つらい花粉症、その原因と対策:くしゃみ、鼻水、目のかゆみ

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春先になると、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、鼻詰まりなどに悩まされる方は多いのではないでしょうか。
「もしかして花粉症かも?」と感じている方もいるかもしれません。

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)は、今や日本人の多くが悩む国民病とも言える身近なアレルギー疾患です。
症状が悪化すると、仕事や勉強に集中できなくなったり、睡眠不足につながったりと、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

この記事では、花粉症の症状、原因、市販薬を含む治療法、日常生活でできる予防策などを、最新の情報に基づいてわかりやすく徹底的に解説します。

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)とは:花粉に対する体の過剰な反応

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が、鼻や目などの粘膜に付着することで起こるアレルギー反応です。
本来、人体に無害な花粉を、体が異物(アレルゲン)と認識し、排除しようとする免疫反応が過剰に起こることで、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの様々な症状が現れます。
これは、IgE抗体という免疫グロブリンが関与するI型アレルギー反応です。

日本人の約5人に1人が花粉症と言われており、特にスギ花粉症はその約8割を占めています。

花粉症の主な症状:鼻と目の症状が中心、その他にも様々な症状

花粉症の主な症状は、鼻と目に現れます。

  • 鼻の症状: くしゃみ(連続して起こることが多い)、鼻水(水様性鼻漏:水っぽい鼻水)、鼻詰まり(鼻閉)、鼻のかゆみなどが代表的な症状です。鼻詰まりがひどいと、頭痛や集中力低下につながることもあります。
  • 目の症状: かゆみ、涙(流涙)、結膜の充血(目が赤くなる)、異物感などが主な症状です。目のかゆみは、我慢できないほど強く感じることがあり、目をこすってしまうことで、さらに症状が悪化することもあります。

その他、鼻や目の症状に加えて、以下のような症状が現れることもあります。

  • その他の症状: 喉のかゆみ、皮膚のかゆみ(顔や首など)、頭痛、倦怠感、集中力低下、イライラ、微熱、咳、喉の痛み、皮膚の乾燥など。

これらの症状は、風邪の初期症状と似ているため、花粉の飛散時期と照らし合わせて判断することが大切です。
症状が長引く場合や、症状が重い場合は、自己判断せずに医療機関(耳鼻咽喉科、眼科、アレルギー科など)を受診することが大切です。

花粉症の原因となる花粉:スギ、ヒノキ、イネ科、ブタクサなど

花粉症の原因となる植物は多種多様で、日本では60種類以上にのぼると言われています。
代表的な花粉と飛散時期は以下の通りです。

  • スギ: 2月~4月(地域によって異なります)
  • ヒノキ: 3月~5月(スギ花粉の飛散が終わる頃に飛散することが多い)
  • カモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科: 5月~10月
  • ブタクサ、ヨモギなどのキク科: 8月~10月

花粉の飛散時期は、地域や年によって変動するため、最新の情報を確認するようにしましょう。
環境省のウェブサイトや、各自治体の花粉情報サイトなどで確認できます。

花粉の飛散量に影響を与える要因として、風が強く晴天の日、気温が高い日、湿度が低くて乾燥している日、雨上がりの翌日晴れた日などが挙げられます。
これらの日は、特に花粉が多く飛散するため、十分な注意が必要です。

花粉症の治療:対症療法と根治療法、市販薬の選び方

花粉症の治療には、症状を抑える「対症療法」と、アレルギー体質そのものを改善する「根治療法(アレルゲン免疫療法)」があります。
また、薬局などで購入できる市販薬も、症状の緩和に役立ちます。

対症療法:症状を緩和する薬物療法

対症療法は、症状が現れた際に薬を使用して症状を緩和する治療法です。
主な薬として、以下のものがあります。

  • 内服薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、遊離抑制薬など): くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの原因となるヒスタミンなどの化学伝達物質の作用を抑える薬が使用されます。抗ヒスタミン薬には、眠気を催しやすい第一世代と、眠気が少ない第二世代があります。抗ロイコトリエン薬は、鼻詰まりに効果があるとされています。遊離抑制薬は、アレルギー症状を引き起こす化学伝達物質の放出を抑える作用があります。
  • 点鼻薬(ステロイド点鼻薬、抗アレルギー点鼻薬、血管収縮薬など): 鼻の粘膜の炎症を抑え、鼻詰まりを改善します。ステロイド点鼻薬は、抗炎症作用が強く、鼻詰まりに効果的ですが、長期使用には注意が必要です。抗アレルギー点鼻薬は、比較的副作用が少ないとされています。血管収縮薬は、鼻の血管を収縮させて鼻詰まりを一時的に解消しますが、連用すると鼻粘膜の腫れが悪化するリバウンド現象を起こすことがあるため、注意が必要です。
  • 点眼薬(抗アレルギー点眼薬、抗ヒスタミン点眼薬、ステロイド点眼薬など): 目のかゆみや充血を抑えます。抗アレルギー点眼薬は、比較的副作用が少ないとされています。ステロイド点眼薬は、炎症を抑える効果が高いですが、眼圧上昇などの副作用に注意が必要です。

