え、大人も顔パンパン!?おたふく風邪の恐怖:重症化リスク、合併症、予防接種の真実【看護師監修】

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「なんだか最近、顔が腫れてきた…特に耳の下あたりがズキズキ痛む…」
「熱っぽくて、喉も痛い気がする…まさか、おたふく風邪!?」

子供の頃の病気だと思われがちなおたふく風邪ですが、実は大人もかかることがあります。
そして、大人がかかると、子供よりも症状が重くなりやすく、合併症のリスクも高まる可能性があるのです。

この記事では、大人も子供も注意したいおたふく風邪の症状、感染力、登園・登校の目安、そして何よりも気になる合併症、予防接種の真実まで、看護師の視点から、あなたの疑問や不安にしっかりと向き合い、徹底的に解説します。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)とは:ムンプスウイルスが引き起こす、顔の腫れと痛みを伴う感染症

流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)は、ムンプスウイルスというウイルスによって引き起こされる、急性のウイルス性感染症です。

一般的には「おたふくかぜ」と呼ばれ、唾液腺の中でも最も大きい耳下腺が腫れて痛むのが特徴です。

感染力が強く、主に飛沫感染や接触感染によって拡散し、保育園や幼稚園、学校などで集団発生することがあります。一度かかると、通常は終生免疫が得られます。

見逃さないで!おたふく風邪の初期症状と特徴的な症状

おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染してから2~3週間の潜伏期間を経て、症状が現れます。

  • 耳下腺の腫れと痛み:
    • 最も特徴的な症状で、耳たぶの前から下にかけての耳下腺が腫れて痛みます。
    • 腫れは左右どちらか一方から始まり、1~2日後に反対側も腫れてくることが多いです。
    • 腫れのピークは3日程度で、その後徐々に引き、通常5日~1週間で治まります。
    • 腫れた部分を押すと強い痛みを感じることがあります。
  • 嚥下痛:
    • 耳下腺の腫れと痛みにより、食べ物や飲み物を飲み込む際に痛みを感じることがあります。
  • 発熱:
    • 多くの場合は微熱程度ですが、耳下腺が腫れる前から腫れのピーク時まで続くことがあります。
  • その他の初期症状:
    • 頭痛
    • 筋肉痛
    • 関節痛
    • 食欲不振
    • 倦怠感

これらの症状が現れた場合は、おたふく風邪の可能性を疑い、無理せず安静にし、医療機関を受診しましょう。

甘く見ると危険!おたふく風邪の重症化リスクと注意すべき合併症

おたふく風邪は、一般的には予後が良い病気ですが、決して油断はできません。特に大人がかかった場合や、まれに子供でも、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

  • 無菌性髄膜炎(2~10%):
    • 発熱、激しい頭痛、嘔吐などが主な症状です。多くは後遺症なく治りますが、注意深い経過観察が必要です。
  • 脳炎(まれ):
    • 意識障害、けいれんなどを伴う重篤な合併症です。
  • 膵炎(まれ):
    • 腹痛、嘔吐などの症状が見られます。
  • 難聴(ムンプス難聴):
    • 以前は比較的まれとされていましたが、近年、発症頻度が高いという報告もあります(約1,000人に1人)。多くの場合、回復しない重篤な後遺症を残します。突然、片側の耳が聞こえなくなることが多いとされています。
  • 睾丸炎(思春期以降の男性の10~30%):
    • 睾丸が腫れて激しい痛みを伴います。不妊の原因となる可能性も指摘されています。
  • 卵巣炎(思春期以降の女性の約7%):
    • 下腹部痛や発熱が見られます。

