え、味覚まで変わるの?放置すると危険な嗅覚障害のサインと今すぐできる対策【看護師監修】

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「あれ?何を作ってるんだろう…」
「最近、料理の匂いが以前より感じにくい。」
「なんだか、何を食べても味がぼんやりするんだよね…」

もしかしたら、それは嗅覚障害のサインかもしれません。

鼻の病気だけでなく、風邪や新型コロナウイルス感染症の後遺症など、意外な原因で起こりうる嗅覚障害は、私たちの食生活だけでなく、安全な生活にも影響を与える可能性があります。

この記事では、嗅覚障害の症状、原因、そして放置するとどうなるのか、さらには今すぐできる対策について、看護師の視点から、あなたの疑問や不安に寄り添いながら丁寧に解説します。

「におい」を感じないってどんなこと?嗅覚障害の基礎知識

嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)とは、本来感じることができるはずのにおいを、正しく感じ取れなくなる状態のことです。

その症状は一様ではなく、全くにおいが分からなくなる(嗅覚脱失)だけでなく、においが以前より弱くしか感じられない(嗅覚低下)こともあります。

さらに、厄介なことに、良いにおいが嫌なにおいに感じられたり(異嗅症)、実際にはないにおいを感じてしまう(錯嗅症)といった症状が現れることもあります。

嗅覚の異常は様々:あなたの症状をチェック

嗅覚障害は、においの感じ方の程度や質によって、いくつかの種類に分けられます。

  • 全くにおいがしない:嗅覚脱失
  • においが以前より弱く感じる:嗅覚低下
  • 特定のにおいが違うにおいに感じる:異嗅症(例:コーヒーが焦げ臭い)
  • 実際にはないにおいを感じる:錯嗅症(例:常に下水のような臭いがする)
  • においを強く感じすぎる:嗅覚過敏(まれなケースです)

これらの症状が一つだけ現れることもあれば、いくつか組み合わさって現れることもあります。

なぜ「におい」が分からなくなる?多様な原因を探る

嗅覚障害の原因は、大きく分けて二つあります。

一つは、鼻の通りが悪くなることでにおいの分子が嗅神経まで届かなくなるケース、
もう一つは、嗅神経や脳のにおいを感じる部分が障害されるケースです。

においの通り道が塞がる原因:

  • アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎: 鼻の粘膜の腫れや鼻水、鼻茸などが物理的ににおいの通り道を塞ぎます。
  • 鼻中隔彎曲症: 鼻の壁が曲がっていることで、空気の流れが悪くなることがあります。
  • 鼻の腫瘍: まれに、鼻腔や副鼻腔にできた腫瘍がにおいの通り道を塞ぐことがあります。

においを感じる神経や脳の異常:

  • ウイルス感染: 風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などが嗅神経を直接傷つけることがあります。
  • 頭部外傷: 交通事故などで頭を強く打つと、嗅神経が損傷することがあります。
  • 脳の病気や手術: 脳腫瘍や脳卒中、脳の手術などがにおいを感じる脳の部位に影響を与えることがあります。
  • 神経変性疾患: アルツハイマー病やパーキンソン病などで嗅覚障害が早期に現れることがあります。
  • 薬の副作用: 特定の抗がん剤や降圧剤などが原因となることがあります。

その他: 先天的な異常、精神疾患、薬物依存なども、まれに嗅覚障害を引き起こすことがあります。

「おいしい」がなくなる?嗅覚と味覚の深いつながり

「味がしない」「何を食べても同じ味がする」と感じることはありませんか?
実は、私たちが「味」として認識しているものの多くは、舌で感じる甘味、酸味、塩味、苦味、うま味だけでなく、鼻から入るにおいの情報が大きく影響しています。

嗅覚が障害されると、食べ物の風味や香りが分からなくなり、結果として味覚も鈍く感じてしまうのです。

放置すると危険?日常生活への影響

嗅覚障害は、食生活の楽しみを奪うだけでなく、日常生活における様々な危険を察知する能力を低下させる可能性があります。

  • 食品の腐敗臭に気づきにくい
  • ガス漏れに気づきにくい
  • 火災の煙に気づきにくい

また、香水やアロマの香りを楽しめなくなるなど、生活の質を大きく低下させることもあります。

「もしかして?」と思ったら:まずは耳鼻咽喉科へ相談を

もし、最近においが分かりにくい、味がぼんやりするなど、嗅覚に異変を感じたら、自己判断せずに、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
専門医による適切な診断と治療が、改善への第一歩です。

特に、急ににおいが分からなくなった、今まで感じなかったにおいがする、味覚もおかしいと感じる場合は、早めの受診をおすすめします。

今すぐできること:セルフケアと受診のすすめ

すぐにできることとしては、以下の点があります。

  • 鼻うがい: 鼻腔内の清潔を保つことは、鼻の通りを改善し、炎症を抑える効果が期待できます。
  • アレルゲンの除去: アレルギー性鼻炎の方は、原因となるアレルゲンをできるだけ避けるようにしましょう。
  • 記録をつける: いつから、どのような時に、どのようににおいを感じにくいかを記録しておくと、医師に伝えやすくなります。

そして、最も重要なことは、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診することです。

嗅覚障害Q&A

Q:風邪で鼻が詰まっている時も、嗅覚障害と言えますか?

A:風邪による鼻詰まりで一時的ににおいが感じにくくなるのは、鼻の通りが悪くなっているためであり、通常は風邪が治れば嗅覚も回復します。
目安としては、風邪の症状が改善してから1週間~2週間程度で戻ることが多いでしょう。
しかし、それ以上経っても改善しない場合は、他の原因が考えられるため、耳鼻咽喉科を受診してください。

Q:嗅覚障害の検査は、痛いですか?

A:一般的な嗅覚検査は、痛みを感じるものではありません。
鼻の中を観察する鼻鏡検査や、においのついたシートを使う検査などが主に行われます。
画像検査(レントゲンやCT)も、基本的には痛みはありません。ご安心ください。

Q:嗅覚障害の治療法は、どんなものがありますか?効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A:治療法は、原因によって異なります。鼻炎や副鼻腔炎が原因であれば、薬物療法や手術が行われることがあります。
神経の障害が原因の場合は、薬物療法や嗅覚リハビリテーションが行われることがあります。
効果が出るまでの期間は、数週間で改善が見られることもあれば、数ヶ月以上かかることもあります。
根気強く治療を続けることが大切です。

Q:嗅覚障害になったら、料理はもう楽しめませんか?

A:嗅覚障害によって、料理の風味を感じにくくなることはありますが、全く楽しめなくなるわけではありません。
舌で感じる基本の味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)は残っていますし、食感や温度なども料理の楽しみの一つです。
また、嗅覚リハビリテーションによって、徐々に嗅覚が回復することもあります。

Q:嗅覚障害がある場合、日常生活で注意すべきことはありますか?

A:はい、安全面で特に注意が必要です。食品の安全: 賞味期限や見た目、触感などをしっかり確認し、少しでも異変を感じたら口にしないようにしましょう。ガス漏れ、火災: 警報機の設置や定期的な点検を必ず行いましょう。

看護師として伝えたいこと:においは、生きる喜びと安全を守る大切な感覚です。

嗅覚は、私たちの生活を彩り、危険から身を守るための重要なセンサーです。

嗅覚障害は、単なる「鼻の不調」ではなく、生活の質を大きく左右する可能性があります。

もし、においの異常を感じたら、「まあ、いっか」と放置せずに、勇気を出して耳鼻咽喉科を受診してください。

早期の診断と適切な治療が、あなたの豊かな生活を取り戻すための第一歩となります。

出典

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