繰り返すかゆみ、もうイヤ!アトピー性皮膚炎の原因・症状・治療を徹底解説

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夜も眠れないほどのかゆみ、何度も繰り返す湿疹…
『もうイヤ!』そう思っている方は少なくないはずです。

アトピー性皮膚炎は、多くの方を悩ませる慢性的な皮膚の病気です。

強いかゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。
乳児期から大人まで、幅広い年齢層で発症する可能性があり、その症状も年齢によって変化します。
この記事では、つらいかゆみから解放されるために、アトピー性皮膚炎とはどのような病気なのか、その原因、年齢別の症状、最新の治療法、そして日常生活で気を付けることについて、最新の情報に基づき、わかりやすく徹底的に解説します。

アトピー性皮膚炎とは:かゆみを伴う湿疹が慢性的に続く病気

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、アトピー素因というアレルギーを起こしやすい体質を持っており、皮膚のバリア機能(外界の刺激から体を守る機能)が低下していることが分かっています。
そのため、外部からの様々な刺激(ダニ、ハウスダスト、花粉、乾燥など)を受けやすく、炎症を起こしやすい状態になっています。

アトピー性皮膚炎の症状:年齢によって異なる症状の変化

アトピー性皮膚炎の症状は、年齢によって現れ方が異なります。

乳児期(生後~1歳頃まで)

生後数ヶ月から、顔(特に頬や口のまわり)に赤いプツプツとした発疹が現れます。
掻きむしることで、じゅくじゅくしたり、かさぶたになったりすることもあります。
その後、首、肘の内側、膝の裏など、汗をかきやすく、皮膚がこすれやすい部分に広がることが多いです。左右対称に症状が出やすいのも特徴です。

幼小児期(1歳~小学校入学前頃まで)

乳児期に比べると症状が落ち着く方もいますが、顔の発疹は減る一方で、首、肘の内側、膝の裏、手足の関節など、体の他の部分に湿疹が現れることが多くなります。
皮膚の乾燥が目立つようになり、掻くことで皮膚が硬く、ゴワゴワした状態(苔癬化)になることもあります。

学童期・思春期・成人期

学童期以降は、首のまわり、胸、背中などに湿疹が現れやすくなります。
皮膚は厚く硬くなり、色素沈着(黒ずみ)が見られることもあります。
顔では、赤み(紅斑)が出たり、角質が剥がれ落ちたりすることがあります。
強いかゆみは持続し、精神的なストレスにつながることもあります。
成人になってから初めて発症するケースも増加傾向にあります。

アトピー性皮膚炎の症状は、季節によって変化することもあります。
一般的には、夏は汗の影響で悪化しやすく、冬は乾燥によって悪化しやすい傾向にありますが、個人差があります。

アトピー性皮膚炎の原因:遺伝的要因と環境要因の複合的な関与

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因(アトピー素因)と環境的な要因が複雑に関与して発症すると考えられています。

アトピー素因

アトピー素因とは、アレルギーを起こしやすい体質のことで、IgE抗体を産生しやすい体質や、皮膚のバリア機能が低下している状態などが含まれます。
フィラグリン遺伝子の異常も、アトピー素因の重要な要因として知られています。

環境要因

環境要因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • アレルゲン(アレルギーの原因物質): ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛、カビなどが代表的なアレルゲンです。乳幼児では、牛乳、卵、小麦、大豆などの食物がアレルゲンとなることもあります。
  • 外的刺激: 汗、乾燥、摩擦(衣類の摩擦、掻くことによる摩擦)、洗剤や石鹸の成分、紫外線などが皮膚への刺激となり、症状を悪化させることがあります。
  • 精神的ストレス: ストレスは免疫機能に影響を与え、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる要因となることがあります。

アトピー性皮膚炎の治療:薬物療法とスキンケアが基本

アトピー性皮膚炎の治療は、薬物療法とスキンケアを基本として、必要に応じて悪化要因の除去などを行います。
「寛解導入療法」で症状を落ち着かせた後、「寛解維持療法」で良い状態を維持していくことが重要です。

薬物療法

  • 外用薬: 炎症を抑えるステロイド外用薬、タクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などの外用薬が使用されます。ステロイド外用薬は、強さの異なるものが複数あり、症状の程度や部位によって使い分けられます。医師の指示に従い、適切な強さの薬を適切な期間使用することが大切です。
  • 内服薬: かゆみを抑える抗ヒスタミン薬、炎症を抑える抗アレルギー薬、重症の場合には免疫抑制薬(シクロスポリンなど)、JAK阻害薬などが使用されることがあります。
  • 生物学的製剤: 従来の治療で十分な効果が得られない重症のアトピー性皮膚炎に対しては、注射薬である生物学的製剤(デュピルマブ、トラロキヌマブなど)が使用されることがあります。

スキンケア

皮膚のバリア機能を保つために、保湿剤によるスキンケアが非常に重要です。
入浴後など、皮膚が潤っている状態の時に保湿剤を塗るようにしましょう。
セラミド、ヘパリン類似物質、ワセリンなどの保湿成分が含まれた保湿剤が効果的です。
また、皮膚を清潔に保つことも大切です。

悪化要因の除去

アレルゲンや外的刺激など、症状を悪化させる要因をできる限り避けるように心がけましょう。

日常生活で気を付けること

  • 掻かないこと: かゆみがあってもできる限り掻かないようにしましょう。掻くことで皮膚の状態が悪化し、かゆみがさらに強くなるという悪循環に陥ります。かゆみが強い時は、冷たいタオルで冷やしたり、保湿剤を塗ったりすることで、かゆみを和らげることができます。
  • 適切な保湿: 保湿剤をこまめに塗り、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
  • 刺激の少ない生活: 刺激の強い衣類(チクチクする素材など)や洗剤などを避け、皮膚への刺激を減らしましょう。綿素材の衣類を選ぶ、洗濯の際は柔軟剤を控えるなどの工夫も有効です。
  • ストレスを溜めない: 十分な睡眠や休息をとり、ストレスを溜めないように心がけましょう。
  • 規則正しい生活: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠など、規則正しい生活を送ることは、免疫機能の維持に繋がり、症状の改善に役立つことがあります。

アトピー性皮膚炎は、根気強く治療を続けることが大切です。
自己判断で治療を中断したり、民間療法に頼ったりせず、医師の指示に従って適切な治療を続けるようにしましょう。

出典

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