これらの合併症は、おたふく風邪の症状が治まった後に現れることもあるため、注意が必要です。症状が悪化した場合は、速やかに医療機関を受診してください。

どうやって感染する?おたふく風邪の感染力と感染経路、予防策

おたふく風邪は、非常に感染力が強いウイルス感染症です。

  • 主な感染経路:
    • 飛沫感染:感染者の咳、くしゃみ、会話などによって放出されたウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。
    • 接触感染:感染者が触れた物にウイルスが付着し、その物に触れた人が自分の口や鼻に触れることで感染します。
  • 感染力が強い期間:
    • 耳下腺が腫れる3日前から、腫れが完全に引くまで(通常9日程度)とされています。症状が出る前から感染力があるため、感染拡大を防ぐためには、早期の対応が重要です。
  • 感染予防策:
    • 手洗い、うがいの徹底:基本的な感染症対策をしっかり行いましょう。
    • 咳エチケット:咳やくしゃみをする際は、ティッシュや袖で口や鼻を覆いましょう。
    • 流行期の不要な外出を控える:特に免疫のない方は、流行期の人混みを避けるようにしましょう。
    • 予防接種:最も有効な予防策です。

どうすれば治る?おたふく風邪の治療と安静期間の目安

おたふく風邪には、ムンプスウイルスに直接効果のある抗ウイルス薬はありません。治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。

  • 安静:
    • 発熱や倦怠感が強い場合は、無理せず安静に過ごしましょう。特に、合併症のリスクがある場合は、医師の指示に従い、安静にすることが重要です。
  • 解熱鎮痛薬:
    • 発熱や痛みがつらい場合は、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使用します。自己判断で使用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
  • 水分補給:
    • 脱水症状を防ぐために、こまめに水分補給を心がけましょう。
  • 食事:
    • 腫れや痛みで飲み込みにくい場合は、柔らかく、刺激の少ない食事を摂りましょう。酸味のあるものや硬いものは痛みを悪化させることがあります。

安静期間の目安:

  • 学校保健安全法では、耳下腺の腫れが引いてから2日を経過するまでが出席停止期間と定められています。
  • 大人の場合は、症状が落ち着くまで、無理のない範囲で自宅療養することが推奨されます。医師の指示に従い、出勤再開の時期を判断しましょう。

症状が長引く場合や、頭痛、嘔吐、耳の異常などの合併症が疑われる場合は、速やかに医療機関を再受診してください。

おたふく風邪からあなたを守る!予防接種の効果と安全性

おたふく風邪を最も効果的に予防する方法は、予防接種(ワクチン)です。

  • 予防効果:
    • 1回の接種で約80~90%、2回の接種でさらに高い予防効果が期待できます。
    • 接種によって、感染しても症状が軽く済むことが多いとされています。
  • ワクチンの種類と接種時期:
    • 日本では、生ワクチンが用いられています。
    • 定期接種の対象ではありませんが、任意接種として受けることができます。
    • 通常、1歳を過ぎてから接種することが推奨されており、2回接種(1回目:1歳以降、2回目:小学校入学前など)がより効果的です。
    • 大人になってからの接種も有効です。特に、医療・教育関係者や、流行地域へ行く予定のある方は検討しましょう。
  • ワクチンの安全性と副反応:
    • ワクチン接種後、まれに発熱や注射部位の腫れなどの軽い副反応が見られることがありますが、通常数日で自然に治まります。
    • 重大な副反応として、無菌性髄膜炎がごくまれに報告されていますが、自然感染による合併症の頻度と比較すると低いと考えられています。

予防接種は、あなた自身だけでなく、周囲の人々への感染拡大を防ぐためにも重要な対策です。接種を希望する場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

おたふく風邪のQ&A

Q:おたふく風邪は一度かかったら、もう二度とかからないのですか?

A:はい、おたふく風邪は、通常一度かかると、ムンプスウイルスに対する終生免疫が得られるため、二度かかることはほとんどありません。

ただし、まれに、ムンプスウイルス以外のウイルスや細菌感染によって、耳下腺が腫れる症状が出ることがあります。この場合は、おたふく風邪とは別の病気と考えられます。

過去におたふく風邪と診断されたことがある場合でも、症状が異なる場合や、心配な場合は、医療機関を受診して医師の診断を受けるようにしてください。

Q:おたふく風邪の人が周りにいますが、予防のためにできることはありますか?

