「最近、熱や下痢が続く」
「体重が減ってきた」
「原因不明の疲労感がある」
もしかしたら、それはHIV感染症(AIDS)かもしれません。
HIV感染症(AIDS)は、免疫力を低下させ、様々な病気を引き起こす病気です。
この記事では、HIV感染症(AIDS)の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
HIV感染症(AIDS)とは:免疫力が低下し、様々な病気を引き起こす病気
HIV感染症(AIDS)とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで、免疫力が徐々に低下し、様々な病気を引き起こす病気です。
AIDSは、後天性免疫不全症候群の略で、HIV感染によって免疫力が著しく低下した状態を指します。
HIV感染症の感染経路:性行為、血液感染、母子感染
HIV感染症の感染経路は、主に以下の3つです。
- 性行為:
- 同性間、異性間を問わず、性器、肛門、口を介した性行為
- 血液感染:
- 輸血、注射器の使い回しなど
- 母子感染:
- 妊娠、出産、授乳を通して
HIV感染症の患者数:世界中で増加傾向
HIV感染症は、世界中で増加傾向にあります。
日本国内の新規HIV感染者報告数は、近年減少傾向にありますが、依然として年間1000件程度の報告があります。
HIV感染症の症状:初期は無症状、進行すると様々な症状
HIV感染症は、初期にはほとんど症状がないことが多いです。
感染後、数週間ほどで風邪のような症状(発熱、のどの痛み、咳、倦怠感、発疹、リンパ節の腫れなど)が現れることがありますが、自然に治まります。
その後、数年~10年程度の無症候性感染期が続き、自覚症状がないまま免疫力が徐々に低下します。
免疫力が低下すると、日和見感染と呼ばれる様々な感染症やがんを発症しやすくなります。
- 日和見感染:
- カンジダ症、カリニ肺炎、結核、サイトメガロウイルス感染症など
- がん:
- カポジ肉腫、悪性リンパ腫など
HIV感染症の検査:HIV抗体検査、HIV-RNA検査
HIV感染症の診断には、以下の検査が行われます。
- HIV抗体検査:
- 血液中のHIV抗体の有無を調べます。
- HIV-RNA検査:
- 血液中のHIVウイルスの量を調べます。
これらの検査結果を総合的に判断し、HIV感染症の診断を行います。
HIV感染症の治療:抗HIV療法
HIV感染症の治療は、抗HIV療法が中心となります。
抗HIV薬を複数組み合わせることで、HIVウイルスの増殖を抑制し、免疫力の低下を防ぎます。
HIV感染症の予後:早期発見・早期治療で長期生存が可能
HIV感染症の予後は、早期発見・早期治療によって大きく改善しました。
現在では、抗HIV療法を継続することで、健康な人とほぼ変わらない生活を送ることができます。
HIV感染症の予防:性行為の際のコンドーム使用、血液感染の予防
HIV感染症を予防するためには、以下のことが大切です。
- 性行為の際のコンドーム使用:
- 性行為の際は、必ずコンドームを使用しましょう。
- 血液感染の予防:
- 輸血は、安全な血液であることを確認しましょう。
- 注射器の使い回しはやめましょう。
HIV感染症に関するQ&A
Q:HIV感染症は、遺伝しますか?
A: HIV感染症は、遺伝しません。
Q:HIV感染症は、治りますか?
A: 現在のところ、HIV感染症を完治させる治療法はありません。
しかし、抗HIV療法によって、ウイルスの増殖を抑制し、免疫力を維持することができます。
Q:HIV感染症の検査は、どこで受けられますか?
A: 医療機関や保健所などで受けられます。
匿名で検査を受けられる場所もあります。
看護師として伝えたいこと:不安な気持ちに寄り添います
HIV感染症(AIDS)と診断された時は、不安や戸惑いでいっぱいだと思います。
「これからどうなるんだろう…」「周りの人に知られたらどうしよう…」
そんな気持ちを抱えている方もいるかもしれません。
何か不安なことや心配なことがあれば、医療機関に相談しましょうね。
一緒に、病気と向き合い、より良い未来を目指しましょう。
出典
- 厚生労働省 HIV/エイズ予防対策:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/aids/index.html
- 国立感染症研究所 エイズ研究センター:https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-aids.html