胸の痛みの裏に潜む危険なサイン:狭心症の早期発見と適切な対処法

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「階段を上るたびに、胸が締め付けられるように痛む」「重い荷物を持つと、胸が押し付けられるような感覚がある」「最近、急に息切れしやすくなった」このような経験はありませんか?
もしかしたら、それは狭心症のサインかもしれません。

狭心症は、心臓に酸素と栄養を送る血管(冠動脈)が狭くなることで起こる病気で、放置すると心筋梗塞などの命に関わる重大な疾患につながる可能性があります。

この記事では、狭心症の症状、原因、治療法を詳しく解説し、早期発見と適切な対処がいかに重要かをお伝えします。

心臓と冠動脈の役割

私たちの心臓は、全身に血液を送り出すポンプです。
心臓自身も活動するために酸素と栄養を必要としており、それを供給するのが冠動脈です。
冠動脈は、心臓の表面を覆うように走行する血管で、心筋に酸素と栄養を届けます。

虚血性心疾患とは

狭心症と心筋梗塞は、いずれも虚血性心疾患に分類されます。
虚血性心疾患は、冠動脈が動脈硬化などによって狭窄または閉塞することで、心筋への血流が阻害され、心臓の機能に障害をきたす病気の総称です。
近年、日本人の死因の上位に心疾患が位置しており、その割合は増加傾向にあります。

狭心症の症状:見逃してはいけないサイン

狭心症の典型的な症状は、胸の中央部における締め付けられるような、または押し付けられるような、焼け付くような痛みや圧迫感です。
これらの症状は、運動中や階段昇降時、精神的な緊張時など、心臓への負荷が増大した際に現れやすく、数分から10分程度で自然に治まります。

以下のような症状が現れる場合も、狭心症の可能性があります。

  • 左肩、左腕、背中、下あご、みぞおちなどに痛みや圧迫感を感じる
  • 息切れや動悸を伴う
  • 冷や汗をかく
  • 吐き気や嘔吐
  • めまい

これらの症状は、狭心症の発作として現れ、安静にすることで症状が軽減するのが特徴です。
しかし、放置すると心筋梗塞に進行する可能性があるため、注意が必要です。
特に、痛みが20分以上続く場合は、直ちに救急車を呼んでください。

狭心症の原因:動脈硬化の進行

狭心症の主な原因は、動脈硬化です。
動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が硬く狭くなる状態を指します。
血管の内壁にプラークと呼ばれる塊が形成されると、血管の内腔が狭くなり、血流が阻害されます。

狭心症は、大きく労作性狭心症と安静時(異型)狭心症の2つのタイプに分類されます。

  • 労作性狭心症: 運動や階段昇降など、心臓への負荷が増大した際に発作が起こるタイプです。動脈硬化によって血管が狭くなっている状態で運動などを行うと、心筋はより多くの酸素を必要としますが、狭窄した血管では十分な血流を供給できず、発作を引き起こします。
  • 安静時(異型)狭心症: 安静時、特に夜間や早朝に発作が起こりやすいタイプです。これは、冠動脈の一過性の痙攣(攣縮)によって血管が収縮し、内腔が狭くなることで血流が滞り、発症に至るものです。この痙攣は、喫煙、寒冷刺激、ストレス、特定の薬剤などが原因で起こることがあります。

狭心症の検査

狭心症の診断には、以下のような検査が行われます。

  • 心電図検査
  • 運動負荷試験
  • 心臓超音波検査(心エコー)
  • 冠動脈CT検査
  • 心臓カテーテル検査

狭心症の治療:早期発見と適切な対処

狭心症の治療は、生活習慣の改善、薬物療法、カテーテル治療、外科手術などがあります。

  • 生活習慣の改善: 高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの生活習慣は、動脈硬化を進行させ、狭心症のリスクを高める要因となります。そのため、以下のような生活習慣の見直しが重要となります。
    • 食生活の改善: 塩分は一日6g以下、野菜は一日350g以上を目安に、バランスの取れた食事を心がけましょう。コレステロールを多く含む食品(卵黄、レバーなど)の摂りすぎにも注意が必要です。魚に含まれるEPA・DHAは動脈硬化予防に効果的です。
    • 適度な運動: 週に3回以上、1回30分程度のウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を行いましょう。運動前後のストレッチも忘れずに行いましょう。
    • 禁煙: 喫煙は動脈硬化を進行させる最大の要因の一つです。禁煙外来などを活用し、禁煙に取り組みましょう。
    • ストレス管理: 十分な睡眠と休息を取り、趣味やリラックスできる時間を持つなど、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
  • 薬物療法: 狭心症の治療には、以下のような薬剤が用いられます。
    • 硝酸薬: 冠動脈を拡張させ、血流を改善します。発作時の頓服薬として用いられるニトログリセリンや、発作予防のための持続性硝酸薬があります。副作用として、頭痛やめまいなどが現れることがあります。
    • β遮断薬: 交感神経の働きを抑え、心拍数と血圧を低下させることで心臓の負担を軽減します。
    • カルシウム拮抗薬: 冠動脈を拡張させ、血流を改善します。
    • 抗血小板薬: 血小板の凝集を抑え、血栓の形成を予防します。
    • 抗血栓薬:血栓の形成を抑制します。
  • カテーテル治療: 動脈硬化が進行している場合、カテーテルを用いた治療が行われることがあります。
    • 経皮的冠動脈インターベンション(PCI): バルーンカテーテルやステントを用いて、狭窄した血管を拡張します。
  • 外科手術: カテーテル治療が困難な場合や、複数の血管に狭窄が見られる場合などには、冠動脈バイパス術が行われることがあります。

よくある質問(Q&A)

  • Q:狭心症と心筋梗塞の違いは何ですか?
    • A: 狭心症は、一時的な血流不足によって症状が現れますが、心筋梗塞は、血管が完全に詰まってしまい、心筋が壊死してしまう状態です。心筋梗塞は命に関わる緊急性の高い疾患です。
  • Q:運動はどの程度までなら大丈夫ですか?
    • A: 医師と相談し、適切な運動強度を判断してもらうことが重要です。自己判断で無理な運動をすると、かえって心臓に負担をかけることがあります。
  • Q: 狭心症の疑いがある場合、何科を受診すれば良いですか?
    • A: 循環器内科を受診してください。

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