「突然、動悸が激しくなり、息苦しくなる」
「死ぬのではないかという恐怖に襲われる」
「めまいや吐き気がする」
もしかして、それはパニック障害かもしれません。
パニック障害は、突然、強い不安や恐怖に襲われるパニック発作を繰り返す病気です。
この記事では、パニック障害の原因、症状、検査、治療法、そして周囲の人の対応について、看護師の視点から詳しく解説します。
パニック障害とは:パニック発作を繰り返す不安障害
パニック障害とは、予期しないパニック発作を繰り返し、発作に対する不安や恐怖が続く不安障害の一種です。
パニック発作は、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、手足のしびれなど、様々な身体症状を伴います。
パニック障害の患者数:若い世代に多い
パニック障害は、若い世代に多くみられます。
日本では、約100人に1人がパニック障害を患っていると言われています。
パニック障害の原因:不明、様々な要因が複雑に関与
パニック障害の明確な原因は、まだ解明されていません。
しかし、遺伝的な要因、神経伝達物質のバランスの乱れ、ストレス、心理的な要因など、様々な要因が複雑に関与していると考えられています。
パニック障害の症状:パニック発作、予期不安、広場恐怖
パニック障害の主な症状は、以下の通りです。
- パニック発作:
- 突然、強い不安や恐怖に襲われ、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、手足のしびれなどの身体症状が現れます。
- 例:
- 心臓がドキドキして、息が苦しくなる。
- まるで心臓が止まってしまうのではないかと感じる。
- 息が詰まるように感じて、呼吸が苦しくなる。
- 立っていられないほどのめまいがする。
- 吐き気がして、吐きそうになる。
- 手足がしびれて、感覚がなくなる。
- 例:
- 死ぬのではないかという恐怖感や、コントロールを失うのではないかという不安感に襲われることもあります。
- 症状は数分~数十分でピークに達し、1時間以内に回復することがほとんどです。
- 突然、強い不安や恐怖に襲われ、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、手足のしびれなどの身体症状が現れます。
- 予期不安:
- またパニック発作が起きたらどうしようという不安が常にあります。
- 発作が起きやすい場所や状況を避けるようになることもあります。
- 広場恐怖:
- パニック発作が起きた時に、逃げ出すのが難しい場所や状況に強い不安を感じるようになります。
- 電車やバス、人混み、狭い場所などを避けるようになることがあります。
パニック障害の検査:問診、身体診察、心理検査
パニック障害の診断には、以下の検査が行われます。
- 問診:
- 症状や、発作の頻度、状況、生活への影響などを詳しくお伺いします。
- 身体診察:
- 心臓や呼吸器などに異常がないかを確認します。
- 心理検査:
- 不安や抑うつの程度などを評価します。
これらの検査結果を総合的に判断し、パニック障害の診断を行います。
パニック障害の治療:薬物療法、心理療法
パニック障害の治療は、薬物療法と心理療法を併用して行われます。
- 薬物療法:
- 抗うつ薬(SSRIなど):
- 脳内の神経伝達物質のバランスを整え、不安や抑うつを軽減します。
- 例:
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):
- フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなど
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):
- ミルタザピン、デュロキセチンなど
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):
- 例:
- 脳内の神経伝達物質のバランスを整え、不安や抑うつを軽減します。
- 抗不安薬:
- 不安や緊張を和らげます。
- 例:
- ベンゾジアゼピン系抗不安薬:
- アルプラゾラム、ロラゼパムなど
- ベンゾジアゼピン系抗不安薬:
- 例:
- 不安や緊張を和らげます。
- 抗うつ薬(SSRIなど):
- 心理療法:
- 認知行動療法:
- パニック発作や予期不安に対する誤った考え方や行動パターンを修正し、不安に立ち向かうためのスキルを身につけることを目指します。
- 認知行動療法:
パニック障害の予後:適切な治療で改善が期待できる
パニック障害は、適切な治療を受けることで、症状が改善し、日常生活を送れるようになることが期待できます。
パニック障害の周囲の人の対応:まずは落ち着いて
周囲にパニック障害の人がいる場合は、まずは落ち着いて、安心できるような声かけをしましょう。
症状が落ち着くまで、寄り添い、話を聞いてあげることが大切です。
パニック障害に関するQ&A
Q:パニック障害は、自然に治りますか?
A: パニック障害は、放置すると症状が悪化したり、慢性化したりする可能性もあるため、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
Q:パニック障害の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、症状の程度や個人差によって異なります。
数ヶ月~数年かかることもあります。
Q:パニック障害を改善するために、日常生活でできることはありますか?
A: 規則正しい生活、十分な睡眠、適度な運動、ストレスの解消などが大切です。
また、カフェインやアルコールの摂取を控えることも有効です。
看護師として伝えたいこと:つらい気持ち、打ち明けてください
パニック障害の症状は、本人にしか分からないつらさがあります。
「また発作が起きたらどうしよう…」「周りの人に迷惑をかけたらどうしよう…」
そんな不安や恐怖を抱えている方もいるかもしれません。
つらい気持ちは、我慢せずに、医療機関に打ち明けてください。
一緒に、パニック障害と向き合い、より穏やかな生活を取り戻しましょう。
出典
- 日本精神神経学会 塩入俊樹先生に「パニック障害/パニック症」を訊く:https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=43
- 厚生労働省 不安障害:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html