これらの薬は、花粉の飛散が始まる1週間~2週間ほど前から使用することで、症状を軽く抑える効果が期待できます。これを初期療法と言います。

市販薬を選ぶ際には、症状に合わせて適切な成分を選ぶことが重要です。
薬剤師や登録販売者に相談することで、自分に合った薬を選ぶことができます。
眠気を避けたい場合は、第二世代抗ヒスタミン薬を選びましょう。

その他の対症療法:レーザー治療(鼻粘膜焼灼術)

薬物療法以外にも、鼻詰まりの改善を目的とした治療法として、鼻粘膜焼灼術(レーザー治療)があります。
これは、レーザーを用いて鼻粘膜の表面を焼灼することで、粘膜の腫れや過敏性を和らげる治療法です。
特に、薬物療法では改善が難しい鼻詰まりに効果があるとされています。

  • 効果: 主に鼻詰まりの改善が期待できます。くしゃみや鼻水への効果は個人差があります。効果は一般的に1~2年程度持続するとされています。
  • 対象となる人: 薬物療法で十分な効果が得られない方、薬の副作用で困っている方、妊娠中などで薬の使用を避けたい方など。
  • 治療の流れ: 局所麻酔で行われ、治療時間は比較的短時間です。日帰り手術が可能な場合が多いです。
  • 注意点: 鼻の炎症が強い時期には適さない場合があります。効果は永続的ではありません。治療を希望する場合は、必ず医師の診察を受け、適応を判断してもらう必要があります。

根治療法(アレルゲン免疫療法):アレルギー体質を根本から改善する

根治療法(アレルゲン免疫療法)は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ、長期間にわたって投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を根本的に改善、または症状を軽減する治療法です。
体質改善を目指す唯一の治療法と言われています。
花粉症の場合は、スギ花粉やダニなどのアレルゲンエキスが用いられます。

アレルゲン免疫療法には、主に以下の2つの方法があります。

  • 皮下免疫療法: アレルゲンエキスを皮下注射する方法です。医療機関で医師の管理のもとで行われます。最初は週に1回程度の通院が必要で、その後は月に1回程度の通院となります。
  • 舌下免疫療法: アレルゲンエキスを舌の下に投与する方法です。初回は医療機関で行いますが、その後は自宅で毎日服用することが可能です。

これらの治療法は、長期間(3~5年程度)継続する必要がありますが、症状の軽減や薬の使用量の減少、QOL(生活の質)の改善などの効果が期待できます。
特に、舌下免疫療法は、通院回数が少ないため、比較的続けやすい治療法と言えるでしょう。

ただし、すべての人に効果があるわけではなく、また、以下のような場合は治療を受けられないことがありますので、医師とよく相談することが大切です。

  • 重篤な基礎疾患がある場合
  • 妊娠中、または妊娠を希望している場合
  • 重症の喘息患者
  • 悪性腫瘍のある患者

また、治療開始初期には、以下のような副作用が現れることがあります。

  • 注射部位の腫れや赤み(皮下免疫療法の場合)
  • 口内や舌の下の腫れ、かゆみ(舌下免疫療法の場合)
  • 蕁麻疹
  • 喘息症状の悪化

これらの副作用は、通常は軽度で自然に治まりますが、症状が重い場合は、医師に相談するようにしましょう。

その他の治療法:漢方薬、その他の民間療法

対症療法や根治療法の他に、花粉症の症状緩和に役立つ方法として、漢方薬やその他の民間療法があります。

漢方薬

漢方薬は、体全体のバランスを整えることで、アレルギー症状を緩和すると考えられています。
花粉症によく用いられる漢方薬としては、以下のようなものがあります。

  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう): 水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどの症状に効果があるとされています。
  • 葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい): 鼻詰まりがひどい場合に用いられることがあります。
  • 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう): 鼻の炎症を鎮める効果があるとされ、鼻詰まりや鼻水、頭痛などに用いられることがあります。

漢方薬は、体質や症状に合わせて処方されるため、専門の医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

その他の民間療法

その他、鼻うがい、甜茶、ヨーグルトなどの摂取が、花粉症の症状緩和に役立つという情報もありますが、科学的な根拠は十分とは言えません。
これらの方法を試す場合は、効果や安全性について十分に理解した上で行うようにしましょう。

花粉症は、適切な対策を行うことで、症状を軽減し、快適に過ごすことができます。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
生活習慣の見直しや、自分に合った治療法を見つけることで、花粉シーズンを乗り切りましょう。

出典

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