「最近、不正出血がある」
「おりものの量が増えた気がする」
もしかして、それは子宮頸がんのサインかもしれません。
子宮頸がんは、女性特有のがんで、早期発見と適切な治療が大切です。
この記事では、子宮頸がんの原因、症状、検査、治療法、予防策、そしてよくある疑問について、看護師の視点から詳しく解説します。
子宮頸がんとは:子宮頸部の細胞ががん化する病気
子宮頸がんとは、子宮の入り口(子宮頸部)の細胞が、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってがん化する病気です。
子宮頸がんは、早期発見できれば治癒する可能性が高いがんです。
子宮頸がんの症状:初期は無症状、進行すると不正出血やおりもの異常
子宮頸がんの初期は、ほとんど症状がないことが特徴です。
進行すると、不正出血やおりもの異常などが現れることがあります。
- 不正出血: 生理ではない出血が、少量ずつダラダラと続く。性交時に出血することもある。
- おりもの異常: 量が増えたり、色が変化したり(茶色や血が混じる)、悪臭を伴うおりもの。
- 下腹部痛: 下腹部の鈍い痛み、またはズキズキとした痛み。
- 腰痛: 腰の重い感じ、またはズキズキとした痛み。
- 性交痛: 性行為の際に痛みがある。
子宮頸がんの原因:ヒトパピローマウイルス(HPV)感染
子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。
HPVは、性行為によって感染するウイルスで、100種類以上の型があります。
そのうち、16型と18型は、子宮頸がんのリスクが特に高い型として知られています。
子宮頸がんの検査:細胞診、コルポスコピー、組織生検、HPV検査
子宮頸がんの検査には、以下のものがあります。
- 細胞診(子宮頸がん検診): 子宮頸部の細胞を採取して、顕微鏡で調べる検査。
- コルポスコピー: 子宮頸部を拡大して観察する検査。
- 組織生検: 子宮頸部の組織を採取して、がん細胞の有無を調べる検査。
- HPV検査: 子宮頸部の細胞を採取して、HPVの有無を調べる検査。
細胞診は、子宮頸がんの早期発見に非常に重要な検査です。
コルポスコピーは、細胞診で異常が見つかった場合に行われる検査です。
組織生検は、子宮頸がんの確定診断に必要な検査です。
HPV検査は、子宮頸がんのリスクを判定するために行われます。
子宮頸がんの治療:手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法
子宮頸がんの治療法は、がんの進行度や患者さんの状態によって異なります。
- 手術: 子宮を摘出する手術。
- 円錐切除術: 子宮頸部の一部を円錐状に切り取る手術。
- 子宮全摘出術: 子宮をすべて摘出する手術。
- 広範囲子宮全摘出術: 子宮だけでなく、周囲の組織やリンパ節も摘出する手術。
- 放射線療法: 放射線を照射して、がん細胞を破壊する治療法。
- 化学療法: 抗がん剤を使用して、がん細胞を破壊する治療法。
- 化学放射線療法: 化学療法と放射線療法を組み合わせた治療法。
子宮頸がんの進行とステージ
子宮頸がんは、進行度によって、以下のステージに分類されます。
- 0期: がん細胞が子宮頸部の表面にとどまっている状態(上皮内がん)。
- I期: がん細胞が子宮頸部に浸潤している状態。
- II期: がん細胞が子宮頸部を超えて、周囲の組織に広がっている状態。
- III期: がん細胞が骨盤壁まで広がっている状態。
- IV期: がん細胞が膀胱や直腸に浸潤している、または遠隔転移している状態。
子宮頸がんの治療法の選択
子宮頸がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)によって異なります。
- 0期: 円錐切除術
- I期: 円錐切除術、または子宮全摘出術
- II期~IV期: 放射線療法、化学療法、または手術
子宮頸がん治療後の経過観察
子宮頸がん治療後は、定期的な経過観察が重要です。
経過観察では、再発の有無や、治療による副作用などを確認します。
子宮頸がん患者さんの生活:心のケアも大切
子宮頸がんと診断された患者さんは、不安や恐怖を感じることがあります。
治療だけでなく、心のケアも大切です。
家族や友人とのコミュニケーションを大切にし、信頼できる医療機関に相談しましょう。
子宮頸がん予防啓発:HPVワクチンと定期的な検診の重要性
子宮頸がんは、予防できるがんです。
HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診は、子宮頸がんからあなた自身を守るための大切な手段です。
子宮頸がんの疫学:若い女性に多い傾向
子宮頸がんは、20代後半から30代の若い女性に多い傾向があります。
しかし、近年、子宮頸がん検診の受診率が低下していることが問題視されています。
子宮頸がんは、早期に発見できれば、ほぼ100%治癒が可能です。
そのため、定期的な子宮頸がん検診を受けることが非常に大切です。
子宮頸がんに関するQ&A
Q:HPVワクチンは、何歳から接種できますか?
