「子どもに赤い発疹が出て、水ぶくれになっている」
「発熱もあるけど、水ぼうそう?」
もしかしたら、それは水痘(水ぼうそう)かもしれません。
水痘(水ぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染力の強い病気です。
この記事では、水痘(水ぼうそう)の原因、症状、治療法、予防接種、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
水痘(水ぼうそう)とは:水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症
水痘(水ぼうそう)とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に初めて感染することによって引き起こされる急性の感染症です。
水痘(水ぼうそう)の症状:発疹、かゆみ、発熱
水痘(水ぼうそう)の主な症状は、以下の通りです。
- 発疹:
- 赤い米粒大の発疹が、水ぶくれになり、全身に広がる。
- かゆみが強く、夜も眠れないほど。
- 発疹は、胸、背中、腹部などに出始め、顔、手足、口の中、頭髪部、陰部にも広がります。
- 発疹は、時間差で次々と出現するため、様々な段階の発疹が混在するのが特徴です。
- かゆみ:
- 水疱は強いかゆみを伴います。
- かきむしると、細菌の二次感染を起こし、痕が残ることがあります。
- 発熱:
- 37~38℃代の発熱が見られることがありますが、全く出ないこともあります。
- その他:
- 全身倦怠感、食欲不振など
水痘(水ぼうそう)の患者数:9歳以下がほとんど
水痘(水ぼうそう)は、9歳以下の子どもに多くみられます。
特に3~7歳が最もかかりやすい年齢です。
9歳くらいまでには、ほとんどの子どもが水痘(水ぼうそう)にかかると言われています。
一度かかると、免疫ができます。
水痘(水ぼうそう)の原因:水痘・帯状疱疹ウイルスの感染
水痘(水ぼうそう)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染によって起こります。
感染経路は、以下の通りです。
- 空気感染:
- ウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことによって感染します。
- 飛沫感染:
- 咳やくしゃみなどによって飛び散った飛沫を吸い込むことによって感染します。
- 接触感染:
- 水疱に直接触れることによって感染します。
感染力が非常に強く、発疹の出る1~2日前から、発疹がかさぶたになるまでの間(約7~10日間)は、特に感染力が強いです。
水痘(水ぼうそう)の検査:特徴的な症状で診断可能
水痘(水ぼうそう)は、特徴的な症状から診断が可能な場合がほとんどです。
しかし、診断が難しい場合や、合併症が疑われる場合は、以下の検査を行うことがあります。
- 水疱内容のウイルス検査:
- 水疱の内容物を採取し、ウイルスを検出します。
- 血液検査:
- 水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体を調べます。
水痘(水ぼうそう)の治療:対症療法が中心
水痘(水ぼうそう)の治療は、対症療法が中心となります。
- かゆみ止め:
- かゆみを抑えるために、石炭酸亜鉛華リニメントや抗ヒスタミン薬を使用します。
- 抗ウイルス薬:
- 重症化するリスクが高い場合や、成人、免疫力が低下している人などは、抗ウイルス薬(アシクロビルなど)を使用します。
- 例:
- アシクロビル(ゾビラックス)
- バラシクロビル(バルトレックス)
- 例:
- これらの薬は、ウイルスの増殖を抑え、症状の重症化を防ぎます。
- 副作用として、吐き気、嘔吐、下痢などが起こることがあります。
- 重症化するリスクが高い場合や、成人、免疫力が低下している人などは、抗ウイルス薬(アシクロビルなど)を使用します。
- 解熱剤:
- 高熱が出ている場合は、アセトアミノフェンなどの解熱剤を使用します。
- アスピリンは、ライ症候群を引き起こす可能性があるため、使用を避けてください。
- 二次感染の予防:
- かきむしりによる細菌の二次感染を防ぐために、爪を短く切ったり、手袋を着用したりします。
- 必要に応じて、抗菌薬を使用します。
水痘(水ぼうそう)の予防:ワクチン接種が有効
水痘(水ぼうそう)の予防には、ワクチン接種が有効です。
- 水痘ワクチン:
- 1歳以上の子どもは、定期接種として水痘ワクチンを接種できます。
- 任意接種として、2回の接種が推奨されています。
- 1回目:1歳から1歳3か月
- 2回目:1回目の接種から3か月以上の間隔をあけて接種
- ワクチン接種により、水痘(水ぼうそう)の発症を予防したり、発症しても症状を軽くすることができます。
- 副反応として、発熱、発疹、注射部位の腫れなどが起こることがあります。
- 成人で水痘(水ぼうそう)にかかったことがない人や、医療従事者などは、ワクチン接種が推奨されます。
水痘(水ぼうそう)の合併症:細菌感染、脳炎、肺炎など
水痘(水ぼうそう)は、まれに以下の合併症を引き起こすことがあります。
- 細菌感染:
- かきむしりによる皮膚の細菌感染
- 脳炎:
- まれに、重篤な脳炎を引き起こすことがあります。
- 肺炎:
- まれに、肺炎を引き起こすことがあります。
- その他:
- 小脳失調症、口内炎など
妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性水痘症候群という異常を引き起こすことがあります。
水痘(水ぼうそう)に関するQ&A
Q:水痘(水ぼうそう)は、一度かかったら二度とかかりませんか?
A: 水痘(水ぼうそう)は、一度かかると免疫ができるため、基本的には二度とかかりません。
しかし、まれに免疫が十分に獲得できなかった場合や、免疫力が低下した場合などは、再発することがあります。
Q:水痘(水ぼうそう)の潜伏期間はどのくらいですか?
A: 水痘(水ぼうそう)の潜伏期間は、10~21日間です。
Q:水痘(水ぼうそう)になったら、保育園や学校は休む必要がありますか?
A: 水痘(水ぼうそう)は、感染力が非常に強いため、発疹が全てかさぶたになるまでは、保育園や学校を休む必要があります。
医師の許可が出てから登園・登校しましょう。
看護師として伝えたいこと:早めの受診と適切なケアを
水痘(水ぼうそう)は、子どもにとってつらい病気です。
「かゆくて眠れない」「発疹が広がってかわいそう」
そんな風に思っている保護者の方もいるかもしれません。
早めに医療機関を受療機関を受診し、適切なケアを行い、水痘(水ぼうそう)を乗り越えましょう。
出典
厚生労働省 水痘ワクチン:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/chickenpox/index.html
国立感染症研究所 水痘とは?:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/418-varicella-intro.html
日本小児科学会 水痘ワクチンの定期接種化に関する要望書:https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=192