくらいかかりますか?
A:PCOSの治療期間は、症状の程度や治療への反応によって異なります。
月経周期を整える治療や、多毛・ニキビの治療は、数ヶ月から年単位で継続することがあります。
不妊治療の場合は、妊娠するまで治療を継続することがあります。
根気強く治療を続けることが大切です。
Q:PCOSの治療費は、どのくらいかかりますか?
A:PCOSの治療費は、治療法や医療機関によって異なります。
薬物療法の場合、1回の診察料と薬代で数千円程度です。
手術を行う場合は、入院費や手術費用がかかります。
医療費助成制度を利用できる場合もありますので、医療機関や自治体にご相談ください。
Q:PCOSは、自然に治りますか?
A:PCOSは、自然に治ることはありません。
しかし、適切な治療と生活習慣の改善により、症状をコントロールすることは可能です。
根気強く治療を続けることで、妊娠の可能性も高まります。
Q:PCOSの相談は、何科に行けば良いですか?
A:PCOSの相談は、婦人科や内分泌内科で受け付けています。
看護師として伝えたいこと:一人で悩まず、専門医に相談しましょう
PCOSは、一人で悩まず、専門医に相談することが大切です。
適切な治療と生活習慣の改善により、症状をコントロールし、より良い生活を送ることができます。
出典
- 日本産科婦人科学会 多のう胞性卵巣と言われました。どのような病気ですか:https://www.jaog.or.jp/qa/mature/jyosei191211/
- 日本内分泌学会 多嚢胞性卵巣症候群:https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=75