高熱、発疹、もしかして麻疹(はしか)?放置すると脳炎のリスクも!?ワクチンで防げる!症状・感染経路・予防法を徹底解説

スポンサーリンク

「最初は風邪だと思っていたのに、高熱が出て、全身に赤い発疹が出てきた。」
「周りで麻疹(はしか)が流行っているけど、うつるか心配。子供の頃にかかった記憶がない。」

もしかしたら、それは麻疹(はしか)かもしれません。

麻疹は、感染力が非常に強い感染症で、重症化すると脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。

この記事では、麻疹の原因、症状、検査、予防法について、看護師の視点から詳しく解説します。

麻疹(はしか)とは:麻疹ウイルスによる感染症

麻疹(はしか)とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。

感染力が非常に強く、空気感染、飛沫感染、接触感染によって人から人へ感染します。

発熱や発疹などの症状が現れ、肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。

麻疹(はしか)の原因:麻疹ウイルスの感染

麻疹(はしか)の原因は、麻疹ウイルスの感染です。

感染経路は、以下の3つがあります。

  • 空気感染:
    • ウイルスを含む飛沫が空気中を漂い、それを吸い込むことで感染します。
    • 麻疹ウイルスは、空気中を数時間漂うことができるため、感染力が非常に強いです。
  • 飛沫感染:
    • 感染者の咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。
    • 感染者が咳やくしゃみをすると、大量のウイルスが放出されます。
  • 接触感染:
    • ウイルスが付着した物に触れ、その手で口や鼻を触ることで感染します。
    • ウイルスは、物に付着しても数時間生存することができます。

麻疹(はしか)の患者数:ワクチン接種率の低下により増加傾向

麻疹(はしか)は、ワクチン接種率の低下により、近年増加傾向にあります。

特に、20代前半の成人での発症が目立ちます。

これは、子供の頃にワクチンを接種していない、または接種しても免疫が十分に獲得できなかった人が、大人になってから感染するためと考えられています。

麻疹(はしか)の症状:発熱、発疹、コプリック斑など

麻疹(はしか)の主な症状は、以下の通りです。

  • 潜伏期間:
    • 感染後10~12日間の潜伏期間を経て、症状が現れます。
  • 前駆症状(カタル期):
    • 38℃前後の発熱、鼻水、咳、くしゃみ、結膜充血、目やになどの症状が3~4日続きます。
    • 風邪とよく似た症状のため、麻疹と気づかないことがあります。
  • コプリック斑:
    • 頬の裏の粘膜に白色の小さな水疱(コプリック斑)が現れます。
    • コプリック斑は、麻疹に特徴的な症状で、診断の重要な手がかりとなります。
    • コプリック斑は、発疹が出現する1~2日前に現れ、発疹が出現すると消失します。
  • 発疹(発疹期):
    • 一旦熱が下がった後、再び39℃以上の高熱となり、同時に発疹が現れます。
    • 発疹は、最初は小さな赤い点として耳の後ろに出現し、翌日には顔全体に広がり、さらにその翌日には体中に広がります。
    • 発疹は、融合して地図状になることがあります。
    • 発疹が出現してから3~4日後に熱が下がり始め、回復に向かいます。
    • 発疹は、褐色のしみのような状態になり、色素沈着を残しますが、時間の経過とともに消えていきます。
  • 回復期:
    • 発疹が消え始め、全身状態が改善します。
    • しかし、咳や倦怠感はしばらく続くことがあります。
  • 合併症:
    • 肺炎、中耳炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)などの合併症を引き起こすことがあります。
    • 肺炎は、乳幼児や高齢者に多く見られ、重症化すると呼吸困難を引き起こすことがあります。
    • 中耳炎は、乳幼児に多く見られ、難聴を引き起こすことがあります。
    • 脳炎は、発症後1000人に0.5~1人の割合で発生し、後遺症を残すことがあります。
    • 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、発症後7~10年後に10万人に1人の割合で発生し、進行性の神経疾患で、発症すると数年で死亡することがあります。

