「最近、胃がもたれる」
「胸やけがする」
「食欲がない」
もしかしたら、それは慢性胃炎かもしれません。
慢性胃炎は、胃の粘膜に炎症が慢性的に起こっている状態です。
症状がないこともありますが、放置すると胃潰瘍や胃がんに進行する可能性もあります。
この記事では、慢性胃炎の原因、症状、検査、治療法、そして日常生活での注意点について、看護師の視点から詳しく解説します。
慢性胃炎とは:胃粘膜の慢性的な炎症
慢性胃炎とは、胃の粘膜に炎症が慢性的に起こっている状態をいいます。
慢性胃炎の種類:萎縮性胃炎、表層性胃炎、鳥肌胃炎
慢性胃炎は、胃粘膜の状態によって、種類が分類されます。
- 萎縮性胃炎:
- 胃粘膜が萎縮し、薄くなった状態です。
- ピロリ菌感染が原因となることが多いです。
- 胃がんのリスクが高いとされています。
- 表層性胃炎:
- 胃粘膜の表面に炎症が起こっている状態です。
- ピロリ菌感染や、刺激物の摂取などが原因となることがあります。
- 鳥肌胃炎:
- 胃粘膜が鳥肌のようになった状態です。
- ピロリ菌感染が原因となることが多いです。
慢性胃炎の患者数:成人の多くが罹患
慢性胃炎は、成人の多くが罹患している一般的な病気です。
日本では、成人の約7割が慢性胃炎を経験していると言われています。
慢性胃炎の原因:ピロリ菌感染、生活習慣、自己免疫疾患
慢性胃炎の主な原因は、以下の通りです。
- ピロリ菌感染:
- ピロリ菌は、胃の中に生息する細菌です。
- 慢性胃炎の原因の多くは、ピロリ菌感染であると考えられています。
- 生活習慣:
- 過度な飲酒、喫煙、ストレス、不規則な食生活などは、胃粘膜を刺激し、慢性胃炎を引き起こすことがあります。
- 自己免疫疾患:
- 自己免疫疾患によって、胃粘膜が攻撃され、慢性胃炎が引き起こされることがあります。
慢性胃炎の症状:無症状が多い、胃もたれ、胸やけ
慢性胃炎は、無症状のことも多いですが、症状が現れる場合は、以下のようになります。
- 胃もたれ:
- 食後に胃がもたれる感じがする。
- 例:
- 食後、胃が張った感じが続き、消化不良のような感じがする。
- 食べたものがなかなか消化されず、胃に残っている感じがする。
- 例:
- 食後に胃がもたれる感じがする。
- 胸やけ:
- 胸のあたりが焼けるように痛む。
- 例:
- 胸の奥が焼けるように痛み、ゲップが出ることがある。
- 酸っぱいものがこみ上げてくる感じがする。
- 例:
- 胸のあたりが焼けるように痛む。
- 食欲不振:
- 食欲がなくなる。
- 例:
- 食べたいと思わない。
- 少し食べただけでお腹いっぱいになる。
- 例:
- 食欲がなくなる。
- 吐き気:
- 吐き気がする。
- 腹痛:
- 胃のあたりが痛む。
慢性胃炎の検査:問診、胃内視鏡検査、ピロリ菌検査
慢性胃炎の診断には、以下の検査が行われます。
- 問診:
- 症状や、既往歴、生活習慣などを詳しくお伺いします。
- 胃内視鏡検査(胃カメラ):
- 胃の中を直接観察し、炎症の程度や種類を確認します。
- 組織を採取し、病理検査を行うこともあります。
- 胃カメラの流れ:
- 鎮静剤を投与し、意識をぼんやりさせます。
- 口または鼻から内視鏡を挿入します。
- 胃の中を観察します。
- 必要であれば、組織を採取します。
- 胃カメラの流れ:
- ピロリ菌検査:
- ピロリ菌の感染の有無を確認します。
- 尿素呼気試験、便検査、血液検査などがあります。
慢性胃炎の治療:薬物療法、生活習慣の改善
慢性胃炎の治療は、薬物療法と生活習慣の改善が中心となります。
- 薬物療法:
- 胃酸分泌抑制薬:
- 胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の炎症を**和らげます。
- 例:
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)
- H2受容体拮抗薬
- 例:
- 胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の炎症を**和らげます。
- 胃粘膜保護薬:
- 胃粘膜を保護し、胃酸の刺激から**守ります。
- 例:
- スクラルファート
- アルギン酸ナトリウム
- 例:
- 胃粘膜を保護し、胃酸の刺激から**守ります。
- 消化管運動改善薬:
- 胃の運動を促進し、胃もたれを改善します。
- 例:
- ドンペリドン
- モサプリド
- 例:
- 胃の運動を促進し、胃もたれを改善します。
- ピロリ菌除菌療法:
- ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行います。
- 2種類の抗菌薬と、胃酸分泌抑制薬を1週間服用します。
- 胃酸分泌抑制薬:
- 生活習慣の改善:
- 食事療法:
- 刺激物(アルコール、カフェイン、香辛料など)を避け、消化の良いものを食べましょう。
- 例:
- やわらかく煮込んだうどん
- おかゆ
- 鶏ひき肉と野菜の煮物
- 例:
- 規則正しい食生活を心がけましょう。
- 刺激物(アルコール、カフェイン、香辛料など)を避け、消化の良いものを食べましょう。
- 禁煙:
- 喫煙は、胃粘膜を刺激し、慢性胃炎を悪化させる原因となります。
- ストレス解消:
- ストレスは、胃酸分泌を促進し、胃粘膜を荒れさせる原因となります。
- 食事療法:
慢性胃炎の予防:ピロリ菌除菌、生活習慣の改善
慢性胃炎を予防するためには、ピロリ菌の除菌と、生活習慣の改善が大切です。
- ピロリ菌除菌:
- ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行うことで、慢性胃炎の発症や再発を予防することができます。
- 生活習慣の改善:
- バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒、十分な睡眠などを心がけましょう。
慢性胃炎に関するQ&A
Q:慢性胃炎は、胃がんになりますか?
A: 慢性胃炎、特に萎縮性胃炎は、胃がんのリスクを高めることが知られています。
定期的な胃カメラ検査を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
Q:慢性胃炎の治療期間はどのくらいですか?
A: 慢性胃炎の治療期間は、症状の程度や、原因となっている病気によって異なります。
長期間にわたって治療が必要となることもあります。
Q:慢性胃炎を予防するために、どんなことに気を付ければ良いですか?
A: 慢性胃炎を予防するためには、ピロリ菌の除菌と、生活習慣の改善が大切です。
バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒、十分な睡眠などを心がけましょう。
看護師として伝えたいこと:つらい症状、我慢しないで
慢性胃炎の症状は、本当につらいものです。
「また胃が痛くなったらどうしよう…」「食事が楽しめない…」
そんな不安や心配を抱えている方もいるかもしれません。
つらい症状は、我慢せずに、医療機関に相談してください。
慢性胃炎と向き合い、より穏やかな生活を取り戻しましょう。
出典
- 日本消化器病学会 ピロリ菌を除菌しましたが、その後胃カメラ検査を受ける必要がありますか?:https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_06
- 日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌に関するQ&A:https://www.jshr.jp/citizen/info/question.html