膵臓がん:早期発見が難しい進行の速いがん。症状・原因・検査・治療・予防・Q&Aを徹底解説

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「最近、お腹の調子が悪い」
「背中が痛むことがある」
「黄疸が出た」

もしかして、それは膵臓がんのサインかもしれません。

膵臓がんは、早期発見が難しく、進行が速いがんです。
しかし、早期発見・早期治療を行うことで、治癒の可能性も高まります。

この記事では、膵臓がんの原因、症状、検査、治療法、そして予防策について、看護師の視点から詳しく解説します。

膵臓がんとは:膵臓にできるがん

膵臓がんは、膵臓にできるがんで、そのほとんどは膵管(膵液を運ぶ管)に発生します。

50~70歳の男性に多くみられ、近年、罹患数が増加傾向にあります。

2020年には、日本全国で44,448人もの方が膵臓がんと診断されました。
膵臓がんと診断された時点で、約8割が進行がんの状態であるというデータもあり、早期発見の重要性が強調されます。

膵臓がんの症状:早期には無症状。進行すると…

膵臓がんは、早期には自覚症状がほとんどありません。

進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 腹痛: 食後にみぞおちがキリキリと痛む、夜間に背中がズキズキと痛む
  • 黄疸: 体や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる
  • 食欲不振: 食欲がなくなる
  • 体重減少: 体重が減る
  • 吐き気・嘔吐: 吐き気や嘔吐が起こる
  • 下痢: 下痢が続く
  • 糖尿病: 血糖コントロールが悪くなり、糖尿病を発症する

これらの症状は、膵臓がん以外の原因でも起こることがあります。

気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。

膵臓がんの原因:喫煙が最大の危険因子。その他にも…

膵臓がんの明確な原因は、まだ解明されていません。

しかし、喫煙が最大の危険因子であることが分かっています。
その他にも、

  • 糖尿病
  • 慢性膵炎
  • 肥満
  • 家族歴
  • 加齢

などが、膵臓がんのリスクを高める要因として考えられています。

膵臓がんの検査:画像検査、腫瘍マーカー検査、病理検査

膵臓がんの診断には、以下の検査が行われます。

  • 画像検査:
    • 超音波検査(エコー検査): 腹部に超音波を当て、膵臓の状態を調べます。
    • CT検査: 膵臓の形や大きさ、がんの広がりなどを詳しく調べます。
    • MRI検査: CT検査と同様に、膵臓の状態を詳しく調べます。
    • ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影): 胆管や膵管に造影剤を注入し、X線で撮影します。
  • 腫瘍マーカー検査:
    • CA19-9: 膵臓がんの腫瘍マーカーとしてよく用いられます。
    • CEA: 消化器がんの腫瘍マーカーとして用いられます。
  • 病理検査:
    • 生検: 組織の一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。

膵臓がんの病期(ステージ):進行度合いを表す分類

膵臓がんのステージは、がんの進行度合いを示すもので、治療法や予後を判断する上で重要な情報です。

ステージ分類には、日本膵臓学会分類とUICC分類の2種類がありますが、どちらもがんの大きさ、リンパ節転移の有無、周囲組織への浸潤の程度によって分類されます。

どちらの分類を用いるかは、医療機関によって異なりますが、ここでは両方の分類について解説します。

日本膵臓学会分類

  • I期: がんが2cm以下で膵臓内に限局し、リンパ節転移がないもの
  • II期: がんが2cm以下で膵臓内に限局しているが、第1群リンパ節転移がある、またはがんが2cmを超えているが膵臓内にとどまり、リンパ節転移がないもの
  • III期: がんが2cm以下で膵臓内に限局しているが、第2群リンパ節転移がある、またはがんが2cmを超えており、第1群リンパ節転移がある、またはがんが膵臓外に少し出ているが、リンパ節転移がないか第1群まで
  • IVa期: がんが膵臓外に少し出ており、第2群リンパ節転移がある、またはがんが膵臓周囲の血管に及んでいるがリンパ節転移がないか第1群まで
  • IVb期: がんが膵臓周囲の血管に及んでおり、第2群リンパ節転移がある、または第3群リンパ節転移があるか、離れた臓器に転移がある

UICC分類

  • I期: 膵臓がんが膵臓内にとどまっており、リンパ節転移がないもの
  • II期: 膵臓がんが膵臓の周りにおよんでいるが、膵臓周囲の重要な血管にはおよばず、リンパ節転移がないか第1群まで
  • III期: がんが膵臓周囲の重要な血管におよんでいるが、離れた臓器には転移がないもの
  • IV期: 膵臓から離れたところに転移があるもの

膵臓がんの治療:手術、化学療法、放射線療法

膵臓がんの治療法は、がんの進行度合いや患者さんの状態によって異なりますが、主に以下の3つがあります。

  • 手術:
    • 膵頭十二指腸切除術: 膵頭部のがんの場合に行われる手術。
    • 膵体尾部切除術: 膵体部や尾部のがんの場合に行われる手術。
    • 膵全摘術: 膵臓全体を切除する手術。
  • 化学療法:
    • 抗がん剤を使用して、がん細胞の増殖を抑える治療法。
  • 放射線療法:
    • 放射線を照射して、がん細胞を破壊する治療法。

これらの治療法を、単独または組み合わせて行うことがあります。

膵臓がんの予防:禁煙、食生活の改善、適度な運動

膵臓がんを予防するためには、以下の点が重要です。

  • 禁煙: 喫煙は、膵臓がんの最大の危険因子です。禁煙を心がけましょう。
  • 食生活の改善: バランスの取れた食事を心がけ、肥満を解消しましょう。
  • 適度な運動: 適度な運動を心がけ、生活習慣病を予防しましょう。
  • 糖尿病の管理: 糖尿病の方は、血糖コントロールをしっかり行いましょう。
  • 慢性膵炎の治療: 慢性膵炎の方は、適切な治療を受けましょう。

膵臓がんに関するQ&A

Q:膵臓がんは、早期発見が難しいのですか?

A: 膵臓がんは、早期には自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しいと言われています。

Q:膵臓がんの治療法は?

A: 膵臓がんの治療法は、手術、化学療法、放射線療法などがあります。
がんの進行度合いや患者さんの状態によって、治療法は異なります。

Q:膵臓がんを予防するには?

A: 禁煙、食生活の改善、適度な運動などが、膵臓がんの予防に繋がると考えられています。

看護師として伝えたいこと:膵臓がんは、早期発見・早期治療が大切です

膵臓がんは、進行が早く、予後が悪いがんの一つです。
しかし、早期発見・早期治療を行うことで、治癒の可能性も高まります。

「もしかして、膵臓がんかも…?」

と、少しでも不安に感じたら、まずは医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。

出典

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