「手のひらや足の裏、口の中に水疱ができた」
「子どもが高熱を出してぐったりしている」
もしかしたら、それは手足口病かもしれません。
手足口病は、エンテロウイルスなどのウイルス感染によって起こる感染症で、乳幼児を中心に流行します。
この記事では、手足口病の原因、症状、検査、治療法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
手足口病とは:ウイルス感染による乳幼児の感染症
手足口病は、エンテロウイルス(主にコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71)などのウイルス感染によって起こる感染症です。
手足口病の原因:エンテロウイルスなどのウイルス感染
手足口病の主な原因は、以下の通りです。
- ウイルス感染:
- エンテロウイルス(主にコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71)
- 原因となるウイルスが複数存在するため、一度かかっても再び感染することがあります。
手足口病の患者数:夏に流行のピークを迎える
手足口病は、夏に流行のピークを迎えます。
乳幼児を中心に感染が拡大し、保育園や幼稚園などで集団感染が起こることもあります。
2023年は、過去10年間で最多の患者数が報告されました。
手足口病の症状:水疱、発熱、食欲不振など
手足口病の主な症状は、以下の通りです。
- 水疱:
- 手のひら、足の裏、口の中に小さな水疱性の発疹が出ます。
- 手のひらに、米粒くらいの赤い水ぶくれが数個できた。触ると少し痛みを感じる。
- 肘、膝、おしりなどにも発疹が出ることがあります。
- 通常、かゆみや痛みは伴いません。
- 手のひら、足の裏、口の中に小さな水疱性の発疹が出ます。
- 発熱:
- 約3割の子どもに38℃程度の発熱が見られます。
- 食欲不振:
- 口の中に水疱ができると、痛みで食欲が低下することがあります。
- その他:
- 喉の痛み、倦怠感
潜伏期間は3~6日で、3日から1週間程度で自然に治ることがほとんどです。
まれに、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症を引き起こすことがあります。
手足口病の検査:通常は症状による診断
手足口病の検査は、通常症状による診断で行われます。
しかし、まれに原因ウイルスを特定するために、便や咽頭ぬぐい液の検査を行うことがあります。
- 便検査:
- 綿棒で便を採取し、ウイルスを検出します。
- 検査時間は数日かかります。
- 検査費用は、保険適用で3割負担の場合、1,000円~2,000円程度です。
- 咽頭ぬぐい液検査:
- 綿棒で喉の粘膜を採取し、ウイルスを検出します。
- 検査時間は数日かかります。
- 検査費用は、保険適用で3割負担の場合、1,000円~2,000円程度です。
手足口病の治療:対症療法が中心
手足口病には、特効薬はなく、対症療法が中心となります。
- 水分補給:
- 発熱や食欲不振による脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給を心がけましょう。
- 安静:
- 熱がある場合は、安静に過ごしましょう。
- 食事:
- 口の中の痛みが強い場合は、刺激の少ない柔らかい食事(ゼリー、ヨーグルト、おかゆなど)を選びましょう。
- 解熱鎮痛剤:
- 高熱や痛みがある場合は、医師の指示に従って解熱鎮痛剤を使用しましょう。
- アセトアミノフェンやイブプロフェンなどが使用されます。
- 医師の指示に従い、適切な量を服用しましょう。
- 副作用として、胃腸障害や発疹などが起こることがあります。
- 高熱や痛みがある場合は、医師の指示に従って解熱鎮痛剤を使用しましょう。
手足口病の予防:手洗い、うがい、タオルの共有を避ける
手足口病を予防するためには、以下のことに注意しましょう。
- 手洗い、うがい:
- 帰宅後や食事前など、こまめな手洗い、うがいを心がけましょう。
- タオルの共有を避ける:
- タオルや食器の共有は避けましょう。
- 排泄物の処理:
- 排泄物を処理する際は、手袋とマスクを着用し、処理後はしっかりと手を洗いましょう。
- 感染者との接触を避ける:
- 流行期は、人混みを避け、感染者との接触を控えましょう。
手足口病に関するQ&A
Q:手足口病は、大人にもうつりますか?
A: はい、大人にもうつることがあります。
大人の場合は、子どものように典型的な症状が出ないこともありますが、倦怠感や発熱、水疱などが現れることがあります。
Q:手足口病になったら、保育園や幼稚園は休む必要がありますか?
A: 手足口病は、学校保健安全法で定められた出席停止の対象疾患ではありません。
しかし、発熱や口の中の痛みで食事ができないなど、症状がひどい場合は、医師と相談して登園・登校を控えましょう。
Q:手足口病の合併症には、どのようなものがありますか?
A: まれに、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症を引き起こすことがあります。
高熱が続く、嘔吐する、頭痛がひどいなどの症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
看護師として伝えたいこと:症状がつらい時は、無理せず医療機関へ
手足口病は、ほとんどの場合自然に治りますが、まれに合併症を引き起こすことがあります。
「ただの夏風邪だろう」と軽く考えず、症状がつらい時は、無理せず医療機関を受診しましょう。
手足口病と向き合い、快適な生活を送りましょう。
出典