A:おたふく風邪が流行している場合や、感染者と接触があった場合は、以下の予防策を徹底しましょう。

  • 手洗い、うがいの徹底:流水と石鹸で丁寧に手を洗い、うがいを励行しましょう。
  • マスクの着用:感染者だけでなく、周囲の人もマスクを着用することで、飛沫感染のリスクを減らすことができます。
  • こまめに換気をする:室内の空気を入れ替えることで、ウイルス濃度を下げる効果が期待できます。
  • 免疫のない人は予防接種を検討する:まだおたふく風邪の予防接種を受けていない場合は、医療機関に相談し、接種を検討しましょう。
  • 体調管理をしっかり行う:十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。

感染力が強い期間ですので、これらの予防策をしっかりと行い、感染拡大を防ぎましょう。

Q:おたふく風邪で顔が腫れています。痛みを和らげる方法はありますか?

A:おたふく風邪による顔の腫れと痛みに対しては、以下の方法で症状を和らげることができます。

  • 安静にする:無理な運動や活動は避け、安静に過ごしましょう。
  • 冷やす:腫れている部分が熱を持っている場合は、冷たいタオルや冷却シートなどで優しく冷やすと、痛みが和らぐことがあります。ただし、冷やしすぎには注意してください。
  • 柔らかい食事を摂る:硬いものや酸味のあるものは、腫れた部分を刺激し、痛みを悪化させることがあります。おかゆやうどん、スープなど、柔らかく刺激の少ない食事を心がけましょう。
  • 鎮痛薬の使用:痛みが強い場合は、医師や薬剤師に相談し、適切な解熱鎮痛薬を使用しましょう。自己判断での使用は避けましょう。

これらの対処法を行っても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、医療機関を受診してください。

Q:おたふく風邪の合併症である難聴は、どのくらいの確率で起こるのですか?また、治るのでしょうか?

A:おたふく風邪による難聴(ムンプス難聴)の発症頻度は、以前は約2万人に1人とされていましたが、近年では約1,000人に1人と、従来考えられていたよりも高い頻度で報告されています。

ムンプス難聴は、多くの場合、難治性で回復しない重篤な合併症です。突然、片側の耳が聞こえなくなることが多いとされています。

早期に診断を受け、適切な対応をとることが重要ですが、現在のところ、ムンプス難聴に対する有効な治療法は確立されていません。そのため、予防接種による感染予防が最も重要な対策となります。

もし、おたふく風邪の経過中に耳の聞こえに異常を感じた場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

Q:おたふく風邪の予防接種は、何歳までに受けるのが望ましいですか?大人になってからでも効果はありますか?

A:おたふく風邪の予防接種は、1歳以降に接種することが推奨されています。2回接種することで、より高い予防効果が期待できます。1回目の接種は1歳を過ぎてから、2回目の接種は小学校入学前を目安に行われることが多いです。

大人になってからでも、おたふく風邪の予防接種は効果があります。特に、過去におたふく風邪にかかったことがなく、感染リスクの高い環境にいる方(医療従事者、教育関係者など)や、流行地域へ行く予定のある方は、接種を検討することをおすすめします。

接種を希望する場合は、かかりつけ医に相談し、ワクチンの種類や接種スケジュールについて説明を受けてください。

看護師として伝えたいこと:顔の腫れと痛みは、体のSOSサインかもしれません。自己判断せず、医療機関へ

おたふく風邪は、決して軽い病気ではありません。特に大人がかかった場合や、合併症が起きた場合は、重篤な状態に陥る可能性もあります。

「ただの風邪だろう」「少し休めば治るだろう」と安易に考えず、顔の腫れや痛み、発熱などの症状が現れた場合は、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診してください。

そして、最も有効な予防策は、予防接種です。あなた自身と、あなたの大切な人を守るために、予防接種を検討してみてはいかがでしょうか。

私たち看護師は、皆様が安心して健康な生活を送れるよう、正しい情報を提供し、サポートさせていただきます。気になることがあれば、いつでも私たちにご相談ください。

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