突然の麻痺は命の危険信号?心原性脳塞栓症の症状・原因・後遺症を徹底解説

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「朝起きたら、右の手足が全く動かない…」
「急に言葉が出なくなり、ろれつも回らない…」
「もしかして、脳梗塞?一体どうしたら…?」

もしかしたら、あなたは心原性脳塞栓症について心配していますか?

心原性脳塞栓症は、心臓にできた血栓が脳の血管を詰まらせることで起こる脳梗塞の一種です。

突然発症し、重篤な後遺症を残す可能性もあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

この記事では、心原性脳塞栓症の症状、原因、治療法、後遺症、リハビリについて、看護師の視点から詳しく解説します。

心原性脳塞栓症とは:心臓の血栓が脳血管を詰まらせる脳梗塞

心原性脳塞栓症とは、心臓内でできた血栓が血流に乗って脳の血管に運ばれ、血管を詰まらせることで起こる脳梗塞の一種です。

脳梗塞の中でも、比較的太い血管が詰まることが多く、広範囲の脳組織にダメージを与えるため、重症化しやすい特徴があります。

心原性脳塞栓症の症状:突然の麻痺、失語、意識障害、後遺症

心原性脳塞栓症の主な症状は、以下の通りです。

  • 運動障害:
    • 体の片側の麻痺(手足、顔面):右の手足が急に動かなくなり、力が入らない
    • 歩行困難、ふらつき
    • 嚥下障害(飲み込みにくい):食事中にむせる、唾液が飲み込めない
  • 感覚障害:
    • 体の片側の感覚麻痺、しびれ:右の手足の感覚がなくなり、触っても分からない
    • 視野障害(片側の視野が見えにくい):右側または左側の視野が半分欠ける
  • 言語障害:
    • 失語(言葉が出にくい、ろれつが回らない、言葉が理解できない):言葉が出にくく、ろれつが回らない。人の話している言葉の意味がわからない
    • 構音障害(発音が不明瞭):ろれつが回らず、何を言っているのか聞き取りにくい
  • 高次脳機能障害:
    • 失行(状況に合わない行動をとる):服をうまく着られない、道具をうまく使えない
    • 半側空間無視(片側の空間を認識できない):食事の時に片側の食べ残しに気づかない、人にぶつかる
    • 記憶障害、注意障害、遂行機能障害など
  • 意識障害:
    • 意識レベルの低下、昏睡

これらの症状は、突然発症し、急速に進行することが特徴です。

また、症状の程度は、詰まった血管の太さや部位によって大きく異なります。

後遺症は、麻痺や言語障害、高次脳機能障害などが残ることがあります。

  • 麻痺:手足の麻痺が残り、日常生活に支障をきたす
  • 言語障害:言葉が出にくかったり、ろれつが回らなかったりする
  • 高次脳機能障害:記憶障害、注意障害、遂行機能障害などが残り、社会生活に支障をきたす

心原性脳塞栓症の原因:心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞など

心原性脳塞栓症の主な原因は、以下の通りです。

  • 心房細動:
    • 心臓の心房が不規則に収縮する不整脈
    • 心臓内で血栓ができやすく、脳梗塞のリスクを高める
    • 心原性脳塞栓症の約7割を占める
  • 心臓弁膜症:
    • 心臓の弁が正常に機能しない病気
    • 血栓ができやすい
  • 心筋梗塞:
    • 心臓の筋肉に血液を送る血管が詰まる病気
    • 心臓内に血栓ができることがある
  • 心臓内の腫瘍(心臓粘液腫など):
    • 心臓内にできた腫瘍が血栓の原因となることがある
  • その他:
    • 感染性心内膜炎、心臓手術後など

