「階段の上り下りがつらい」
「膝が痛くて歩くのが億劫」
もしかしたら、それは変形性膝関節症かもしれません。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、変形することで痛みや機能障害を引き起こす病気です。
この記事では、変形性膝関節症の原因、症状、治療法、予防法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
変形性膝関節症とは:膝関節の軟骨がすり減る病気
変形性膝関節症は、加齢や肥満、過去の怪我などが原因で、膝関節の軟骨が徐々にすり減り、関節が変形していく病気です。
変形性膝関節症の種類:原因で分類
変形性膝関節症は、原因によって以下のように分類されます。
- 一次性変形性膝関節症:
- 加齢や遺伝的要因などが原因で起こります。
- 原因が特定できない場合も含まれます。
- 二次性変形性膝関節症:
- 過去の怪我(半月板損傷、靭帯損傷など)、病気(関節リウマチなど)、肥満などが原因で起こります。
変形性膝関節症の患者数:高齢女性に多い
変形性膝関節症は、高齢者に多くみられ、特に女性に多いことが知られています。
日本では、約2,500万人の患者がいると推定されています。
変形性膝関節症の原因:加齢、肥満、過去の怪我など
変形性膝関節症の主な原因は、以下の通りです。
- 加齢:
- 加齢に伴い、軟骨の弾力性が失われ、すり減りやすくなります。
- 肥満:
- 体重が増加すると、膝関節への負担が大きくなり、軟骨のすり減りが進行しやすくなります。
- 過去の怪我:
- 半月板損傷や靭帯損傷などの怪我をすると、関節の安定性が損なわれ、軟骨のすり減りが進行しやすくなります。
- 遺伝的要因:
- 家族に同じ病気の人がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。
- その他:
- O脚やX脚などの膝の変形、骨粗鬆症、関節リウマチなども原因となることがあります。
変形性膝関節症の症状:膝の痛み、腫れ、変形など
変形性膝関節症の主な症状は、以下の通りです。
- 膝の痛み:
- 初期には、立ち上がりや歩き始めに、ズキズキとした痛みを感じることが多いです。
- 階段の上り下りが特につらい。
- 進行すると、安静時や夜間にも痛みを感じるようになります。
- 膝の腫れ:
- 関節に炎症が起こると、関節液が溜まり、膝が腫れることがあります。
- 膝の変形:
- 軟骨がすり減り、関節が変形すると、O脚やX脚になることがあります。
- 可動域制限:
- 膝の曲げ伸ばしが制限され、正座や階段の上り下りが困難になることがあります。
- その他:
- 関節の軋轢音(きしむ音)や不安定感を感じることがあります。
変形性膝関節症の検査:X線検査、MRI検査など
変形性膝関節症の検査は、以下の方法で行われます。
- X線検査:
- 関節の変形や軟骨のすり減り具合を確認します。
- MRI検査:
- 軟骨や半月板の状態を詳しく確認します。
- MRI検査は、磁気と電波を使って体の内部を詳しく調べる検査です。
- 検査時間は30分~1時間程度です。
- 検査中は、大きな音がするため、耳栓をすることがあります。
- 軟骨や半月板の状態を詳しく確認します。
- 関節液検査:
- 関節液を採取し、炎症の有無や感染の有無などを調べます。
変形性膝関節症の治療:保存療法、手術療法
変形性膝関節症の治療は、症状の程度によって以下のような方法が選択されます。
- 保存療法:
- 運動療法:
- 膝周囲の筋力強化や関節の柔軟性を高める運動を行います。
- 例:
- 水中ウォーキング
- サイクリング
- スクワット
- ストレッチ
- 例:
- 運動は、毎日続けることが大切です。
- 膝周囲の筋力強化や関節の柔軟性を高める運動を行います。
- 物理療法:
- 温熱療法や電気刺激療法などで、痛みを緩和します。
- 薬物療法:
- 鎮痛剤や湿布などで、痛みを緩和します。
- ヒアルロン酸の関節内注射で、関節の動きを滑らかにします。
- ヒアルロン酸は、関節液に含まれる成分で、関節の動きを滑らかにする働きがあります。
- 注射は、1週間に1回、5回程度行います。
- 装具療法:
- サポーターや足底板などで、膝への負担を軽減します。
- 体重コントロール:
- 減量により、膝への負担を軽減します。
- 運動療法:
- 手術療法:
- 保存療法で効果が得られない場合や、症状が進行している場合は、手術を検討します。
- 関節鏡手術:
- 関節内の洗浄や軟骨の修復などを行います。
- 高位脛骨骨切り術:
- 脛骨の一部を切り取り、膝の変形を矯正します。
- 人工膝関節置換術:
- 変形した関節を人工関節に置き換えます。
変形性膝関節症の予防:適切な運動、体重コントロール
変形性膝関節症を予防するためには、以下のことに注意しましょう。
- 適切な運動:
- 膝への負担が少ない水中ウォーキングやサイクリングなどがおすすめです。
- 膝周囲の筋力強化運動も効果的です。
- 体重コントロール:
- 肥満にならないように、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
- 膝への負担軽減:
- 正座やしゃがみ込みなど、膝に負担がかかる姿勢を避けましょう。
- ハイヒールなど、不安定な靴の使用を控えましょう。
- 早期発見・早期治療:
- 膝に痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
はい、承知いたしました。変形性膝関節症に関するQ&Aの続きです。
変形性膝関節症に関するQ&A
Q:変形性膝関節症は、一度発症したら治らないのですか?
A: 変形性膝関節症は、進行性の病気であり、完全に治すことは難しいですが、適切な治療により、症状の進行を遅らせ、痛みを軽減することは可能です。
Q:変形性膝関節症の治療期間はどのくらいですか?
A: 変形性膝関節症の治療期間は、症状の程度や治療法によって異なります。
保存療法の場合は、数ヶ月から数年に及ぶことがあります。
手術療法の場合は、入院期間やリハビリ期間を含め、数週間から数ヶ月かかることがあります。
Q:変形性膝関節症の人は、どのような運動をすれば良いですか?
A: 変形性膝関節症の人には、膝への負担が少ない運動がおすすめです。
水中ウォーキング、サイクリング、ストレッチなどが良いでしょう。
医師や理学療法士と相談し、自分に合った運動を行いましょう。
看護師として伝えたいこと:痛みを我慢せず、早めに相談を
変形性膝関節症は、日常生活に大きな支障をきたす病気です。
「年のせいだから仕方ない」「痛みを我慢すれば大丈夫」
そう思って、痛みを我慢している方もいるかもしれません。
一人で悩まず、医療機関に相談してくださいね。
出典
- 日本整形外科学会 変形性膝関節症:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 変形性膝関節症:https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/disease/disease01.html