「突然、悪寒とともに高熱が出た」
「腰や背中がズキズキ痛む」
「排尿時に痛みがある」
もしかしたら、それは腎盂腎炎かもしれません。
腎盂腎炎は、腎臓に細菌感染が起こり、炎症を引き起こす病気です。
この記事では、腎盂腎炎の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
腎盂腎炎とは:腎臓に細菌感染が起こる病気
腎盂腎炎とは、腎臓の腎盂や腎実質に、細菌感染が起こり、炎症を引き起こす病気です。
多くの場合、膀胱炎から細菌が尿管を逆流して腎臓に感染し、発症します。
腎盂腎炎の種類:急性腎盂腎炎、慢性腎盂腎炎
腎盂腎炎には、大きく分けて2つの種類があります。
- 急性腎盂腎炎:
- 急激に発症し、高熱や腰痛などの症状が強く現れます。
- 慢性腎盂腎炎:
- 緩やかに進行し、自覚症状がないこともあります。
- 再発を繰り返すと、腎臓の機能が徐々に低下し、腎不全に進行することがあります。
腎盂腎炎の患者数:女性に多い
腎盂腎炎は、女性に多くみられます。
特に、20~30代の女性に多く、その理由として、女性は尿道が短く、細菌が膀胱や腎臓に侵入しやすいことが挙げられます。
腎盂腎炎の原因:細菌感染が主な原因
腎盂腎炎の主な原因は、細菌感染です。
- 大腸菌:
- 最も多い原因菌です。
- 腸球菌、クレブシエラ、プロテウス:
- これらの細菌も、腎盂腎炎の原因となることがあります。
腎盂腎炎の症状:高熱、腰痛、排尿時痛など
腎盂腎炎の主な症状は、以下の通りです。
- 高熱:
- 悪寒とともに、38℃以上の高熱が出ます。
- 例:
- 寒気がしてガタガタ震える
- 熱が上がって体がだるい
- 頭痛や関節痛を伴う
- 例:
- 悪寒とともに、38℃以上の高熱が出ます。
- 腰痛:
- 腰や脇腹から背中にかけて、ズキズキとした痛みが起こります。
- 例:
- 腰全体がズキズキと痛み、体を動かすのが辛い
- 右側の腰に激しい痛みがあり、寝返りも打てない
- 痛みが波のようにやってくる
- 例:
- 腰や脇腹から背中にかけて、ズキズキとした痛みが起こります。
- 排尿時痛:
- 排尿時に痛みや違和感を感じます。
- 例:
- 排尿時に尿道がツーンと痛む
- 残尿感がある
- 頻尿になる
- 例:
- 排尿時に痛みや違和感を感じます。
- 血尿:
- 尿に血が混じることがあります。
- 吐き気、嘔吐:
- 高熱や腰痛に伴い、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
これらの症状は、片側に出ることがほとんどです。
腎盂腎炎の検査:尿検査、血液検査、画像検査など
腎盂腎炎の診断には、以下の検査が行われます。
- 尿検査:
- 尿中の細菌や白血球の有無を調べます。
- 血液検査:
- 炎症反応や腎機能などを調べます。
- 画像検査:
- 超音波検査やCT検査などで、腎臓の状態を調べます。
これらの検査結果を総合的に判断し、腎盂腎炎の診断を行います。
腎盂腎炎の治療:抗菌薬療法が中心
腎盂腎炎の治療は、抗菌薬療法が中心となります。
- 抗菌薬療法:
- 原因菌を特定し、有効な抗菌薬を投与します。
- 約1週間の抗菌薬投与で、症状は改善します。
- その他:
- 十分な水分補給を行い、安静を心がけましょう。
- 症状に応じて、解熱鎮痛薬や吐き気止めなどを使用することがあります。
腎盂腎炎の予防:生活習慣の改善、基礎疾患の治療
腎盂腎炎を予防するためには、以下のことが大切です。
- 生活習慣の改善:
- 十分な水分補給を心がけ、排尿を我慢しないようにしましょう。
- バランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めましょう。
- 基礎疾患の治療:
- 膀胱炎や腎臓結石などの基礎疾患がある場合は、適切に治療しましょう。
腎盂腎炎に関するQ&A
Q:腎盂腎炎は、自然に治ることはありますか?
A: 腎盂腎炎は、自然に治ることはありません。
放置すると、重症化したり、慢性化したりする可能性があります。
必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
Q:腎盂腎炎の治療期間はどのくらいですか?
A: 治療期間は、約1週間が目安です。
ただし、症状や原因菌の種類によって、治療期間が長くなることもあります。
Q:腎盂腎炎を繰り返す場合は、どうすれば良いですか?
A: 腎盂腎炎を繰り返す場合は、原因を特定し、適切な対策をとることが大切です。
医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
看護師として伝えたいこと:つらい時は、我慢しないで
腎盂腎炎は、高熱や腰痛など、つらい症状を伴う病気です。
「もしかして、腎盂腎炎かも…?」
と、少しでも体調に異変を感じたら、我慢せずに医療機関を受診してください。
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