A: HPVワクチンは、通常、小学校6年生から高校1年生の女の子を対象に、公費で接種できます。しかし、男性もHPVワクチンを接種することで、パートナーの女性の子宮頸がんリスクを減らすことができます。HPVワクチンの接種対象年齢は、国や地域によって異なりますので、お住まいの地域の情報を確認してください。
Q:HPVワクチンは、大人になってからでも効果がありますか?
A: はい、大人になってからでも効果があります。ただし、HPVに感染する前に接種する方が、より効果的です。HPVワクチン接種の推奨年齢は、国や地域によって異なります。一般的には、45歳くらいまで接種が推奨されています。
Q:子宮頸がん検診は、どのくらいの頻度で受けるべきですか?
A: 20歳以上の女性は、2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。ただし、過去の検査結果やリスク要因によっては、医師の判断で検査頻度が変わることもあります。
Q:子宮頸がん検診は、痛いですか?
A: 細胞診は、少し違和感がある程度で、痛みはほとんどありません。コルポスコピーや組織生検は、検査の際に痛みを感じることがあります。痛みに不安がある場合は、医師に相談してください。
Q:子宮頸がんは、遺伝しますか?
A: 子宮頸がん自体は遺伝しませんが、HPVに感染しやすい体質や、免疫力が低い体質は遺伝する可能性があります。
Q:子宮頸がんの治療後、妊娠できますか?
A: 子宮頸がんの治療法によっては、妊娠できる可能性があります。医師とよく相談し、治療法を選択しましょう。
Q:子宮頸がんの初期症状は?
A: 子宮頸がんの初期は、ほとんど症状がないことが多いです。
Q:子宮頸がんの進行を予防するには?
A: HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診が有効です。
Q:子宮頸がんになりやすい人の特徴は?
A: 喫煙、性交渉経験が多い、複数のパートナーがいる、などがリスク要因として挙げられます。
Q:子宮頸がんの疑いがある場合、何科を受診すればいいですか?
A: 婦人科を受診しましょう。
Q:子宮頸がんの治療期間は?
A: 治療期間は、がんの進行度や治療法によって異なります。手術の場合は、入院期間を含めて数週間程度、放射線療法や化学療法の場合は、数ヶ月かかることがあります。
Q:子宮頸がんの治療費は?
A: 治療費は、治療法や医療機関によって異なります。保険診療で受けられる治療法もありますが、先進医療など費用が高額になる場合もあります。
Q:子宮頸がんの再発率は?
A: 再発率は、がんの進行度や治療法によって異なります。一般的には、早期発見・早期治療を行った方が、再発率は低い傾向にあります。
Q:子宮頸がんの生存率は?
A: 生存率は、がんの進行度や治療法によって異なります。一般的には、早期発見・早期治療を行った方が、生存率は高い傾向にあります。
Q:子宮頸がんに関する相談窓口はありますか?
A: 各都道府県の相談窓口や、がん相談支援センターなどで相談できます。
看護師として伝えたいこと:子宮頸がん予防は、あなた自身を守るために
子宮頸がんは、早期発見と適切な治療によって、決して怖い病気ではありません。
HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診は、あなた自身を守るための大切な手段です。
ぜひ、積極的に子宮頸がん予防に取り組みましょう。
出典
- 日本産科婦人科学会 子宮頸がん:https://www.jsog.or.jp/citizen/5713/
- 国立がん研究センター 子宮頸がん:https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html