「昨日から何度も吐いて、下痢も止まらない」
「熱も出てきたし、お腹も痛い」
もしかしたら、それはノロウイルス感染症かもしれません。
ノロウイルス感染症は、冬に流行する感染性胃腸炎の一つで、激しい吐き気や下痢、発熱などの症状を引き起こします。
この記事では、ノロウイルス感染症の原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。
ノロウイルス感染症とは:感染性胃腸炎
ノロウイルス感染症とは、ノロウイルスというウイルスが原因で起こる感染性胃腸炎です。
ノロウイルスは、感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染してしまいます。
冬に流行することが多く、特に乳幼児や高齢者は重症化しやすい傾向があります。
ノロウイルス感染症の症状:吐き気、下痢、発熱
ノロウイルス感染症の主な症状は、以下の通りです。
- 吐き気・嘔吐: 突然の吐き気や嘔吐が起こります。
- 下痢: 水のような下痢が頻繁に起こります。
- 発熱: 38℃程度の発熱が見られることがあります。
- 腹痛: 腹部に激しい痛みが生じることがあります。
- 倦怠感: 全身のだるさや倦怠感があります。
- 頭痛: 頭痛を伴うことがあります。
- 悪寒: 寒気を感じることがあります。
これらの症状は、通常、1~2日で自然に回復します。
しかし、乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすく、重症化する可能性があるため注意が必要です。
ノロウイルス感染症の原因:経口感染
ノロウイルス感染症の主な原因は、経口感染です。
ノロウイルスに汚染された食品や水を口にすることで感染します。
また、感染者の便や吐物に触れたり、飛沫を吸い込んだりすることでも感染することがあります。
ノロウイルス感染症の検査:迅速診断キット
ノロウイルス感染症の診断には、迅速診断キットが用いられます。
便検査でノロウイルス抗原を検出することで、診断が確定します。
ノロウイルス感染症の治療:対症療法
ノロウイルス感染症には、特効薬はありません。
治療は、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
- 水分補給: 脱水症状を予防するために、こまめに水分を補給します。
- 経口補水液(OS-1など)がおすすめです。
- 水やお茶でも構いませんが、糖分が多いジュースは避けましょう。
- 乳幼児は、少量ずつ頻繁に水分補給しましょう。
- 高齢者は、脱水症状に気づきにくいため、特に注意が必要です。
- 安静: 症状が落ち着くまで、安静に過ごします。
- 食事: 吐き気や下痢が落ち着いてきたら、消化の良いものを少しずつ食べます。
- おかゆ、うどん、スープなどがおすすめです。
- 刺激の強いものや脂っこいものは避けましょう。
- 食欲がない場合は、無理に食べる必要はありません。
ノロウイルス感染症の予防:衛生管理
ノロウイルス感染症を予防するためには、衛生管理が重要です。
- 手洗い: トイレの後や調理前は、必ず石鹸と流水で手を洗いましょう。
- 石鹸だけでなく、流水でしっかりと洗い流すことが大切です。
- アルコール消毒液も有効です。
- 食品衛生: 食品は十分に加熱し、生ものは ভালোভাবে洗いましょう。
- 特に、貝類は十分に加熱調理しましょう。
- 野菜や果物は、流水でよく洗いましょう。
- 環境消毒: 感染者の便や吐物は、適切に処理し、周囲を消毒しましょう。
- 使い捨ての手袋やマスクを着用しましょう。
- 便や吐物は、ビニール袋に入れて密封しましょう。
- 消毒液(次亜塩素酸ナトリウムなど)で汚染された場所を拭きましょう。
ノロウイルス感染症に関するQ&A
Q:ノロウイルス感染症は、一度かかると二度とかからないのですか?
A: いいえ、ノロウイルスには様々な型があり、一度感染しても、別の型のノロウイルスに感染する可能性があります。
Q:ノロウイルス感染症の潜伏期間はどのくらいですか?
A: ノロウイルス感染症の潜伏期間は、通常、1~2日です。
Q:ノロウイルスに感染したら、会社や学校は休むべきですか?
A: はい、ノロウイルス感染症は感染力が非常に強いため、周囲への感染拡大を防ぐためにも、症状が落ち着くまで自宅で療養しましょう。
Q:ノロウイルス感染症の予防に、ワクチンはありますか?
A: いいえ、現在、ノロウイルス感染症に対するワクチンはありません。
看護師として伝えたいこと:つらい症状、早めの受診を
ノロウイルス感染症は、激しい吐き気や下痢、発熱などのつらい症状を引き起こします。
しかし、適切な治療と対策を行うことで、症状を和らげ、回復を早めることができます。
「もしかして、ノロウイルスかも…?」
と、少しでも不安に感じたら、まずは医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
つらい症状を乗り越え、元気な毎日を取り戻しましょう。
出典
- 厚生労働省 感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/norovirus/
- 国立感染症研究所 ノロウイルス感染症とは:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/452-norovirus-intro.html