麻疹(はしか)の検査:血液検査、尿検査、咽頭拭い液検査など

麻疹(はしか)の検査は、以下の方法で行われます。

  • 血液検査:
    • 麻疹ウイルスに対するIgM抗体やIgG抗体の有無を調べます。
    • IgM抗体は、感染初期に上昇し、IgG抗体は、感染後期に上昇します。
    • 血液検査費用は、保険適用で3割負担の場合、3,000円~5,000円程度です。
  • 尿検査:
    • 麻疹ウイルスの遺伝子を検出します。
    • 尿検査費用は、保険適用で3割負担の場合、1,000円~2,000円程度です。
  • 咽頭拭い液検査:
    • 咽頭拭い液から麻疹ウイルスの遺伝子を検出します。
    • 咽頭拭い液検査費用は、保険適用で3割負担の場合、3,000円~5,000円程度です。
  • その他:
    • 髄液検査:脳炎が疑われる場合に行われます。
    • 画像検査(CT、MRI):脳炎や肺炎が疑われる場合に行われます。

麻疹(はしか)の治療:対症療法が中心、合併症には専門的な治療が必要

麻疹(はしか)の治療は、特別な治療法はなく、症状を緩和する対症療法が中心となります。

  • 対症療法:
    • 解熱剤や鎮咳薬などを使用し、症状を緩和します。
    • 脱水症状を防ぐために、水分補給を十分に行います。
    • 安静を保ち、体力の回復に努めます。
    • 高熱が続く場合は、入院して点滴治療を行うことがあります。
  • 合併症の治療:
    • 細菌感染による合併症(肺炎、中耳炎など)には、抗生物質を使用します。
    • 脳炎などの重い合併症には、ステロイド薬や抗ウイルス薬などを使用する専門的な治療が必要です。
    • ビタミンA投与:麻疹による重症化を予防するために、ビタミンAを投与することがあります。

麻疹(はしか)の予防:ワクチン接種が最も重要

麻疹(はしか)の予防は、ワクチン接種が最も重要です。

  • 定期接種:
    • 生後12ヶ月~24ヶ月の間に1回、5歳~6歳の間に1回の計2回、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種します。
    • 定期接種は、公費負担で受けられます。
    • 2回のワクチン接種により、95%以上の人が免疫を獲得することができます。
    • 1回目の接種は、1歳になったらできるだけ早く受けましょう。
    • 2回目の接種は、小学校入学前の1年間(5歳から6歳になるまで)に受けましょう。
  • 任意接種:
    • 定期接種の対象年齢以外の方や、定期接種を受けていない方は、任意接種でMRワクチンを接種することができます。
    • 任意接種費用は、医療機関によって異なりますが、1回あたり5,000円~10,000円程度です。
    • 任意接種は、医療機関に予約して接種します。
  • 接触後の予防:
    • 麻疹患者と接触した場合、72時間以内にMRワクチンを接種するか、6日以内にガンマグロブリン製剤の注射を受けることで、発症を予防したり、症状を軽くしたりすることができます。
    • ワクチン接種は、健康な人に有効です。
    • ガンマグロブリン製剤は、妊婦や免疫不全者など、ワクチン接種ができない人に有効です。
    • 接触後の予防は、早ければ早いほど効果があります。

麻疹(はしか)に関するQ&A

Q:麻疹(はしか)は、一度かかったら二度とかかりませんか?

A:通常、麻疹(はしか)は一度かかると免疫ができ、二度とかかることはありません。
しかし、稀に免疫が十分に獲得できず、再感染することがあります。

Q:麻疹(はしか)の潜伏期間はどのくらいですか?

A:麻疹(はしか)の潜伏期間は、10~12日間です。
潜伏期間中は、症状が現れませんが、感染力があります。

Q:麻疹(はしか)の人は、いつまで外出を控えるべきですか?

A:麻疹(はしか)の人は、解熱後3日間は外出を控える必要があります。
また、発疹が出ている間は、感染力が強いので、外出を控えましょう。

看護師として伝えたいこと:ワクチン接種と早期受診が大切

麻疹(はしか)は、ワクチン接種で予防できる病気です。

定期接種の対象年齢の方は、必ずワクチンを接種しましょう。

また、麻疹が疑われる症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

麻疹と向き合い、健康な生活を取り戻しましょう。

出典

タイトルとURLをコピーしました