これらの原因疾患があると、心臓内で血栓ができやすくなり、心原性脳塞栓症のリスクが高まります。

心原性脳塞栓症の治療法:血栓溶解療法、脳血管内治療、抗凝固療法など

心原性脳塞栓症の治療法は、発症からの時間や患者さんの状態によって異なります。

  • 血栓溶解療法(t-PA静注療法):
    • 発症後4.5時間以内であれば、血栓を溶かす薬(t-PA)を点滴投与する
    • 詰まった血管を再開通させ、脳への血流を回復させる
    • 出血性脳梗塞のリスクがあるため、適応には慎重な判断が必要
  • 脳血管内治療(血栓回収療法):
    • 発症後、時間が経過していても、特定の条件を満たせば、カテーテルを用いて血栓を回収する
    • 比較的太い血管が詰まっている場合に有効
  • 抗凝固療法:
    • 血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使用する
    • 新たな血栓の形成を防ぎ、再発予防に役立つ
    • ワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバンなど
  • 抗血小板療法:
    • 血小板の働きを抑え、血栓ができにくくする薬(抗血小板薬)を使用する
    • アスピリン、クロピドグレルなど
  • 脳保護療法:
    • 脳の腫れ(脳浮腫)を抑える薬や、脳の神経細胞を保護する薬を使用する
  • リハビリテーション:
    • 麻痺や言語障害などの後遺症に対して、機能回復を促すリハビリを行う
      • 理学療法:麻痺した手足の機能回復訓練、歩行訓練など
      • 作業療法:日常生活動作訓練、手の機能訓練、高次脳機能訓練など
      • 言語聴覚療法:言語訓練、嚥下訓練など

これらの治療法は、組み合わせて行われることもあります。

早期に適切な治療を開始することが、後遺症を最小限に抑える上で非常に重要です。

心原性脳塞栓症のリハビリ:後遺症の回復と社会復帰を目指して

心原性脳塞栓症の後遺症は、リハビリによって回復する可能性があります。

リハビリは、急性期から回復期、維持期へと段階的に行われます。

  • 急性期リハビリ:
    • 発症後、早期から開始する
    • 寝たきりによる合併症(肺炎、関節拘縮など)を予防する
    • ベッド上でのリハビリ、車椅子への移乗訓練など
  • 回復期リハビリ:
    • 集中的なリハビリを行う
    • 麻痺した手足の機能回復訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練など
    • 言語訓練、高次脳機能訓練など
  • 維持期リハビリ:
    • 退院後も継続してリハビリを行う
    • 在宅リハビリ、通所リハビリ、訪問リハビリなど
    • 社会復帰に向けたリハビリ

リハビリ期間は、後遺症の程度や回復状況によって異なります。

根気強くリハビリを続けることが、後遺症の回復と社会復帰に繋がります。

心原性脳塞栓症のQ&A

Q:心原性脳塞栓症は、放置するとどうなりますか?

A:心原性脳塞栓症を放置すると、以下のような重篤な後遺症や合併症を引き起こす可能性があります。

  • 重度の麻痺や言語障害:日常生活に大きな支障をきたす
  • 寝たきり状態:介護が必要になる
  • 嚥下障害:誤嚥性肺炎のリスクが高まる
  • 認知症:脳の広範囲なダメージにより、認知機能が低下する
  • 死亡:脳ヘルニアや呼吸不全などを起こし、命に関わることもある

これらのリスクを避けるためにも、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

Q:心原性脳塞栓症の治療期間は、どのくらいかかりますか?

A:心原性脳塞栓症の治療期間は、発症からの時間患者さんの状態後遺症の程度によって大きく異なります。
急性期治療(発症後数日間)は、入院して集中的な治療が必要です。
リハビリテーションは、数ヶ月から年単位で継続することがあります。
後遺症が残った場合は、長期的なリハビリやケアが必要になることもあります。

Q:心原性脳塞栓症の治療費は、どのくらいかかりますか?

A:心原性脳塞栓症の治療費は、治療法入院期間リハビリの有無などによって大きく異なります。
急性期治療では、高額な医療費がかかることがあります。
高額療養費制度や医療費控除などを利用することで、負担を軽減できる場合があります。
詳しくは、医療機関や自治体にご相談ください。

Q:心原性脳塞栓症は、予防できますか?

A:心原性脳塞栓症は、原因となる心臓の病気を予防・管理することで、ある程度予防できます。

  • 心房細動の管理:抗凝固薬による治療など
  • 心臓弁膜症の治療:手術や薬物療法
  • 心筋梗塞の予防:生活習慣の改善、薬物療法
  • 生活習慣の改善:バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒
  • 定期的な健康診断:心臓の病気を早期発見・早期治療

これらの予防策を講じることで、心原性脳塞栓症のリスクを減らすことができます。

Q:心原性脳塞栓症の相談は、何科に行けば良いですか?

A:心原性脳塞栓症の相談は、脳神経内科や循環器内科で受け付けています。

看護師として伝えたいこと:早期発見・早期治療が重要です

心原性脳塞栓症は、発症すると重篤な後遺症を残す可能性のある病気です。

しかし、早期発見・早期治療によって、後遺症を最小限に抑え、元の生活に戻れる可能性も十分にあります。

少しでも異変を感じたら、ためらわずに救急車を呼び、専門医の診察を受けてください。

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